『虚構推理』(In/Spectre)の原作者として知られる城平京が、自らのデビュー作でありカルト的な人気を誇る『吸血鬼十字界』(Vampire Juujikai)の続編を、2026年10月より連載開始することが決定した。スクウェア・エニックスが刊行する『月刊少年ガンガン』の公式Xアカウントが発表したもので、続編の正式タイトルは『吸血鬼十字界 犬には犬の歌』(英題:Vampire Cross World: A Song for Dogs)。イラストは前作と同じく木村有里が務める。
本作は、2003年8月から2007年2月にかけて同じく『月刊少年ガンガン』で連載された『吸血鬼十字界』の正統な続編にあたる。原作は全9巻で完結しており、北米ではViz MediaおよびYen Pressから英語版がリリースされるなど、国内外で支持を集めてきた。人間社会に溶け込む吸血鬼と、その存在を巡る抗争を描いたダークファンタジーは、独自の世界観と緻密なストーリーテリングによって、連載終了から18年が経過した現在も根強いファンを持つ。
城平京の原点回帰と18年ぶりの新章
城平京は2003年、本作『吸血鬼十字界』でデビュー。その後、『虚構推理』(作画:片瀬茶柴)で広く認知される存在となり、同作はテレビアニメ化も果たすなど、日本のエンターテインメント業界における確固たる地位を築いている。妖怪や怪異を題材にした〈推理〉と〈交渉〉を軸とする『虚構推理』とは異なり、『吸血鬼十字界』は人類と吸血鬼の共存という重厚なテーマを正面から描いた作品だ。吸血鬼と人間のハイブリッドである主人公アカバネが、自らの出自と向き合いながら戦いに身を投じる姿は、城平京の作家としての原点であり、その後の作品群に通じるテーマが凝縮されている。
今回の続編発表は、単なる人気作の復活ではない。デビューから23年、城平京という作家が自らのルーツに立ち返り、その世界観をさらに拡張する試みとして注目される。ファンにとっては長年の待望がようやく実現する瞬間であり、彼の作品世界をより深く理解するための重要なピースとなることは間違いない。
続編『犬には犬の歌』の連載開始日と掲載誌
続編『吸血鬼十字界 犬には犬の歌』の連載は、2026年10月9日発売の『月刊少年ガンガン』11月号よりスタートする。同誌の通常発売日は毎月12日だが、今号に限り9日発売となる点も見逃せない。この異例のスケジュール設定からも、本作に対する編集部の期待の大きさがうかがえる。
タイトルに含まれる「犬には犬の歌」というフレーズは、原作を読んだ読者にとって特定のキャラクターや物語上のモチーフを連想させる仕掛けとなっている。詳細なあらすじや新たな登場人物の情報は現時点では明らかにされていないが、前作の世界観を継承しつつも、まったく新しい局面を迎える物語が展開されるものと見られる。
木村有里との黄金コンビが再結成
続編においてもイラストレーターを務めるのは、前作で吸血鬼十字界の世界をビジュアル面から支えた木村有里だ。彼女の描く繊細かつ力強いキャラクター表現と、ダークでありながら美しい背景描写は、城平京の脚本が持つ独特の空気感を見事に可視化してきた。城平京と木村有里——このコンビネーションこそが『吸血鬼十字界』の最大の魅力の一つであり、18年の時を経て再びその化学反応が作品上で炸裂することになる。
『吸血鬼十字界』の連載当時、木村は本作で多くの読者を魅了し、その後もさまざまな媒体で活動を続けている。彼女が現在の技術と表現力を駆使して、どのようなビジュアルで続編の世界を描くのか。その点も、本作の大きな注目ポイントである。
吸血鬼十字界とは——原作のあらすじと魅力
『吸血鬼十字界』は、人間と吸血鬼が共存する世界を舞台に、吸血鬼と人間のハイブリッドである主人公アカバネの戦いと苦悩を描いたダークファンタジー作品だ。人間社会に溶け込む吸血鬼たちの存在が表面化したことで、世界は混乱と対立の様相を呈する。アカバネは自らのアイデンティティに葛藤しながらも、両種族の未来をかけた壮絶な戦いに身を投じていく。緻密に構築された世界観、予測不可能な展開、そして哲学的なテーマ性が、連載終了から長い年月を経てもなお読者の心を掴んで離さない理由である。
吸血鬼十字界の続編『吸血鬼十字界 犬には犬の歌』は、2026年10月9日発売の『月刊少年ガンガン』11月号より連載開始。脚本は城平京、イラストは木村有里が担当し、約18年ぶりの新章として展開される。
城平京という稀有なストーリーテラーが、自らのデビュー作に再び向き合う。その決断が、現代の漫画シーンにどのような波をもたらすのか。『虚構推理』でその名を知った読者にとっても、本作は城平作品の新たな側面を発見する絶好の機会となるだろう。連載開始まで残り約2年。今後の追加情報にも注目が集まる。