カリフォルニア州「ゲーム保護法案」、上院委員会で否決

カリフォルニア州上院委員会がAB 1921を否決し、ゲーム保存をめぐる議論に新たな局面が生まれました。

投稿者 central
業界団体ESAの反対により、デジタルゲーム保存法案が頓挫。
ハイライト
  • AB 1921はサービス終了後もゲームをプレイ可能にする義務を事業者に課す法案です。
  • 上院委員会での投票は賛成4票、反対3票、棄権4票で否決されました。
  • Stop Killing GamesはUbisoftの『The Crew』のサービス終了を契機に設立されました。

カリフォルニア州上院の委員会は現地時間6月29日、ビデオゲームの永続的なプレイ環境を事業者に義務付ける法案「AB 1921a(Protect Our Games Act)」を否決した。再審議の道は残されているものの、今回の会期内での成立は絶望的となった。同法案は消費者保護団体「Stop Killing Games(SKG)」が起草に関与したことで注目を集めていたが、業界団体の強い反対論を覆すには至らなかった。

「ゲーム保護法案」AB 1921とは何か

AB 1921は、デジタルゲームの販売事業者に対し、公式サービス終了後も購入者が引き続きゲームをプレイできる環境を維持することを求める法案である。具体的には、サービス終了の60日前までの告知、代替バージョンの提供やパッチの配信、プライベートサーバー構築に必要なドキュメントの公開などを義務付け、それらが不可能な場合には購入者への返金を課す内容だった。

対象となるのは2028年1月1日以降に発売または再リリースされるデジタルゲームのうち、通常のプレイに運営元のサービスが必須となる作品に限定されていた。無料配布ゲームやサブスクリプションサービス、もともとオフラインで永続的にプレイ可能なゲームは除外されていた。

上院委員会での投票結果

法案は5月27日にカリフォルニア州下院を通過し、上院での審議に進んでいた。上院では本会議に先立ち、専門の委員会での承認が必要となる。6月29日に開かれた「ビジネス・専門職・経済開発委員会」の投票の結果は、賛成4票、反対3票、棄権4票。委員会通過に必要な過半数(全11票中6票)に届かず、否決された。

Stop Killing Gamesと法案の背景

SKGは、Ubisoftのレーシングゲーム『The Crew』が常時オンライン接続を要件としていたために公式サーバー停止に伴い完全にプレイ不能となった事件を契機に発足した団体だ。同作はシングルプレイも可能な作品でありながら、オンライン認証が必須だったため、2024年のサービス終了とともに二度と起動できない状態となった。この事例はデジタルゲームの所有権と保存の問題を浮き彫りにし、消費者保護法制の必要性を強く印象付けた。

SKGは今回のAB 1921の起草にも関与。今回の否決についてReddit上で声明を発表し、下院通過と上院委員会審議入りを一定の成果と評価。その上で、カリフォルニア州に留まらず他の州や連邦政府レベルでの活動を継続する意向を示した。欧州でもEUに対して類似の法案を求める運動を展開している。

ESAの反対論と業界への影響懸念

これに対し、米国ゲーム業界団体Entertainment Software Association(ESA)は強く反対していた。ESAは6月9日に公開した文書で、旧作の恒久的な保護が義務化されれば、企業がオンラインゲームのリリースに慎重になり、業界全体の萎縮を招くと主張。結果として野心的なオンラインゲームの減少という形で消費者も不利益を被ると論じた。ESAは州議会の公聴会でも同様の意見を述べており、委員会の採決においてもこれらの主張が考慮されたと見られる。

今後の展望と注目点

AB 1921は再審議が許可されているため、修正を経て再提出される可能性は残る。しかし、今回の否決はデジタルコンテンツの保存と消費者保護を巡る米国での法的な議論に一つの節目をもたらした。SKGが活動を続ける限り、同様の法案が他州や連邦レベルで提出される可能性は高い。特に欧州での動きと合わせ、ゲーム業界全体のビジネスモデルに影響を及ぼす可能性があるだけに、今後の展開から目が離せない。

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