GMOインターネットグループは、同社が提供する外国為替証拠金取引(FX)の自動売却システムに対し、大規模な不正アクセスが発生したと発表。これに伴い、政府に対して「能動的サイバー防御」の緊急発動を異例の要請として行った。民間企業が特定のサイバー攻撃インシデントを受けて、国家による先制的な防御措置の発動を求めるケースは極めてまれである。
不正アクセスの全容と26,739台のサーバーへの影響
本インシデントでは、最大26,739台のサーバーが不正アクセスの標的となり、一部ユーザー口座において自動取引機能を悪用した不正な取引が実行された。これにより、金銭的な損害が発生していることが確認されている。同社はシステムの緊急停止と全ユーザーへの注意喚起を実施した。
被害の全額補償と全ユーザーへの見舞金5,000円
GMOは、不正取引による被害が確認されたユーザーに対して、損失額の全額を補償する方針を固めた。さらに、被害の有無に関わらず、全ユーザーに対して一律5,000円の見舞金を支給することを決定。同社は「お客様の信頼を損ねたことを深くお詫びする」とのコメントを発表し、再発防止に向けた対策を急ぐとしている。
「能動的サイバー防御」とは何か
今回GMOが発動を求めた能動的サイバー防御は、サイバー攻撃の兆候をとらえた段階で、攻撃元サーバーに自衛隊や警察が予防的にアクセスし、その機能を無力化する新たな防衛システムだ。政府はこの制度を10月1日より本格運用している。民間企業が特定の攻撃を理由にこの制度の緊急発動を政府に正式に求めるのは異例であり、その衝撃は業界全体に広がっている。
市場拡大と先制防御の必要性
自動売買システムは市場の拡大とともに一般投資家にも普及しているが、無人で稼働する特性がサイバー犯罪者に狙われやすい背景がある。今回の事態は企業のセキュリティ対策だけでは防ぎきれない高度な攻撃が現実化していることを浮き彫りにした。GMOの要請が政府の能動的サイバー防御の具体的な運用基準や発動範囲にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目される。
ユーザーにおかれては、自身の口座に不正な取引履歴がないか速やかに確認いただき、不審な点があればGMOの公式問い合わせ窓口に連絡し、パスワードの変更やアカウントの一時停止などの対応を取ることを推奨する。なお、補償手続きの詳細については、同社の公式サイトを通じて順次案内される予定だ。