元『ウィッチャー3』開発陣が仕掛ける、自由すぎる吸血鬼RPGの全貌

投稿者 central

バンダイナムコエンターテインメントは9月3日、オープンワールドアクションRPG『The Blood of Dawnwalker』を発売する。本作は、『ウィッチャー3 ワイルドハント』のゲームディレクターを務めたKonrad Tomaszkiewicz氏が率いるポーランドのスタジオRebel Wolvesのデビュータイトルであり、発表当初から業界内外で大きな注目を集めてきた。本稿では、同スタジオのナラティブディレクター、Jakub Szamałek氏へのインタビューを基に、開発陣が本作に込めた「自由」へのこだわりと、吸血鬼RPGとしての斬新な設計思想に迫る。

「積み木」をプレイヤーに渡す物語設計――見えない壁からの解放

本作の最大の特徴は、従来のRPGにありがちな「ヒーローがドラゴンを倒す」という構図ではなく、感情移入を促すための「家族」を物語の中心に据えた点にある。主人公コーエンは、昼は人間、夜は吸血鬼として生きる「DAWNWALKER」となり、30日後に迫った家族の死の運命に抗う。この「30日」という制限時間が、プレイヤーに独特の緊張感と選択の重みを与える。

Jakub氏は、このシステムについて「ゲーム開発の前から持ち上がっていた計画」と明かす。従来のRPGを「列車に乗るようなもの」と例え、決められた路線を辿ることで「見えない壁」を感じさせると批判。「本作は車に乗るようなもの。行き先を決めるハンドルを握るのはプレイヤーだ」と語り、ストーリークエストに縛られない自由な探索体験を追求した。これにより、プレイヤーは「積み木のブロック」を渡され、自ら組み立てるように物語を紡いでいくことになるという。

「甘い囁き」としての悪――吸血鬼ならではのジレンマ

吸血鬼というテーマにおいて、Jakub氏が特にこだわったのは「歯」のモチーフだ。カボチャに歯を付ければジャック・オー・ランタンになるように、本作では歯が「悪の種」として機能するという。また、プレイヤーには動物の血を啜る行為など、「悪の甘い誘い」が常に提示される。会話中に突如として吸血衝動が顔を覗かせるシステムは開発後半に追加されたもので、これにより夜間に会話するNPCが死ぬ可能性が生まれ、物語の分岐がさらに複雑化した。

「片方に天使、片方に悪魔がいるような単純な善悪の選択ではなく、『甘い囁き』のような誘惑を表現したかった」とJakub氏。この設計は、プレイヤーに真の意味での「自由」とそれに伴う責任を突きつけるものだ。

14世紀という激動の時代――黒死病、戦争、そして吸血鬼

舞台に14世紀のヨーロッパを選んだ理由について、Jakub氏は「とても大変な時代だったから」と説明する。黒死病(ペスト)の流行、長期にわたる戦争、宗教的な激動、さらには小氷期。これらの災厄が重なる混乱期は、吸血鬼が台頭する背景として完璧な時代設定だという。開発チームは実際の歴史や考古学的リサーチを徹底し、沼地の遺跡に実在の絵画をモチーフにした装飾を施すなど、細部にまでこだわった世界構築を行っている。

影響を受けた作品としては、古のCRPG『Fallout』シリーズの「プロローグ後に広がる圧倒的な自由」や、Netflixのドラマ『真夜中のミサ(Midnight Mass)』における吸血鬼と信仰の関係性を挙げている。特に後者は、「血を飲ませる」という行為と宗教的要素の融合に強い刺激を受けたという。

160人のスタッフが注ぐ「愛の結晶」

Rebel Wolvesは設立時に約90人と報じられたが、現在は約160人規模に拡大。その内訳は開発チームが約140人、マーケティングが約20人だ。Jakub氏は「できるだけ小規模でいたかったが、ゲームの質を確保するためにはこの人数が必要だった」と語る。

日本のゲームファンに向けて、同氏は「過去に日本を訪れたことがあり、日本のゲームもプレイしてきた。日本語がもっと話せればと思うこともある。『The Blood of Dawnwalker』はお金を儲けるというより、私たちの『愛の結晶』だ。ぜひプレイしてほしい」と熱いメッセージを送った。

本作は単体で完結する作品ではなく、『The Dawnwalker Saga』として時を越え、時代を跨ぐ壮大な物語が展開されることも示唆されている。発売はPC(Steam / Microsoft Store)、PS5、Xbox Series X|S向けに9月3日。なお、日本で発売予定のCERO Z版においては、流血表現や四肢欠損などの描写が調整・変更される可能性が高い点は、購入前に留意しておきたい。

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