未婚者の結婚意思、初の8割割れが判明

未婚者の結婚意思が初めて80%を下回り、男性75.1%、女性77.8%に。背景と影響を詳しく解説。

投稿者 central
ハイライト
  • 未婚者の結婚意思が初めて80%を下回り、男性75.1%、女性77.8%に低下した。
  • 「一生結婚するつもりはない」と回答した男性が24.0%、女性が21.5%に達した。
  • 結婚にメリットを感じない男性は42.8%、女性は36.0%に上昇した。

国立社会保障・人口問題研究所が2025年6月に実施した「出生動向基本調査」の結果が明らかになり、未婚者の結婚意思が初めて80%を下回ったことが判明した。18歳から34歳の未婚男女を対象とした調査では、男性の75.1%、女性の77.8%が「いずれ結婚するつもり」と回答。それぞれ前回2021年の調査から6ポイント以上の減少を示し、未婚者を対象とした1982年の調査開始以来、初めて80%台を割り込む結果となった。

この調査は、18歳から54歳までの未婚男女6,756人と、妻が55歳未満の夫婦5,024組から有効回答を得て実施された。同研究所の担当者は、「一人で暮らしていても寂しいと思わない人が増えていることに加え、乳幼児と接した経験がない人が増加している。これらの傾向が結婚や出産に対する意欲の低下に結びついている」と分析している。

本記事では、この調査結果を基に、未婚者の結婚観の変化、その背景にある社会構造の変容、そして将来的な人口動態への影響について詳しく解説する。

未婚者の結婚意思、初の8割割れ——数字が示す意識変容

今回の調査で最も注目すべきは、18〜34歳の未婚者の結婚意思が男性75.1%、女性77.8%と、いずれも前回比6ポイント以上の下落を記録した点だ。「いずれ結婚するつもり」の割合が80%を下回るのは、未婚者のみを対象とした調査が始まって以来初めての出来事である。

さらに深刻なのは、「一生結婚するつもりはない」と回答した割合が男性で6.7ポイント上昇の24.0%、女性で6.9ポイント上昇の21.5%に達し、初めて20%台に乗ったことだ。4人に1人の男性、5人に1人の女性が結婚を人生の選択肢から外しているという現実は、少子化問題の根深さを改めて浮き彫りにしている。

結婚のメリットを実感できない——数字が裏付ける価値観の変化

結婚に対する意識の変化は、「結婚の利点」に対する認識にも顕著に表れている。調査によると、結婚にメリットを感じないと答えた男性は前回比約7ポイント増の42.8%、女性は同約7ポイント増の36.0%に上った。

内訳をみると、「子どもや家庭を持てる」「心の安らぎが得られる」「経済的に余裕が持てる」といった項目で、肯定的な回答がいずれも減少。従来、結婚の大きなメリットとされてきた要素が、現代の若者には必ずしも魅力として映らなくなっている実態が浮き彫りとなった。

この背景には、非正規雇用の増加や実質賃金の伸び悩みといった経済的要因に加え、SNSの普及による多様な生き方の顕在化、あるいは「個人としての自立」を重視する価値観の浸透があるとみられる。

「結婚しなくても寂しくない」——孤独観の変化が結婚離れを加速

国立社会保障・人口問題研究所の担当者が指摘した「一人で暮らしていても寂しいと思わない人の増加」は、結婚離れを説明する上で極めて重要な要素だ。かつては「結婚=老後の孤独を防ぐ手段」という側面があったが、友人関係やオンライン上のコミュニティの充実、あるいは趣味への没頭によって、孤独感を充足できる人が増えていると考えられる。

加えて、「乳幼児と接した経験がない」人の増加も、結婚や子育てに対する漠然とした不安や距離感を生む要因となっている。核家族化が進み、身近に乳幼児に触れる機会が減少した結果、結婚と子育てのリアリティが若者の実感から遠のいているとの指摘は、少子化問題を語る上で看過できない。

結婚の出会い方の変化——オンラインが職場・友人の紹介と同水準に

一方、既婚者を対象とした調査からは、出会い方の大きな変化も読み取れる。結婚5年未満の初婚カップルについて、交際のきっかけを尋ねたところ、「マッチングアプリや出会い系サイトなどのオンライン」が約20%に達し、前回調査の2倍に増加。これは「職場や仕事を通じて」「友人・兄弟姉妹の紹介」とほぼ同水準となった。

オンラインでの出会いが結婚に至る主要なルートの一つに成長したことは、婚活市場のデジタルシフトが加速していることを示す。しかし、こうした出会いのツールが普及してもなお、全体としての結婚意思が低下している点は、ツールの充実だけでは解決できない構造的な問題の存在を示唆している。

理想の子ども数は減少、不妊治療の現実

調査では、既婚夫婦が理想とする子ども数についても、平均2.18人と前回調査からわずかに減少した。また、4.4組に1組の割合で、不妊検査や治療を受けた経験があることが明らかになった。

「理想の子ども数」の減少傾向は、経済的な子育て費用の負担感や、仕事と子育ての両立に対する不安、あるいは住宅問題など、現実的な障壁の大きさを反映しているとみられる。不妊治療の経験率の高さも、晩婚化が進む中で、希望するタイミングで子どもを持てない夫婦が増えている実態を裏付けている。

専門家の見解——結婚離れの構造的要因と今後の政策課題

今回の調査結果は、結婚を取り巻く環境が単なる「意識の問題」ではなく、経済的不安定、社会的つながりの変化、子育て環境への不安など、複合的な要因が絡み合った構造的な問題であることを如実に示している。

政府はこれまで、児童手当の拡充や育児休業制度の取得促進など、子育て支援策を拡充してきた。しかし、結婚自体を希望しない層の拡大は、結婚前の経済的基盤の強化や、未婚者が子育てのリアリティに触れる機会の創出、あるいは結婚に代わる多様な家族のあり方を社会的に認容する議論など、より広範なアプローチの必要性を示唆している。

未婚者の結婚意思の8割割れは、日本の人口動態が新たなフェーズに入ったことを告げるシグナルであり、今後の少子化対策の枠組みそのものの見直しが求められていると言えるだろう。

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