LINEは2025年6月、同社のAIアシスタント機能「Agent i(エージェント アイ)」を正式にリリースした。この新機能は、トーク画面から利用できるAIチャットであり、Yahoo!連携による買い物相談や画像生成、さらにはトークの「ムード分析」までを1つのインターフェースで実現する。本稿では、「Agent i」の具体的な使い方と、不要な場合にメッセージ欄から一時的に消す非表示設定について、実際の操作手順を交えながら解説する。
「Agent i」とは何か——LINEに組み込まれたマルチAIアシスタント
「Agent i」は、LINEのトークルーム内で動作するAIエージェントである。ユーザーがテキストで指示を送ると、買い物の提案、天気予報、ニュースの要約、画像生成など、多岐にわたるタスクを実行する。特筆すべきは、Yahoo!のショッピング情報と連携している点だ。例えば「予算2万円以内で良いスニーカーを教えて」と尋ねれば、Yahoo!ショッピングの商品データベースから条件に合ったアイテムを提示する。この連携により、単なるチャットボットを超えた実用的な購買支援が可能となっている。
トーク「ムード分析」で話題——SNSで広がる新しい遊び方
特にSNSで注目を集めているのが、「ムード分析」機能だ。これは、特定のトークルームにおける会話の雰囲気や感情の傾向をAIが解析し、「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」といった指標で可視化する。ユーザーは「このグループのノリを分析して」と指示するだけで、直近の会話からムードスコアが算出される。友人同士の雑談や仕事のやり取りなど、あらゆるトークを対象にできるため、SNSでは「意外な結果が出た」「笑った」といった投稿が相次いでいる。
ただし、この分析はあくまで娯楽・参考目的であり、LINEが公式にプライバシーを侵害する意図で実装したものではない。分析結果はユーザーのトーク内容をもとに生成されるが、データは外部に送信されることなく、エンドツーエンドで処理される設計となっている。
画像生成から日常タスクまで——具体的な使い方
画像生成機能:テキストからビジュアルを即座に作成
「Agent i」には画像生成機能も搭載されている。ユーザーが「猫がサーフィンしているイラストを描いて」と入力すると、AIがテキストを解釈し、対応する画像を生成する。精度は一般的な画像生成AI(Stable Diffusion系)と同等であり、SNSのアイコン作成やプレゼン資料のビジュアル案として活用できる。
情報検索・スケジュール管理
さらに、天気予報やニュースの要約、リマインダーの設定といった日常的なタスクにも対応する。「明日の東京の天気は?」と聞けば気象情報を、「今週のニューストップ3を教えて」と指示すれば主要ニュースをリストアップする。これらはすべてトークの延長線上で実行できるため、アプリを切り替える手間が大幅に削減される。
非表示設定の方法——メッセージ欄から一時的に消す手順
一方で、「Agent i」をあまり使わない、あるいはトークルームに表示されるAIからのメッセージが煩わしいと感じるユーザーもいるだろう。その場合、メッセージ欄から一時的に非表示にすることが可能だ。手順は以下の通りである。
- LINEのトップ画面(友だちリスト)を開く
- 「Agent i」のトークルームを長押しする
- 表示されるメニューから「トークルームを非表示」を選択
これにより、トーク一覧から「Agent i」が消える。ただし、非表示はあくまで表示を一時的に隠すだけであり、トーク履歴や設定が削除されるわけではない。再度利用したい場合は、LINEの設定メニューから「Agent i」を探し、トークルームを復元すればすぐに再開できる。
また、完全に無効化したい場合には、「設定」→「Agent i」→「Agent iを無効にする」という手順で機能自体をオフにすることも可能だ。この場合、LINEのサーバー側でAgent iの動作が停止するため、トークルームの再表示はできない点に注意が必要である。
実際の活用シーン——買い物からエンタメまで
では、実際のユーザーはどのように「Agent i」を使っているのか。いくつか代表的なシーンを挙げる。
- 買い物相談:「プレゼントにワインを探している。5000円以下でおすすめは?」——Yahoo!ショッピングのデータから条件に合う商品を複数提示してくれる。
- 旅行計画:「3泊4日で沖縄旅行を計画して。観光スポットとホテルを教えて」——観光情報と宿泊施設の候補をリストアップする。
- 創作サポート:「ブログのヘッダー画像を作ってほしい。青空と街並みのイラストで」——画像生成機能でビジュアルを即座に作成。
- グルメ探索:「渋谷でランチにおすすめの店を3つ教えて」——地域とジャンルに応じた飲食店情報を提供する。
これらのタスクは、従来であれば複数のアプリやウェブサイトを跨いで行う必要があった。しかし「Agent i」では、LINEという日常的に使うプラットフォーム内で完結する点が最大の利点といえる。
今後の展望——AIアシスタントの競争とLINEの戦略
「Agent i」の登場は、日本におけるAIアシスタント市場に新たな風を吹き込むものだ。既存のChatGPTやGoogleアシスタントと比較すると、Yahoo!との連携による実用的な購買データへのアクセスが明確な差別化ポイントとなっている。特に、LINEが国内で圧倒的なユーザー基盤を持つことを考えれば、この連携は非常に強力な武器である。
一方で、プライバシーやデータ取り扱いに関する懸念も常につきまとう。LINEは「Agent i」におけるユーザーデータの処理について、匿名化処理を施した上で機能提供を行っていると説明しているが、ユーザー側でも非表示設定や無効化の方法を把握しておくことが、安心して使いこなすための第一歩となるだろう。
「Agent i」は今後、さらに機能拡張が予定されており、外部サービスとの連携強化や、より高度な自然言語処理への対応が期待される。まずは、非表示設定も含めた基本操作を押さえた上で、自分のライフスタイルに合った使い方を模索してみてはいかがだろうか。