Appleは現地時間2026年10月13日(火)、新しいスマートホームハブ「HomeView」を発表する。BloombergのMark Gurman氏が報じたもので、製品の発売は11月中旬を予定しているという。HomeViewはディスプレイを備えたSiri搭載デバイスで、家庭内のスマートホーム製品を一元的に操作するハブとして機能する。顧客はカウンタートップに置くタイプと、壁に取り付けるタイプの2モデルから選択できる。
同社はこれまで、スマートホーム分野においてHomeKitというソフトウェアフレームワークや、HomePodスマートスピーカーを展開してきた。しかし、いずれも市場で大きな存在感を発揮するには至らず、今回のHomeViewはAppleにとって初めての本格的なスマートホームハードウェア戦略として注目されている。
「HomeView」とは何か——仕様と2つのモデルを整理
HomeViewは、これまで数年にわたって噂されてきたAppleのスマートホームハブ製品に正式な名前と発売時期がついたものだ。本体にはディスプレイとA18チップを搭載し、Siriを介して照明や空調、セキュリティカメラなど、対応するスマートホームデバイスをコントロールする。
ラインナップは以下の2モデル構成とされている。
- カウンタートップ向けモデル——キッチンやリビングの台面上に設置して使用する
- 壁掛けモデル——壁面に設置し、家庭内の操作パネルとして使用する
具体的な画面サイズや価格、対応するアクセサリの詳細は、10月13日の発表で明らかになる見通しだ。A18チップを搭載することで、Siriの応答速度やオンデバイスでの処理能力が向上し、HomeKitデバイスとの連携もこれまで以上にスムーズになると考えられる。
HomeKitとHomePodで苦戦してきたAppleの再起動策
Appleは2014年にHomeKitを発表し、早い段階からスマートホーム市場に参入した。しかし、対応デバイスの認証基準の厳しさや、市場全体がMatterなどの新たな接続規格へ移行するなかで、HomeKitはあくまで選択肢のひとつに留まっている。
また、スマートスピーカーのHomePodは音質評価は高いものの、市場ではAmazon AlexaやGoogleアシスタント搭載製品にシェアで後れを取ってきた。低価格モデルのHomePod miniも投入されたが、スマートホームの中心的コントローラーとしての地位確立には至っていない。
こうした経緯を踏まえると、HomeViewは「スマートホームの操作を専用デバイスに集約する」という、これまでのAppleの戦略とは異なるアプローチと言える。ディスプレイとSiriを組み合わせ、視覚的かつ直感的な操作を提供することで、既存のスマートスピーカーやアプリ操作の課題だった「使いにくさ」を解消する狙いがあるとみられる。
同日にApple TVとHomePod miniも刷新、LGとの提携も
HomeViewの発表は、Appleの家庭向け製品ラインアップ全体のリニューアルの一環でもある。Gurman氏によれば、同日にはApple TVセットトップボックスとHomePod miniのアップデート版も発表される予定だ。
さらに、AppleはLGと提携し、スマートロック、サーモスタット、ドアベルを発表する計画であることも報じられている。スマートロックやドアベルは住宅の玄関周りに設置する製品で、HomeViewのディスプレイに映像を表示したり、リモートで解錠したりといった連携が想定される。
これらの製品群が一斉に発表されることで、Appleは「スマートホームの標準プラットフォーム」としての地位を獲得しようとしているのである。とくにLGとのパートナーシップは、Appleがハードウェア単体ではなく、家庭内の複数デバイスが連携するエコシステムとして市場に挑む姿勢を示している。
スマートホーム市場の競争は新たな段階へ
スマートホーム市場では、AmazonがAlexaを搭載したEchoシリーズ、GoogleがNest Hubを展開し、すでに画面付きスマートディスプレイが普及している。これに対し、AppleはHomePodを音声中心のデバイスとして展開してきたが、今回HomeViewを投入することで、「画面付きホームハブ」という成長領域にようやく本格参入することになる。
HomeViewの成功を左右するのは、既存のスマートホームデバイスとの互換性と、Siriの実用性だろう。A18チップの搭載により、音声認識や自然言語処理の性能は向上しているはずだ。また、LGという大手家電メーカーと組むことで、スマートロックやサーモスタットなど「Apple純正ではない」デバイスのラインアップも拡充される。
発売は11月中旬。年内のホリデーシーズン商戦に間に合わせる形だ。発表当日の詳細情報、そして実際にHomeViewが家庭のスマートホーム環境をどう変えるのか。Appleの本気度を測るうえで、今回の発表はひとつの転換点となるだろう。