なぜ日銀会合後は円高か。植田総裁の連続利上げ示唆が焦点

日銀会合後の円高シナリオを専門家が分析。植田総裁の発言次第で相場が大きく変動する可能性。

投稿者 central
ハイライト
  • 植田総裁が連続利上げを示唆すれば、さらなる円高圧力が強まる。
  • 利上げ自体は織り込み済みで、サプライズ効果は限定的とみられる。
  • GPIFの運用見直しが円高を加速させるトリガーとなる可能性も。

米ドル/円相場は、ベッセント米財務長官と高田日銀審議委員の発言を契機に進んだ円高の流れが、9月10日頃を境に一服したとみられる。市場参加者の間では、次の大きな相場変動要因として、来週末に迫った日銀金融政策決定会合(9月17~18日)と、その後の植田和男日銀総裁の記者会見が注目されている。焦点は、今回の会合で利上げが実施されるかどうかではなく、総裁が「連続利上げ」の可能性を示唆するか否かにある。

植田総裁の発言次第でさらなる円高も。曖昧なら155円台回復の可能性

既に市場では、今回の日銀会合で政策金利が0.25%引き上げられるというシナリオは、ある程度織り込み済みだ。従って、利上げ自体が新たなサプライズとなる可能性は低く、相場に大きなインパクトを与えることはないとみられる。

問題は会合終了後に開催される記者会見での、植田総裁のトーンだ。仮に総裁が、その次の会合での追加利上げ、すなわち連続利上げの可能性に言及した場合、再び円高圧力が強まると専門家は予想する。逆に、先行きの金融政策に関して曖昧な表現に終始した場合、やや円安方向に振れ、米ドル/円は155円台を回復するような展開も考えられる。

つまり、今週末から来週前半にかけては、日銀会合に向けた思惑から方向感の定まらない値動きが続く可能性が高く、短期的な変動に振り回されない慎重な姿勢が求められる。

ベッセント米財務長官が示唆する「日本の政策当局者の動き」とは

円相場の展望を複雑にしているのが、スコット・ベッセント米財務長官の発言だ。同長官は9月8日、日銀の次の動きに関して「情報の非対称性」があると述べ、他の市場参加者よりも多くの情報を掌握していることを示唆。さらに、為替市場での日米協調介入については「胴元は私だ」と異例の表現を用いた。

注目すべきは、ベッセント長官が「日銀だけにとどまらず、日本の政策当局者が何をしようとしているのかも把握している」と発言した点だ。これは、米財務長官が日本の経済政策全般を視野に入れていることを示唆する、極めて異例の趣旨と言える。

では、日本の政策当局者が「しようとしていること」とは具体的に何なのか。石破政権が看板政策とする「責任ある積極財政」は、既に140兆円を超える来年度予算の概算要求が決まっていることから、急に転換するとは考えにくい。

その他の選択肢として、浮上するのがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオ見直しだ。片山さつき元財務大臣がその可能性に言及したこともあり、市場関係者の間で憶測を呼んでいる。GPIFは2014年の大幅なポートフォリオ見直しで海外資産への投資を増やし、当時の円安相場を演出した一因として知られる。もし仮にこの方針を転換し、海外資産を縮小するような動きがあれば、他の投資家も追随し、さらなる円高圧力となるシナリオは十分に考えられる。

GPIF見直しの可能性と円高シナリオ

実際、今年8月には異例となるGPIFの経営委員会が開催され、基本ポートフォリオの検証が議題に上っている。現時点で結論が出たわけではないものの、政府・日銀の政策連携の一環として、GPIFの運用方針変更が円高を加速させるトリガーとなる可能性は否定できない。市場は、日銀会合後の植田総裁の発言に加え、こうした「見えざる政策変更」の兆候にも注意を払う必要がある。

来週金曜日の日銀会合結果発表まで、為替市場は断続的に方向感を欠く展開が予想される。目先の値動きに一喜一憂するのではなく、政策当局者の発言の真意と、その裏にある政策の大きなうねりを読み解く姿勢が、今後の相場変動を乗り切る鍵となるだろう。

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