Axie Infinity、SLP廃止でAXSが最高値から99%下落

Axie InfinityがSLPを廃止しbAXSに移行。AXS価格は最高値から99%下落した。

投稿者 central
ハイライト
  • Axie Infinityは2026年1月にOriginsでのSLP配布を停止した。
  • 報酬がbAXSに移行し、AXSは最高値から99%下落した。
  • bAXS→AXS交換の受取率は称号により15%〜82.5%だ。

NFTを育成して戦わせる「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」は、2026年に入り報酬制度を大きく転換した。2026年1月にOriginsでのSLP配布を停止し、2月からは売買や送付ができない「bAXS」を軸とした仕組みへ移行。これにより「遊んで稼ぐ」方法は変わり、中核トークンであるAXSの価格は過去最高値から99%超下落した水準で推移している。

2026年10月20日時点のAXSは約158円、時価総額は約277.9億円。国内ではbitFlyer、bitbank、BitTrade、Coincheck、Binance Japanの5社が取り扱っている。

2026年、何が変わったのか:SLP廃止とbAXS移行

最大の変化は、報酬トークンの置き換えだ。2021年のブームを支えたSLPは、Originsの報酬から姿を消した。2026年1月5日、共同創業者のJihoz氏が公式Xで告知し、同月7日の週からOriginsでのSLP配布を停止した。

停止の理由について運営は、自動化したボットによるSLPの大量獲得が加速しており、1か月待つだけでも次の経済設計が危うくなると説明している。なおSLP自体は消えたわけではなく、Axieの繁殖における主な燃料としては残るとされている。

2026年2月26日からは、報酬の中心がbAXS(Bonded AXS)に移った。Bounty Board、Classic、Origins、土地(旧Homeland)、Codex、キャンペーンの報酬がbAXSへ移行している。bAXSは1 bAXS=1 AXSとして扱われ、繁殖・進化・アイテムの鋳造・ステーキングなどAXSと同じ用途に使える一方、他人への送付や売買はできない。

bAXS→AXS交換は「Axie Score」の称号で15〜82.5%

bAXSをAXSに換えるときの受取率は、Axie Scoreの称号で上下する。上位の称号ほど有利で、最上位のMythkeeperは82.5%、最下位のLunacianは15%だ。

称号 交換レート
Mythkeeper 82.5%
Atia’s Guardian 70%
Chosen of Atia 60%
Atia Seeker 40%
Lunacian Pioneer 30%
Lunacian 15%

差額はAxie Treasuryに入る。たとえばMythkeeperが100 bAXSを交換すると82.5 AXSを受け取り、残りの17.5 AXSはTreasuryへ回る仕組みだ。

ゲーム構成も変化:Homeland終了、Classicはコミュニティ移管

2026年はゲームの入れ替えも進んだ。6月17日にTerrariumsが始まり、旧Homelandは終了。Homelandの進捗は引き継がれず、土地の貸し出し(Delegation)は自動で解除された。

Axie Classicは9月10日をもってSky Mavisによる定期シーズンと開発を終了。IPとインフラをコミュニティ側へ引き渡し、コミュニティ主導で続ける計画だ。運営はガバナンスが作った委員会CORC(Classic Origins Resurrection Committee)が担い、資金は当面エコシステム基金から出し、のちにCommunity Treasuryへ移す。移管には法的な手続きが残っている。

Axie Infinityとは?NFTクリーチャーとAXSの役割

Axie Infinityとは、遺伝子を持つNFTのクリーチャー「Axie」を育てて戦わせ、プレイヤー同士で売買できるゲーム群と、その運営方針を投票で決める暗号資産AXSからなるプロジェクトだ。

AxieはERC-721規格のNFTとして発行され、プレイヤーは自分の資産として売買・交換できる。ホワイトペーパーは、Axieの世界を「プレイヤーが所有する経済」と位置づけている。AXSの保有者はステーキングで報酬を受け取れ、主要なガバナンス投票にも参加できる。

開発元は、ベトナム・ホーチミン市に本社を置くSky Mavis。2017年12月に構想と開発が始まり、2018年2月にはOrigin Axieのプリセールで900 ETHを集めた。同年3月に自社のNFTマーケットプレイス、5月に繁殖ゲームを公開している。

