静岡県の富士山麓で8月28日未明から朝にかけて記録的な大雨が降り、山梨県と静岡県の県境に位置する富士山の主要登山口の一つで大規模な土砂崩れが発生した。この土砂崩れにより、駐車場に停められていた車両3台が土砂に巻き込まれる被害が出たが、幸いにも負傷者は報告されていない。
TBSの報道などによれば、土砂崩れが発生したのは、富士山の5合目までアクセスできる主要道路「富士スバルライン」の周辺。大雨の影響で同路線はすでに全面通行止めとなっていたが、登山者や観光客の車両が駐車場に残されているところを土砂が直撃した。地元の消防や警察による緊急的な確認作業が行われた結果、車両内に人はおらず、住民や登山者にケガはないことが確認されている。
駿河湾近くの大雨、富士山周辺を直撃
この一連の荒天をもたらしたのは、静岡県の山間部を中心に発達した雨雲。気象庁によると、28日未明から朝にかけて、富士山周辺を含む静岡県東部から中部にかけて非常に激しい雨が降り、1時間に50ミリを超える「滝のような雨」が観測された地域もあるという。この大雨により、富士山の火山灰を含んだ脆弱な地盤が緩み、土砂崩れが誘発されたとみられる。
富士山の土砂災害としては、過去にもゲリラ豪雨や台風の通過に伴い、登山道や林道が寸断される事例は発生している。しかし、主要なアクセス道路であり、観光の拠点ともなっている富士スバルラインの駐車場エリアが土砂に覆われる形となったのは、近年では異例の事態と言える。
同じ静岡県内で別の土砂崩れ、作業員1人死亡
同じ静岡県内では、前日の27日夜にも痛ましい土砂災害が発生している。川根本町(かわねほんちょう)で発生した土砂崩れに巻き込まれて意識不明となっていた作業員1名が、その後死亡が確認された。地元自治体によれば、この作業員は大雨に伴う警戒作業にあたっていたとみられ、救助活動が続けられたが、命を救うことはできなかった。
この一報は、幸いにも人的被害を免れた富士山の土砂崩れとは対照的に、大雨がもたらす危険性の深刻さを改めて浮き彫りにしている。
富士山登山者2人が意識不明の状態で発見される
さらに富士山では、同日未明、別の登山ルートで男性登山者2名が意識不明の状態で倒れているのが発見された。静岡県警によると、いずれも体調不良を訴えていたとみられ、県警の山岳救助隊が現場に急行。現在、詳細な状況と土砂崩れとの関連性が慎重に調べられているが、現時点では直接的な因果関係は確認されていない。
シーズン真っただ中の富士山では、ここ数日、不安定な天候が続いており、登山者には最新の気象情報を確認した上での行動が強く求められる。
名古屋では1時間に104.5mmの記録的豪雨、41人負傷
この大雨の影響は、静岡県にとどまらなかった。27日夜には、隣接する愛知県や岐阜県でも非常に激しい雨が観測され、広範囲で浸水被害が発生。特に名古屋市では、1時間に104.5ミリという観測史上最大級の記録的豪雨を記録。NHKの報道によると、帰宅時間帯と重なったこともあり、交通機関が広範囲でマヒ。駅には多くの帰宅困難者が滞留し、混乱が生じた。
名古屋市内の地下街やアンダーパスでは雨水が一気に流れ込み、車両が立ち往生するなどの被害が相次いだ。また、一連の豪雨により愛知県と岐阜県では、転倒や浸水によるケガなどで少なくとも41名の負傷者が確認されている。
気象庁「28日午後にかけて警戒を」
気象庁は、この一連の大雨について、東北地方から西日本にかけての広い範囲で大気の状態が非常に不安定となっていることが原因だと説明。28日午後にかけて、同じ地域で激しい雨や雷雨が続く恐れがあるとして、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水に対する厳重な警戒を呼びかけている。
特に富士山周辺では、一度緩んだ地盤が再び崩落する「二次災害」のリスクが高まっている。登山や観光を予定している方は、市町村や警察、富士山の公式ウェブサイトが発信する最新の通行規制情報や避難指示に必ず従い、決して危険なエリアには近づかないようにしてほしい。