米バイオ企業、ドードー復活へ前進 AIで遺伝子変化を特定

AIが解き明かしたドードーの頭蓋顔面の遺伝子変化。絶滅種復活プロジェクトが新たな段階へ。

投稿者 central
ハイライト
  • コラッサル・バイオサイエンシズがAIプラットフォームでドードーの頭蓋顔面の遺伝子変化を特定した。
  • ドードーは17世紀に人間の活動によって絶滅した飛べない鳥である。
  • 最終目標は遺伝子編集でドードーの形質を再現し、モーリシャス島に戻すことだ。

人間によって17世紀に絶滅させられた鳥ドードー。その復活を目指す米バイオ企業が、AIを駆使して新たな前進を遂げました。テキサス州ダラスに本社を置くコラッサル・バイオサイエンシズ(Colossal Biosciences)は、新たに開発したAIプラットフォームによって、ドードー特有の頭蓋顔面の形態を決定づける遺伝子変化の特定に成功したと発表しています。

ドードー復活計画とは?

ドードー復活計画とは、AIでドードーの頭蓋顔面に関わる遺伝子変化を特定し、最も近い現生種であるニコバルバトへの遺伝子編集を通じてドードーの形質を再現し、原産地のモーリシャス島に戻すことを目指すプロジェクトです。

今回の発表は、同社が進める「絶滅種復活(デ・エクスティンクション)」計画の一環です。ドードーは大型でかぎ状のくちばしを持つ飛べない鳥として知られ、人間の活動によって17世紀に絶滅しました。最終目標は、この鳥をインド洋の島国モーリシャスの自然環境へ戻すことにあります。

AIが特定した「頭蓋顔面」の遺伝子変化

コラッサル・バイオサイエンシズは現地時間の水曜日、新たに開発したAIプラットフォームにより、ドードーの特徴的な頭蓋顔面(クラニオフェイシャル)の形態に関わる遺伝子変化を特定したと発表しました。

解析のポイントは、遺伝子配列の比較だけにとどまらず、「どの遺伝子変化がドードーの顔つきを作り出したのか」という点まで踏み込んだことです。AIが頭蓋顔面の特徴に関連する遺伝子変化を絞り込んだことで、遺伝子編集を施すべき標的(ターゲット)が明確になりました。

ドードーの大きな頭部とかぎ状のくちばしは、島の生態系の中で果実や種子などの餌を処理するために発達したと考えられています。こうした形態を生み出す遺伝子の変化を特定できたことは、“復活”への具体的な第一歩と言えるでしょう。

人間に絶滅させられた「悲劇の象徴」ドードー

ドードーは、モーリシャス島にのみ生息していた固有種です。天敵のいない環境で進化したため、飛ぶ能力を失い、地上で生活するようになったとされています。

17世紀、モーリシャスに到達した人間の活動によって、ドードーの個体数は急速に減少しました。乱獲に加え、入植者などによって持ち込まれた動物が卵や幼鳥を捕食したことが、絶滅の主要原因とされています。人間がドードーを「発見」してからわずか数十年で、この鳥は地球上から姿を消しました。現在では、人間が引き起こした絶滅の象徴として、環境保護の文脈でもたびたび言及されています。

遺伝子編集のベースになる「ニコバルバト」

同社は、ドードーの形質を再現するための遺伝子編集を、最も近い現生種であるニコバルバトの細胞に対して行う計画です。

ニコバルバトは東南アジアの一部の島々に生息するハトの仲間で、緑と銅色に輝く羽毛を持つことが特徴です。ドードーとは異なり、飛翔能力を今も維持しています。

項目 ドードー ニコバルバト
生息地 モーリシャス島(インド洋) 東南アジアの島々
飛翔能力 飛べない 飛べる
外見の特徴 かぎ状の大きなくちばし 緑と銅色に輝く羽毛
現在の状況 17世紀に絶滅 現生種として生息

計画の第一段階は、ニコバルバトの細胞にドードーの遺伝子変化を導入し、ドードー特有の形質を細胞レベルで再現することです。最終的には、よみがえらせたドードーをモーリシャスの自然環境へ戻すことが目標に掲げられています。

復活への課題と「絶滅種再生」の行方

とはいえ、今回の発表はあくまで「遺伝子変化の特定」という初期段階の成果です。遺伝子編集によってドードーの形質を細胞内で再現できたとしても、そこから実際の個体を育て、繁殖させ、自然界で安定的に生息させるところまで到達するには、まだ多くのハードルが残されています。

生物の形態は単一の遺伝子ではなく、複数の遺伝子が複雑に作用し合って形成されます。頭蓋顔面の特徴を再現できたとしても、ドードー特有の行動や生態、繁殖のあり方までを含めて“よみがえらせる”ことができるかどうかは、現時点では未知数です。

それでも、AIによる遺伝子解析と遺伝子編集技術の進展は、絶滅種の復活をSFの空想から現実の研究テーマへと押し上げています。人間が失わせた生物多様性への向き合い方を問いかけるコラッサル・バイオサイエンシズの挑戦は、今後の科学と社会の議論を左右する存在になるかもしれません。

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