日本は9月21日(月)から23日(水)まで3連休となるが、海外市場は通常通り取引が行われる。東京市場が休場となる期間中も、為替相場は連休前に発表された米連邦準備理事会(FRB)と日銀の金融政策決定の手応えを探る展開が続き、特に注目すべきは今週に複数予定されている要人発言や地政学リスクだ。ここでは、9月21日からの週の為替相場を読み解くうえで欠かせない注目材料を整理し、実践的なマーケット観測を提供する。
日本3連休の間に海外市場で相場は動く――東京休場中のリスクとチャンス
日本の株式市場と債券市場は祝日のため休場となるが、日経225先物とオプションの祝日取引は実施される。通常、日本の連休中は市場参加者が限られるため、為替は薄商いとなり、思わぬ値動きが発生しやすい。特に今週は、22日(火)に日米首脳会談、24日(木)には米中首脳会談が予定されており、両国の首脳発言次第で相場のボラティリティが急拡大するリスクがある。また、22日(火)にはトランプ米大統領が湾岸諸国首脳とイラン情勢について協議する予定で、中東情勢の緊迫化は原油価格を経由して円相場にも影響を及ぼす可能性が高い。
先週の金融政策発表を消化――米国と日本の方向性を再確認
先週16日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)、18日には日銀金融政策決定会合がそれぞれ開催され、市場は一通り消化した。FRBは政策金利を据え置く一方、年内の利下げ期待をやや後退させるタカ派的なスタンスを示した。これを受けて米長期金利は上昇し、ドル円は堅調地合いを維持している。一方、日銀は現行の緩和策を維持したが、植田総裁の記者会見では今後の金融政策の正常化に向けた議論が活発化していることが示唆された。この先週の流れを踏まえ、今週はFRB高官の発言ラッシュが予定されており、米利下げ観測が再び強まるか、あるいはタカ派姿勢がさらに確認されるかが焦点となる。
FRB高官発言ラッシュと注目ポイント
今週はFOMC明けということもあり、複数のFRB高官が講演やインタビューで発言する見込みだ。22日(火)にはウィリアムズNY連銀総裁(投票権あり)、ジェファーソンFRB副議長(同)が発言。23日(水)にはバーFRB理事(同)、24日(木)にはハマック・クリーブランド連銀総裁(同)とポールソン・フィラデルフィア連銀総裁(同)、さらには25日(金)にもウィリアムズ総裁とハマック総裁の発言が控えている。これらの発言のトーンが、市場の利下げ期待をどの程度修正するか注目だ。特に、最近のインフレ指標はやや落ち着きを見せているが、9月の消費者物価指数(CPI)が再び加速するリスクも指摘されており、FRB高官がインフレ警戒姿勢を強めれば、ドル買い・円売りの流れが継続する可能性がある。
日米首脳会談と米中首脳会談――地政学リスクの二大イベント
今週の最大の山場は、日米首脳会談と米中首脳会談だろう。日米首脳会談では、経済安全保障や通商問題に加え、為替政策を巡るやり取りが注目される。特に、先週末に日銀がレートチェックを実施したとの観測が流れており、日本の当局はドル円の急激な円安進行に警戒感を強めている。石破政権とトランプ政権の間でどのような為替に関するメッセージが発信されるか、市場は神経質に反応する可能性がある。一方、米中首脳会談では、トランプ大統領が掲げる新関税の具体的な内容や実施時期が焦点となる。相互関税や追加関税の発動が現実味を帯びれば、リスクオフの円買いが強まるシナリオも想定されるが、同時にドル高が進む可能性もあり、複雑な相場展開が予想される。
9月23日は世界のPMI速報値が集中――景気の強弱を測る
23日(水)には、ドイツ、ユーロ圏、英国、そして米国の製造業および非製造業PMI(購買担当者景気指数)の速報値が一斉に発表される。この日は日本が祝日で休場だが、海外市場の動きが連休明けの東京市場に直接的な影響を与える。特に米国のPMI速報値は、9月の経済活動の勢いを測る重要な指標だ。ISM製造業景況指数が依然として低調な水準にある一方、S&Pグローバルが算出するPMIは比較的堅調に推移している。もし速報値でサービス業の減速や製造業のさらなる悪化が示されれば、米国経済のソフトランディング期待が後退し、リスクオフに傾く要因となる。ユーロ圏のPMIも、欧州中央銀行(ECB)の追加利下げ観測に影響を与えるため、ユーロドル相場の方向性を決める材料となる。
