ドル円相場が一時159円台に突入し、心理的な節目である160円台が目前に迫っている。背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ観測の急速な高まりがある。市場では次回10月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率が8割を超える水準にまで上昇しており、ドル買い・円売りの流れが一段と強まっている。この動きは、為替市場だけでなく、米国債市場にも大きな波紋を広げている。
短期金利急騰がもたらすイールドカーブへの影響
今般のドル金利上昇で特に注目されるのは、短期金利の伸びである。市場参加者の間では、次回FOMCでの追加利上げがほぼ織り込まれつつある。その背景には、FRB内部でのタカ派シフトが明確になっていることが挙げられる。これまでハト派と見なされていたニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁でさえ、追加利上げを支持する姿勢に転じたと報じられている。こうした発言の積み重ねが、短期金利の見通しを大きく修正させる要因となった。
短期金利の上昇は、長期金利を押し上げる波及効果を生んでいる。ただし、短期金利の上昇幅が長期金利を上回っているため、イールドカーブは全体としてフラット化(スティープ化の逆)が進行中である。それでもなお、10年物国債利回りは5.2%台にまで吹き上がっており、これは2017年以来の高水準に近い。この金利上昇が、さらなるドル高を招く構図となっている。
ドル全面高の中でのドル円相場の行方
ドル金利の上昇は、ドル相場全体を押し上げる要因として機能している。ユーロドル相場もドル高方向に振れており、ドル円に限った動きではない。注目すべきは、ドル円が先週末に実施されたと見られるレートチェックの水準を完全にクリアした点である。レートチェックは通常、急激な円安進行をけん制する意図で行われるが、その効果は早くも薄れた格好だ。
現在のドル円相場は、159円台での推移を続けており、再び160円台を試すのも時間の問題と見られる。追加利上げ観測が一段と強まれば、160円を超えて上値を探る展開も想定される。市場の関心は、日本当局による次の対応に移っている。
日本当局の円安阻止策は機能するか
円安進行を食い止めるには、日本政府や日銀の強いメッセージが不可欠だが、現状では期待できる状況にない。岸田首相はもとより、日銀の植田総裁からも、円安阻止に向けた積極的な発言は出ていない。日銀の金融政策そのものも、現時点では緩和スタンスを維持しており、金利差が縮まる兆しは見えない。
このため、円安の流れそのものが変わる可能性は低い。介入に対する思惑が神経質な値動きを生むことはあっても、大局的にはドル高・円安のトレンドが継続するとの見方が強い。今後の焦点は、介入のタイミングと規模、そしてそれが一時的なショックを与えるに過ぎないのか、それとも流れを変えるほどの効果を持つのかにある。
ドル円が160円台に乗せるかどうかは、もはや「いつ」の問題であり、「もし」ではない。日本時間の本日15時24分時点でも、円安圧力は持続している。市場関係者は、次のFOMCをにらみながら、今夜も値動きから目が離せない状況が続く。