世界のサンゴ礁96%が近絶滅危惧、2075年までに崩壊リスク

IUCNの最新評価で世界のサンゴ礁96%が最高リスク区分に。気候変動の影響で2075年までに生態系崩壊の危機。

投稿者 central
ハイライト
  • 世界の浅海サンゴ礁の96%がIUCNレッドリストの最高リスク区分「近絶滅危惧」に分類された。
  • 気候変動が現在のペースで進行した場合、2075年までにサンゴ礁生態系が崩壊するリスクがある。
  • グレートバリアリーフやコーラルトライアングルなど世界最大のサンゴ礁が対象となった。

国際自然保護連合(IUCN)aは2月13日、世界の浅海サンゴ礁の96%が「近絶滅危惧(Critically Endangered)」に分類され、気候変動の影響が現在のペースで進行した場合、2075年までにこれらの生態系が崩壊する極めて高いリスクに直面していると警告した。この評価は、サンゴ礁生態系を対象とした初の世界的なレッドリスト評価に基づくもので、アルメニアのエレバンで開催された国連生物多様性条約第17回締約国会議(COP17)で発表された。

サンゴ礁96%が最高リスク区分、2075年までに崩壊の危機

IUCNが今回発表した評価は、世界中の熱帯および亜熱帯のサンゴ礁システム127カ所、総面積約18万8362平方キロメートルを対象に実施された。その結果、全体の96%がIUCNレッドリストの最高リスク区分である「近絶滅危惧」に該当することが明らかになった。この数字は、気候変動を主な脅威とする世界のサンゴ礁の現状を如実に示している。

サンゴは熱に非常に敏感で、人間活動に起因する気候変動によって海水温が上昇し、サンゴの白化現象を引き起こす深刻なイベントの頻度と強度が増加している。評価の科学的リーダーを務めたミシャル・グドカ氏は、「気候変動による将来の脅威は目前に迫っており、極めて深刻です。これらの生態系の存続に非常に高いリスクをもたらしています」と述べている。

世界最大のサンゴ礁も「近絶滅危惧」に分類

今回の評価で「近絶滅危惧」に分類された中には、オーストラリアのグレートバリアリーフ、東南アジアと西太平洋に広がるコーラルトライアングル、カリブ海のメソアメリカンバリアリーフシステム、紅海のサンゴ礁など、世界で最も大規模で生物多様性に富んだサンゴ礁が含まれている。これらのサンゴ礁は、地球の海洋生態系において極めて重要な役割を果たしており、その崩壊は計り知れない影響を及ぼす可能性がある。

サンゴ礁の生態系が崩壊するとは、サンゴ礁の基盤となる造礁サンゴが大幅に減少し、代わりに藻類や瓦礫、海綿などが優占する状態に移行することを指す。これは、サンゴ礁に依存する無数の海洋生物の生息地を失わせ、地域の漁業や観光業、そして海岸線の保護機能にも深刻な打撃を与える。

気候変動による「熱ストレス」が最大の脅威に

IUCNの声明によれば、「気候変動による熱ストレスは、世界中のサンゴ礁の減少を促進する、最も一貫した脅威である」とされている。今回の評価では、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が想定する「中程度のシナリオ」(2100年までに世界の気温が産業革命前と比べて2.7度上昇)を採用している。国連は今週、現在の世界の排出削減コミットメントに基づくと、今世紀中に約2.6度の気温上昇が見込まれると警告しており、このシナリオは現実味を帯びている。

また、今年はエルニーニョ現象の発生も確認されており、グドカ氏はこれがサンゴ礁にとって新たなリスク要因になると指摘する。エルニーニョは自然現象だが、地球温暖化によってその影響がさらに増幅される可能性が高い。

乱獲や沿岸開発もサンゴ礁を追い詰める

気候変動に加えて、人為的な要因もサンゴ礁の劣化に拍車をかけている。IUCNの報告によれば、ブダイやハタなどの重要な魚種の乱獲は、サンゴ礁生態系の63%に悪影響を及ぼしている。これらの魚類は藻類を食べることでサンゴの成長を助け、生態系のバランスを維持する役割を担っているからだ。

さらに、沿岸開発、汚染、観光、そして頻発化する嵐なども、サンゴ礁に対する主な脅威として挙げられている。これらの複合的なストレスが、サンゴ礁の回復力を著しく低下させている。

「絶望」ではない——残された猶予と希望

IUCNは深刻な警告を発する一方で、世界のほとんどのサンゴ礁が「まだ失われてはいない」とも強調している。気候変動による将来予測を除外し、過去50年間の実績のみを評価した場合、近絶滅危惧と判定されるサンゴ礁は96%ではなく24%にとどまるという。

この数字は、気候変動対策が最も重要なカギを握っていることを示している。グドカ氏は「ここ数年で私たちが取る行動が、今世紀末にこれらの生態系がどのような姿で残っているかを決定づけるでしょう。私たちが知るサンゴ礁として存続するのか、それとも自然と人間の両方にとって価値の低い別の生態系に変貌してしまうのか」と語る。

IUCNのグレーテル・アギラール事務局長は声明で、「サンゴ礁に回復のチャンスを与えることはまだ手遅れではありません。必要なのは、野心的な排出削減、より強力な保護と復元への取り組み、そして回復力のある沿岸生態系とそれに依存する地域社会への持続的な投資です」と述べ、早急な対策の重要性を訴えている。

COP17と生物多様性目標——2030年までの課題

今回のIUCNの評価は、COP16に続くCOP17の場で発表された。同会議では、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させるという歴史的な合意(昆明・モントリオール生物多様性枠組)の進捗が迫られており、サンゴ礁の危機的状況は、その目標達成の緊急性を改めて浮き彫りにしている。

サンゴ礁は海洋生態系のわずか0.1%の面積を占めるに過ぎないが、全海洋生物の約4分の1に生息地を提供する「海の熱帯雨林」とも呼ばれる。その崩壊は、生物多様性の喪失だけでなく、漁業や観光を通じて数億人の生計を脅かし、沿岸地域の防波堤としての機能を失わせるなど、人類社会への影響も計り知れない。

今、求められているのは、単なる現状把握ではなく、実効性のある排出削減と、サンゴ礁の回復力を高めるための積極的な保全・復元策の実行だ。地球規模の課題である気候変動への対応と、ローカルレベルでの持続可能な資源管理の両輪を回すことが、サンゴ礁の未来を左右する。

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