9月24日はスイス金融政策発表と雇用統計――その他の重要イベント
24日(木)には、スイス国立銀行(SNB)の金融政策発表と記者会見が予定されている。スイスフランは伝統的に安全資産とされ、地政学リスクが高まると買われやすい通貨だが、SNBの政策スタンス次第ではフラン売りが進む可能性もある。また、同日にはオーストラリアの雇用統計も控えており、豪ドルの値動きに注意が必要だ。米国では新規失業保険申請件数や新築住宅販売件数などの経済指標が発表されるが、特に失業保険申請件数は雇用情勢のトレンドを確認するうえで外せない。
為替介入への警戒――日銀レートチェックの影響
先週末に日銀がレートチェックを実施したとの報道を受け、市場では再び為替介入の可能性が意識されている。日本の休場中でも、海外市場でドル円が急騰した場合、介入のハードルが下がるかどうかが焦点だ。現在のドル円は155円台半ばから後半で推移しており、160円台に接近するような動きがあれば、政府・日銀の警戒感がさらに強まるだろう。ただし、日銀のレートチェックは必ずしも即時の介入を示唆するものではなく、あくまで市場の動きを注視する姿勢を示すためのものだ。しかし、投機筋がこのレートチェックをけん制材料と受け止めれば、連休中の円高圧力が強まる可能性もある。
今週の注目度が高い経済指標とイベント一覧
以下が、今週の主な経済指標とイベントのスケジュールである。日本時間で表記しているため、トレード計画の参考にしてほしい。
- 9月21日(月):日本休場。ラガルドECB総裁発言(24:00)、マックレムBOC総裁発言(24:20)。米国経済指標はなし。
- 9月22日(火):日本休場。国連総会一般討論演説開始。日米首脳会談。トランプ米大統領が湾岸諸国首脳と協議。ブロックRBA総裁発言(12:10)、ラガルドECB総裁発言(20:00)。米国ではリッチモンド連銀製造業指数(23:00)、ウィリアムズNY連銀総裁発言(23:05)、ジェファーソンFRB副議長発言(23:20)など。
- 9月23日(水):日本休場。独・欧・英・米の製造業&非製造業PMI速報値が集中。SARB政策金利発表。米国ではMBA住宅ローン申請指数(20:00)、PMI速報値(22:45)、バーFRB理事発言(23:05)、週間原油在庫(23:30)、5年債入札(26:00)。
- 9月24日(木):米中首脳会談。豪雇用統計(10:30)。SNB金融政策発表(16:30)およびシュレーゲル総裁会見。独IFO景況指数(17:00)。加小売売上高(21:30)。米国ではウィリアムズNY連銀総裁発言(17:10)、新規失業保険申請件数(21:30)、ハマック・クリーブランド連銀総裁発言(21:50)、新築住宅販売件数(23:00)、ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁発言(23:10)、7年債入札(26:00)。
- 9月25日(金):中国休場。ベイリーBOE総裁発言(18:15)。米国ではウィリアムズNY連銀総裁発言(18:15)、耐久財受注(21:30)、ミシガン大学消費者信頼感指数確報値(23:00)、ハマック総裁発言(27:00)。
連休明けの東京市場と来週への布石
日本が3連休明けとなる24日(木)は、海外市場での値動きを一気に織り込む展開が予想される。連休中に地政学リスクが顕在化した場合、週明けの東京市場でギャップ・オープンとなる可能性も否定できない。トレーダーは連休中の海外市場の動きを注視しながら、ポジション管理に細心の注意を払う必要がある。来週以降は、9月29日のオーストラリア金融政策決定会合や、10月に控える日米欧の政策イベントが視野に入ってくる。今週の要人発言や首脳会談の結果は、中長期の為替トレンドを左右する重要な分岐点となるだけに、一つの発言や指標に一喜一憂するのではなく、複数の材料を総合的に判断する冷静な姿勢が求められる。