Melius、2500万ドル調達 元Rampエンジニアが初製品破棄から再出発

AI広告クリエイティブプラットフォームMeliusが2500万ドルを調達。元Rampエンジニアが初製品を廃棄し、新たな方向性へと舵を切った。

投稿者 central
ハイライト
  • Meliusは総額2500万ドル(約37億円)の資金調達を発表した。
  • 共同創業者は製品開発から6ヶ月後にコードベースを全て廃棄し、方向転換を決断した。
  • 同社は年換算売上高100万ドルを達成し、AI広告クリエイティブ市場で急成長中である。

AIを活用した広告キャンペーン・画像・動画生成プラットフォームを手掛ける米国スタートアップMeliusは、総額2500万ドル(約37億円)の資金調達を発表した。内訳はCRVがリードする2000万ドルのシリーズAと、General Catalystがリードする500万ドルのシードラウンドである。2025年7月にステルスモードを解除してからわずか2ヶ月で、年換算売上高100万ドルを突破したという急成長企業だが、その道のりは決して順調だったわけではない。

「コードベースを全て廃棄」——元Rampエンジニアチームが辿った軌跡

Meliusの共同創業者であるJoowon Kim氏(右)、Young Kim氏(左)、Arnav Ramu氏(中央)の3人は、いずれもコーポレート支出・財務管理ソフトウェア企業Rampでエンジニアとして勤務した経験を持つ。彼らが最初に取り組んだのは、マーケターが広告費を管理・最適化するためのAI駆動型パフォーマンスマーケティングツールだった。

しかし、製品開発から6ヶ月以上が経過した時点で、共同創業者たちはこのアイデアに「将来性がない」と判断。Joowon Kim氏は「コードベースを全て廃棄した。完全に焼き尽くした」と当時の決断を振り返る。同氏はTechCrunchの取材に対し、オリジナルのアイデアには「足がない」と結論づけたと述べている。

チームは方向性を大きく転換し、広告費の最適化ではなく、クリエイティブアセットやキャンペーンそのものを生成するツールの開発に注力することを選んだ。この判断は、はるかに大きな市場機会があるという確信に基づくものだった。そして、最初のローンチから約1年後、Meliusは「クリエイティブワークのためのエージェントラボ」と自ら称するプラットフォームを発表した。

AI広告クリエイティブ市場——競合ひしめく中での勝算

Meliusが参入する市場には、すでに多くのプレイヤーが存在する。2025年8月にはHiggsfieldがシリーズBで4億ドルを調達し、評価額は54億ドルに達した。年換算売上高は7億ドル超と報じられており、「猛烈な勢いで成長している」とKim氏も認める。他にもKreaやFlora AIといった新興企業が、広告代理店やマーケター、ブランド向けにAIを活用したクリエイティブ生成ソリューションを提供している。

激戦区とも言えるこの分野で、Kim氏は競争を前向きに捉えている。「プレイヤーが多いということは、それだけ顧客が存在し、需要があるということだ。非常にエキサイティングな状況だ」と述べ、市場の大きさゆえに複数の競合が共存できるとの見方を示した。

「YouTuberになりたかった」——創業者の原体験とプロダクトへの反映

元Rampエンジニアという経歴を持つKim氏だが、自身を「ソーシャルメディアインフルエンサー」と表現し、意外な一面を見せる。同氏は小学校の頃から短尺動画制作に情熱を注ぎ、かつては有名YouTuberになることが夢だったという。「必死にブログを作ろうとした。父はFinalCut Proを巧みに使えていたが、私はそうではなかった」と当時を振り返る。初期のブログは決して成功しなかったが、デジタルメディア制作への関心は消えることはなかった。

Meliusはまさに、Kim氏が「常に欲していたツール」だと同氏は語る。経験豊富なクリエイティブディレクターから初心者まで、誰もがプレーンな言語でアイデアを現実のものにできるプラットフォーム——それがMeliusの目指す姿だ。広告クリエイティブの民主化とも言えるこのビジョンが、競合のひしめく市場でどのように受け入れられていくのか。元Rampエンジニアたちの「再出発」は、AI時代におけるコンテンツ制作のあり方を再定義する可能性を秘めている。

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