公式が2025年3月に出した数字では、累計の取引額は40億ドルを超え、NFTの累計取引額でギネス世界記録に認定。Axieの保有者は延べ200万を超えた。

Axie Infinity(AXS)の基本情報

項目 内容
名称 Axie Infinity(アクシーインフィニティ)/トークンはAxie Infinity Shards
ティッカー AXS
チェーン Ethereum(ERC-20)・Ronin(ゲーム内で使うAXS)
開発元 Sky Mavis(ベトナム・ホーチミン市)
発行上限 2億7,000万AXS
価格 約158.25円
時価総額 約277.9億円
時価総額順位 199位
国内の取扱い bitFlyer・bitbank・BitTrade・Coincheck・Binance Japan
公式サイト https://axieinfinity.com/

※2026年10月20日時点。金融庁の暗号資産交換業者登録一覧(2026年9月30日現在)をもとに整理している。

Axie Infinityの特徴:繁殖、Terrariums、Ronin、Treasury

Axieの世界は、繁殖で増えるNFT、Axieのために作られたチェーンRonin、収益を貯めるコミュニティの基金の3つで回っている。ゲームの外にあるチェーンと基金まで含めて、1つの経済になっているのが特徴だ。

遺伝子を持つAxieを繁殖させる

Axieは親の遺伝子を受け継いで生まれ、1体が繁殖できるのは7回まで。新しいAxieを作るたびに燃料と手数料がかかり、数が無限には増えない作りになっている。

各Axieは固有の遺伝子コードを持ち、遺伝子が体の各パーツに対応。繁殖の燃料に使うトークンがSLPで、2026年1月の公式の議論でも、Originsでの配布停止後も繁殖の主な燃料として残るとされた。

土地にAxieを置いて動かすTerrariums

Terrariumsは、戦わずに土地へAxieを置いておく遊び方だ。プレイヤーは自分の土地(プロット)にAxieを配置し、毎時の「Tick」ごとに燃料のLuniumを消費してbAXSを得る。取り分の計算には、Axieの希少度などで決まる値「Atia’s Flame」が使われる。

Axieのために作られたチェーンRonin

AxieのゲームとAXSのやりとりはRoninの上で動いている。RoninはEthereumとは別のネットワークとして始まり、2026年5月にOP Stackを使ったEthereumのレイヤー2へ移行した。5月12日に移行を始め、翌13日に完了を発表している。

Roninは2021年2月にメインネットを公開し、同年4月にAxieが移行。9月にはAXSのステーキング、11月には分散型取引所のKatanaが始まった。

2026年5月からはProof of Distributionという仕組みで、オンチェーンの活動量に応じてRONがビルダーに配られている。AxieはこのRON報酬の全額をTreasuryに入れるとしており、運営の内部見積もりでは月最大20万RONだ。

収益を貯めるTreasuryとAxie Score

繁殖やマーケットプレイスの手数料は、運営会社ではなくコミュニティの基金に集まり、その使い道は投票で決まる。Axie Infinity Community Treasuryには、ゲーム内とマーケットプレイスの収益が集まる。2025年7月の保有は、約2,300万AXS、2,600 ETH、7万5,000 RON、6,500 USDCだった。

Axie Scoreは、コミュニティへの貢献を点数にした「Axieの履歴書」だ。配点はAxie NFTの保有が40%、Treasuryへの貢献が30%、コミュニティ貢献が20%、ゲーム内の成績が10%。このAxie Scoreの称号が、bAXSからAXSへの交換レートを左右する。

2025年8月には、Sky Mavisが独立した非営利団体Axie Infinity Foundationの設立を進めると発表。財団はオンチェーン投票の決定に従ってTreasuryの資産を動かす役割を担うとされている。

AXSの価格動向:最高値から99%超下落

AXSは2021年11月6日に最高値の18,701.87円を付けた。当時、AxieはEthereumのゲームで日間・週間・月間のアクティブユーザー数が1位だったとホワイトペーパーに記されている。

2026年10月20日現在の価格は約158円で、最高値から約99.2%下落した水準だ。

直近1年(2025年10月21日〜2026年10月20日)のチャートでは、約242円から約158円へ約35%下落している。

一方で、2026年1月には1月1日の約126円から1月24日の約457円まで急騰し、直近1年の最高値を付けた。2月6日の公式ブログは、韓国でのショートスクイーズをAXSの今後の用途への関心の表れと説明している。SLP配布停止やbAXS導入との直接の関係は明かされていない。

