新経済連盟、2027年度税制改正提言で暗号資産税制の見直しを要求

新経済連盟が2027年度税制改正提言で暗号資産税制の抜本見直しを要求。申告分離課税と20%税率を提案し、スタートアップ支援を目指す。

投稿者 central
ハイライト
  • 新経済連盟は2027年度税制改正提言で、暗号資産の損益を申告分離課税とし、税率を一律20%程度に引き下げる案を提示した。
  • 現行制度では暗号資産の取引損益は雑所得として総合課税され、最高55%の累進税率が適用される。
  • 提言には損失の繰越控除や暗号資産同士の交換取引に対する課税の繰り延べなど、実務的な負担軽減策も含まれる。

新経済連盟は9月11日に公表した「2027年度税制改正提言」において、暗号資産(仮想通貨)税制の抜本的な見直しを求める項目を盛り込んだ。同日に報道関係者向けにオンラインで実施した説明会では、同事務局が提言の全体像を提示。ミニマムタックスの撤廃や所得税・相続税・法人税の引き下げ、事業承継税制の見直しなど、スタートアップ支援に軸足を置いた幅広い項目が取り上げられる中、急速に普及する暗号資産の税制整備も重点課題として浮上した。

新経済連盟とは——約500社が加盟するスタートアップ主体の経済団体

新経済連盟は2012年に活動を開始した経済団体で、会員企業は約500社に上る。その構成員の多くをスタートアップ企業が占めており、日本経済のイノベーション促進と国際競争力の強化を目的に、規制改革や税制改正などの政策提言を積極的に行っている。今回の「2027年度税制改正提言」も、加盟企業の現場の声を集約したものだ。

暗号資産税制の何を見直すのか——提言の核心

暗号資産を巡る税制上の課題は、日本のスタートアップ業界で長年議論されてきた。現行制度では、暗号資産の取引から生じた損益は雑所得として総合課税の対象となり、最高で55%に達する累進税率が適用される。この仕組みが、スタートアップによるトークン活用や従業員への報酬としての暗号資産付与を著しく阻害しているとの批判が絶えない。

今回の提言では、こうした課題に対して具体的な解決策を提示。特に注目されるのは、暗号資産取引の損益を申告分離課税の対象とし、税率を一律20%程度に引き下げる案だ。さらに、損失の繰越控除や、暗号資産同士の交換取引に対する課税の繰り延べといった、実務的な負担を軽減する措置も含まれている。これにより、スタートアップが資金調達やオープンイノベーションの手段として暗号資産を活用しやすい環境が整うことが期待される。

なぜ今、見直しが必要なのか

米国やシンガポール、欧州連合(EU)など、主要な経済圏では暗号資産に対する税制の明確化と整備が急速に進んでいる。日本でも、Web3.0関連産業の育成を国家戦略に掲げる動きがある一方、税制面での対応が遅れているのが現状だ。新経済連盟の提言は、国際的な競争環境の中で日本のスタートアップが不利な立場に置かれているという強い危機感に根ざしている。

提言が示すもう一つの道筋——ミニマムタックス撤廃と法人税引き下げ

暗号資産税制以外にも、今回の提言はスタートアップの成長を阻むとされる税制上の壁を複数取り上げている。その最たるものが、課税ベースの拡大を目的に導入されたミニマムタックス(最低課税制度)の撤廃だ。同制度は、利益が少ない期でも一定の税負担を強いるため、研究開発投資を積極的に行うスタートアップにとって大きな負担となっている。

また、法人税の実効税率の引き下げや、所得税・相続税の負担軽減、事業承継税制の柔軟化も提言に含まれており、スタートアップの創業から成長、事業承継に至るまでのライフサイクル全体を視野に入れた包括的な税制改革が打ち出されている。

今後の展望:2027年度税制改正へ向けた政策への反映は

新経済連盟の提言は、政府与党が毎年秋から本格化させる翌年度の税制改正議論に先駆け、業界の要望を政治・行政に届ける役割を果たしている。2027年度の税制改正に向けて、今回の暗号資産税制に関する項目がどの程度反映されるのかは、日本のWeb3.0戦略やスタートアップエコシステムの行方を左右する重要な焦点となる。

説明会で事務局は、「スタートアップの資金調達や人材流動性を高めるためには、暗号資産をめぐる税制の不透明さを一刻も早く解消すべきだ」との認識を示した。業界団体としての提言だけでなく、国際的な税制調和の動きもにらみながら、政府との具体的な協議が進むことが予想される。日本の暗号資産関連ビジネスが新たな成長局面に入るかどうかは、今後の政策対応にかかっている。

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