米Appleは現地時間6月25日、一部のMacBook、iPad、HomePodの価格を最大33%引き上げた。これは「RAMageddon(ラマゲドン)」と呼ばれるAI向け半導体の深刻な供給不足と価格高騰が背景にある。当面iPhoneの価格は据え置かれているが、業界関係者の間では、今年秋にもiPhoneファミリー全体に値上げが波及する可能性が高いとの見方が強まっている。
Apple、MacBook・iPadを最大33%値上げ——価格改定の全容
今回の値上げは、エントリーモデルからハイエンド機種にまで及んでいる。日本国内における主な価格変更は以下の通りだ。
- MacBook Neo:9万9800円→11万9800円(約20%増)
- 13インチMacBook Air:16万4800円→22万4800円(約33%増)
- 14インチMacBook Pro:24万8800円→33万9800円(約37%増)
- iPad(無印):5万8800円→7万4800円(約27%増)
- 13インチiPad Pro:21万8800円→26万9800円(約23%増)
Appleは米CNETへの声明で、値上げの理由を「メモリおよびストレージ向け半導体の旺盛な需要」と説明した。特に、データセンターでのAI処理の急拡大がこれらの部品の引き合いを一段と強めているという。同社は「部品の価格がこれほど大幅に、これほど急激に上がったことはこれまでにない」と述べ、複数製品での値上げ開始が不可避な段階に至ったとしている。
なぜ今、値上げなのか——“RAMageddon”がもたらす半導体価格高騰
先週からAppleが近く値上げに踏み切るとの観測は広がっていた。その背景にあるのが「RAMageddon(ラマゲドン)」と呼ばれる現象だ。AIインフラの急拡大により、メモリやストレージ向け半導体が世界的に不足。価格が高騰している状況を指す。これらの半導体はパソコンやタブレットだけでなく、あらゆる電子機器とデータセンターのAI計算処理を支えるため、需要の急増に対して供給が全く追いついていない。
最初にこの値上げを報じたのは米紙Wall Street Journalで、その後AppleがCNETに対して事実を認める形となった。値上げの時期や対象機種については、当日まで明確にされていなかったが、現実のものとなった。
iPhoneは秋に値上げへ——新型iPhone 18 Proの価格はどうなる?
今回の値上げ対象にiPhoneが含まれなかったことは、多くの消費者にとって一時的な安心材料かもしれない。しかし、iPhoneにも同種の半導体がふんだんに使われている以上、値上げが波及するのは時間の問題と見るのが自然だ。
米CNETでハードウェア担当コンテンツディレクターを務めるPatrick Holland氏は「今日iPhoneを値上げしなかったからといって、今後もしないとは限らない」と指摘する。「Appleは例年、秋に新型iPhoneを発表する。値上げがあるとすれば、そのタイミングになるだろう」
今年9月には、うわさされる「iPhone 18 Pro」および「iPhone 18 Pro Max」が登場すると予想されている。さらに、折りたたみ型iPhoneが2000ドル超の価格帯で投入されるとの観測もある。CNETのモバイルチームでシニアエディターを務めるMike Sorrentino氏は「部品コストは上がり続けており、iPhoneのラインアップ全体が今秋に値上げされることも十分あり得る」と述べている。
これまでAppleは、看板製品であるiPhoneの価格設定には極めて慎重な姿勢を見せてきた。しかし最近では、「iPhone 17 Pro」で128GBモデルを廃止し、最も安いProモデルを256GB版に切り替えることで、実質的な購入ハードルを引き上げている。エントリーモデルのMacBook Neoも今回値上げされたことから、Appleがもはや低価格帯の製品であっても価格を据え置く余裕がないことがうかがえる。
今、買うべきか?それとも待つべきか?——専門家の見解と実用的アドバイス
今すぐ新しいMacBookやiPadが必要なユーザーにとって、今回の値上げは痛手だ。一方、iPhoneユーザーはまだ少しだけ猶予がある。だが、状況は年内に大きく変わる可能性が高い。
Mike Sorrentino氏は次のように警告する。「普段なら新型を待って秋に買うことを勧めるが、今年は事情が違う。電子機器の価格がこれほど不安定な以上、どうしても新しいスマホが必要なら、今年は例外かもしれない」
つまり、今すぐ買い替えが必要なら、さらなる値上げが実施される前に購入を検討する価値はある。しかし、価格上昇を見越して急いで買うにしても、1200ドル超のスマートフォンは決して安い買い物ではない。値上げがなければなおさらだ。
今回のニュースを受け、筆者自身も「iPhone 13」からの買い替えを先送りにし、より手頃なAndroidスマートフォン、例えば「Pixel 10」を初めて真剣に検討し始めている。Appleエコシステムに強く依存していないユーザーにとって、今は選択肢を広げる良いタイミングかもしれない。
Patrick Holland氏が語るように、「もしAppleがiPhoneを値上げすれば、相当な驚きをもって受け止められ、今回の他製品の値上げ以上に注目を集めるだろう」。今秋、Appleがどのような価格戦略を打ち出すのか。それは単なる製品価格の問題を超えて、世界的な半導体需給とAI投資の熱狂が、日常のテクノロジー製品にどのような影響を及ぼすかを測るリトマス試験紙となる。