AXSのトークン配分と供給スケジュール

AXSの使い道は投票とステーキングが中心だ。発行上限は2億7,000万AXSで、ホワイトペーパー上の配分は以下の通り。

区分 割合 枚数
ステーキング報酬 29% 7,830万AXS
Sky Mavis 21% 5,670万AXS
Play and Earn 20% 5,400万AXS
パブリックセール 11% 2,970万AXS
エコシステム基金 8% 2,160万AXS
アドバイザー 7% 1,890万AXS
プライベートセール 4% 1,080万AXS

公式の放出スケジュール表は、2020年11月4日の初期流通量22.22%から始まり、90日刻みで22回目に100%へ達する。日付に直すと計算上は2026年4月頃だ。ただし放出済みの分にはTreasuryが持つAXSも含まれ、すべてが市場で流通しているわけではない。CoinGeckoの流通量は約1億7,560万AXSとなっている。

2025年11月には、AXSのステーキング報酬が9日ごとに5%ずつ減る方式に変更され、12月1日から始まった。運営はステーキング報酬枠のおよそ95%をすでに配ったとしている。bAXSをステーキングしても、報酬はAXS建てで1対1で計算され、投票権もAXSと同じ重みを持つ。

いまのAxie Infinityで「稼ぐ」仕組み

現在の報酬は決まった額を配るのではなく、上位入賞か土地の持ち分でプールを分け合う形だ。AXSへ換えるときは称号しだいでさらに目減りするため、「いくら稼げるか」に固定の答えはない。

Origins:上位2,000人で8万bAXSを分け合う

Originsはシーズンごとに報酬が出るカードバトルだ。シーズン19(2026年9月30日〜11月25日)は、上位2,000人で8万bAXSを分け合う。カードバトルで報酬を得るには、上位に入る実力が要る。

Terrariums:土地の種類ごとのプールを按分

Terrariumsの報酬は、土地の種類ごとに決まったプールを按分する方式だ。たとえばArcticの月間プールは38,893 bAXS(1 Tickあたり54.02 bAXS)で、同じ種類の稼働中プロット全体のAtia’s Flameに対する自分の比率で取り分が決まる。

参加者が増えるほど1人の取り分は減る。無料のプロットも取得できるが、置けるAxieは10体で、bAXSもAXPも得られないお試し用だ。所有するプロットには30体まで置ける。

燃料のLuniumは、取引できないオフチェーンの資源。購入分は25,000 Lunium=0.99ドルから買え、無料分は各プロットで回復するが、満タンまで約5日かかる。

Bounty Board:配分の半分以上は順位報酬

App.axieのクエストであるBounty Boardは、2026年2月1日の告知で総額27,000 AXSの配分を改めた。上位3,000人の順位報酬が15,000 AXS、獲得ポイントに比例する一般枠が7,000 AXS、Master Questが5,000 AXS。その後、報酬はbAXSへ移すとされている。

スカラーシップ:借りる側は「卒業」が前提に

他人のAxieを借りて遊ぶスカラーシップは、2024年にApp.axieの貸し出し(Delegation)機能として公式に組み込まれた。ただし借りる側のままではbAXSの交換レートが低くなる。共同創業者のJihoz氏は2026年2月の配信で、スカラーが良い交換レートを得るにはコレクターへ「卒業」する必要があると述べている。

Axie Infinityの注意点・リスク

Axieには、チェーンの流出事件、米国の訴訟での名指し、Axieの供給過剰、ウォレットと送金ネットワークの切り替えという4つの注意点がある。とくに送金のネットワークを間違えると、資産は戻らない。

2022年のRoninブリッジ流出事件

2022年3月23日、Roninのブリッジから173,600 ETHと2,550万USDCが2回の取引で流出し、3月29日に発覚した。入出金は9つのバリデーターのうち5つの署名で承認される仕組みで、攻撃者はSky Mavisの4つとAxie DAOの1つを掌握していた。

Roninは流出の根本原因をバリデーターの数が少なかったことだと説明。4月14日にはFBIが北朝鮮のLazarus Groupによる犯行と特定し、米財務省が受取アドレスを制裁対象に指定した。

Sky Mavisは4月6日、Binance主導で1億5,000万ドルを調達し、自社とAxieの手元資金と合わせて被害を受けたユーザーに補償すると発表。ブリッジは6月28日に再開した。

