任天堂の欧州法人Nintendo of Europeは7月6日、EU域内で販売するNintendo Switch 2および関連周辺機器について、ユーザーが自身でバッテリーを交換可能な仕様に順次切り替えると発表した。この変更は、2023年8月に発効した「EU Battery Regulation(欧州電池規則)」に対応するもので、2027年2月以降、携帯型デバイスのバッテリーはユーザー交換可能であることが義務付けられる。これに先駆け、任天堂は今年夏以降、該当製品のリビジョン切り替えを開始する。
Nintendo Switch 2と周辺機器、バッテリー交換可能仕様へ
今回の仕様変更の対象となるのは、Nintendo Switch 2本体に加え、Joy-Con 2、Nintendo Switch 2 Proコントローラーといった周辺機器だ。任天堂は、この変更によって機能面での違いは生じないと説明しているが、細かなスペックには若干の変動がある。
具体的には、Nintendo Switch 2本体のバッテリー容量は現行モデルから約1%少ない5172mAhとなる。また、本体重量は約10g増加するという。同様に、Joy-Con 2やProコントローラーも数グラムの重量増が見込まれている。これらの変更は、ユーザーがバッテリーを容易に取り外し、交換できる設計にするための物理的構造の変化に起因するものとみられる。
EUの電池規則は、バッテリーの製造から廃棄、リサイクルまでのライフサイクル全体を対象とし、循環型経済への移行を促すことが目的だ。家庭用ゲーム機の分野では、携帯モードでの使用が主要なNintendo Switchシリーズが、真っ先に対応を迫られる形となった。
EU域内で初代Nintendo Switchが終売へ
同時に、任天堂はNintendo Switchシリーズ各本体について、EU域内での販売を終了する方針も明らかにした。小売店への出荷および公式オンラインストアでの販売は2027年2月中旬をもって終了となる。
発売から10年近くが経過し、すでに後継機であるNintendo Switch 2が市場に投入されている状況を踏まえると、これは製品ライフサイクルとして自然な終売と言える。EU市場においては、バッテリー交換が不可能な現行モデルを2027年2月以降も販売し続けることが規則違反となるため、その前に在庫を整理する意味合いも強いと見られる。
日本市場への影響は?
今回の一連の発表は、あくまでEU域内を対象としたものである。日本を含むその他の地域においては、現時点で同様の仕様変更や販売終了の予定はアナウンスされていない。そのため、日本のユーザーが購入するNintendo Switch 2のバッテリーは従来通り交換不可の仕様であり、初代Nintendo Switchの販売も継続されると考えられる。
ただし、EUの規制は世界の環境基準や消費者保護の潮流を先取りすることが多く、将来的に日本や他の主要市場で同様のルールが導入される可能性は否定できない。日本国内でも、リサイクルや修理の容易さを求める消費者の意識が高まっており、この動きがメーカーの製品設計に与える影響は少なくない。
EU電池規則がもたらすゲーム機業界の変化
ユーザー自身がバッテリーを交換できる設計は、製品の耐久性や長期使用の観点でメリットがある。一方で、本体の薄型化や軽量化、防水・防塵性能の確保といった他の設計要素とのトレードオフになるケースが多い。今回、Nintendo Switch 2が約10gの重量増と容量の微減を受け入れたのは、規則遵守と製品品質のバランスを取った結果と言える。
任天堂は、スイッチのアーキテクチャーやソフトウェア資産を継承しながら、持続可能性という新たな市場要件に適応する第一歩を踏み出した。長期的に見れば、バッテリー交換性の確保はゲーム機の標準仕様となり、各社の設計思想を問う試金石となるだろう。