米SECによる「証券」指摘とその後の取下げ

米証券取引委員会(SEC)は2023年6月5日のBinanceに対する訴状で、AXSを証券に当たる暗号資産の1つとして名指しした。同じ6月のCoinbaseに対する訴状でもAXSを挙げている。

SECは2025年2月27日にCoinbaseへの訴えを、5月29日にBinanceへの訴えを、それぞれ共同の申立てで取り下げた。取下げは裁量と政策上の判断によるもので、ほかの暗号資産訴訟への立場を示すものではないとされている。規制の判断が確定したわけではなく、今後の扱いが変わりうる点には注意が必要だ。

約1,200万体のAxie供給過剰

運営自身が、Axieの数が多すぎると認めている。2026年1月の配信では、Axieが約1,200万体あり供給過剰だとし、焼却を強める仕組みで減らすことを最優先の課題の1つに挙げた。

Waypoint終了と送金ネットワークの取り違え

ソーシャルログイン型のウォレット「Ronin Waypoint」は終了し、資産の移行期限は2026年10月16日だった。公式は、Waypointに残した資産は使えなくなる可能性があると注意を呼びかけている。

AXSはEthereumとRoninの両方にあり、受け取る側が対応していないネットワークで送ると資産を失う。bitbankで入出金できるAXSはEthereum上のERC20だけで、Roninネットワークからの送金には対応していない。誤ってRoninから送った場合は回復できないとbitbankは告知している。

AXSの買い方とゲームで使うまで

AXSは国内の登録業者5社が扱っている。投資として持つだけなら国内の業者で足り、ゲームで使うならRonin上のAXSが必要になる。

  • bitFlyer
  • bitbank
  • BitTrade
  • Coincheck
  • Binance Japan

国内で最初にAXSを扱ったのはbitbankで、2022年12月7日に取引所のAXS/JPYで取扱いを開始。最小注文数量は0.0001 AXSだ。Coincheckは2023年9月21日にアプリの販売所で取扱いを開始。bitFlyerは2024年2月5日に販売所での取扱いを始めたが、AXSの送付・預入には対応していない。

ゲームで使うには、Ronin Walletを用意し、Ronin公式の案内に沿って資金を移す必要がある。bitbankから出金できるAXSはEthereum版のため、そのままではAxieのゲームで使えない。AxieのゲームやApp.axieではRonin上の資産を使う。Ronin公式は資金を入れる方法として、EthereumからETHをブリッジする方法などを挙げている。

Atia’s LegacyとTerrariumsが握る将来性

公式が示す次の材料は、Web3を知らない人に向けたMMOの試遊と、TerrariumsやOrigin Axieの拡張だ。どれも日程か中身が固まっておらず、期待だけでなく「いつ何が出るか」を公式の発表で確かめる段階にある。

Atia’s LegacyはAxieの世界を舞台にしたMMOで、2024年5月から開発が続いている。iOS・Android・PCで遊べるプレイテストを重ね、2026年7月の第3回ではリアルタイムのPvPを試した。次のプレイテストでは、第1〜3回の内容をまとめた試遊版を、AxieもWeb3も知らないプレイヤーに遊んでもらい、聞き取りを行う。取引を伴うオープンな経済を最終目標としつつ、まずはゲーム自体の完成を優先する方針だ。

Terrariumsは、初の期間限定イベント「Halloween 2026」を2026年10月24日〜11月7日に開催。NightmareのAxieとアクセサリーにAtia’s Flameの上乗せが付く。Axieのレベル上限を60から120へ引き上げる計画や、土地を持たない人が空きプロットにAxieを置いて報酬を地主と分け合う「Hosted Plots」も検討されているが、どちらも確定ではない。

さらに、当初のOrigin Axieを新たに生む仕組みも動き出す。Origin Axieは2018年のプリセールで生まれたAxieで、供給の上限は4,088体。2026年8月の発表では、Originプリセール由来のトークンAOC(Atia Original Crystal)を5枚使い、新しいOrigin Axieを生む仕組みがApp.axieで再開される。各パーツは独立に7%の確率で、珍しいMysticのパーツになる。

Axie Infinityは終わったゲームではなく、「遊んで稼ぐ」の中身が、Axie Scoreの称号で受取額が決まる仕組みに変わったところだ。AXSを持つか、ゲームで遊ぶかを考えるときは、報酬の仕組みと送金のネットワークを公式の発表で確かめておくと判断しやすくなる。

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