ストラテジー、2週連続ビットコイン購入見送り、優先株買い戻し継続

ストラテジーがビットコイン購入を2週連続見送り、優先株買い戻しに1億3930万ドルを投入。保有量は84万5050BTCで含み益約460億ドル。

投稿者 central
ハイライト
  • ストラテジーは9月8日~13日、ビットコインの追加取得・売却を行わず、購入見送りは2週連続となった。
  • 同社は現金1億3930万ドルで優先株STRCを142万467株買い戻し、ATMによる普通株売却はゼロだった。
  • ビットコイン保有量は84万5050BTCで、平均取得価格約3万9900ドルに対し、含み益は約460億ドルに達する。

米マイクロストラテジー(現ストラテジー)は2026年9月14日、9月8日から13日までの期間においてビットコイン(BTC)の追加取得および売却を行わなかったと発表した。これにより、ビットコイン購入の見送りは2週連続となる。その一方で、同社は現金1億3,930万ドルを投じて自社の優先株「STRC」を142万467株買い戻した。ビットコイン保有量は84万5050BTC(時価約800億ドル、約11.5兆円)で維持されている。

ATMによる株式売却ゼロ、現金での優先株買い戻しにシフト

今回の報告期間における最も顕著な特徴は、ATM(At-The-Market、時価発行増資)による普通株の売却が行われなかった点だ。ストラテジーは過去数カ月にわたり、ATMを活用した資金調達とビットコイン購入をセットで実施するサイクルを繰り返してきた。しかし、直近2週間はこのサイクルが停止しており、資金調達面でも投資面でも「静観」の姿勢が際立つ。

代わりに同社が選択したのは、自社の優先株買い戻しである。取得価格は1株あたり約98.06ドルで、これは前週に実施した買い戻し(2026年9月第1週に約2億ドル分)に続く措置となる。優先株の買い戻しは、発行済み株式数を減らし、1株あたりの価値向上につながる可能性がある一方で、ビットコインの追加取得に充てる資金を減少させる効果もある。ストラテジーが「ビットコインの購入」と「自社株の買い戻し」のどちらに経営資源を振り向けるかという点で、現在は後者に重心を置いている状況だ。

ビットコイン保有量84万5050BTC、取得原価と評価損益の現状

ストラテジーのビットコイン保有量は84万5050BTCで、これは全世界のビットコイン総供給量(約2100万BTC)の約4%に相当する。これまでの累計取得原価は約337億ドル、1BTCあたりの平均取得価格は約39,900ドルと推定される。ビットコイン価格が2026年9月中旬時点で約9万5000ドル前後で推移していることを踏まえると、同社の含み益は資産全体で約460億ドル規模に達している計算だ。

ビットコインの購入を一時的に見送ったとはいえ、この大量保有によるポジションそのものは維持されており、市場への影響力は依然として大きい。特に、ストラテジーが購入を再開した場合の需要インパクトや、逆に売却に転じた場合のリスクについては、暗号資産(仮想通貨)市場の参加者が常に注目しているポイントである。

2週連続の見送りは「一時的な調整」か、それとも「方針転換の前兆」か

ストラテジーによるビットコイン購入の見送りが2週連続となったことについて、市場では複数の解釈が交錯している。ひとつは、ビットコイン価格が9万ドル台後半から10万ドルという心理的節目に近づくなかで、取得単価の上昇を避けるための価格調整的な判断だという見方だ。

また、優先株の買い戻しを継続している点に着目すると、資本構成の最適化を優先している可能性が浮かび上がる。ストラテジーは過去に転換社債(CB)や優先株を活用した資金調達を積極的に行ってきたが、金利環境の変化や株価水準によっては、負債性の高い資本を圧縮する方が中長期的な株主価値の向上につながると判断したとしても不思議ではない。特に、優先株には配当支払いの義務があるため、これを買い戻して発行済み株式数を減らすことは、将来のキャッシュフロー負担を軽減する効果がある。

ストラテジーの企業戦略とビットコイン購入の歴史的経緯

ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は、2020年8月に初めてビットコインを企業財務として取得して以来、「ビットコインを財務戦略の核に置く」という異例の方針を貫いてきた。創業者であるマイケル・セイラー前会長の主導のもと、同社はビットコインの継続的な取得を企業目的として掲げ、その資金をATMによる株式発行や転換社債の発行で賄うという独自のモデルを確立した。

2024年から2025年にかけては、取得ペースを大幅に加速させた。2025年には「21/21プラン」と称する総額210億ドルの資本調達計画を発表し、その資金の大半をビットコイン購入に充当。これにより、同社のビットコイン保有量は2025年末時点で約68万BTCから一気に80万BTC超へと拡大した経緯がある。今回の購入見送りは、こうした過去2年間の積極的な積み増し局面と比較すると、明らかにトーンが変化していると言える。

優先株STRCとは何か、買い戻しの狙いを解説

STRCは、ストラテジーが2025年に発行した優先株式であり、正式名称は「ストラテジー・シリーズA・ペーパーチェック・コンバーティブル・プレファード・ストック」である。一般的な普通株とは異なり、優先的に配当を受け取れる権利を持つ一方、一定の条件のもとで普通株への転換が可能な設計となっている。投資家にとっては、比較的高い利回りを期待できる一方、株価上昇の恩恵を完全には享受できないという特性がある。

ストラテジーによる優先株の買い戻しは、単なる資本政策上の判断にとどまらず、ビットコイン価格の変動に対するヘッジとしての側面もある。ビットコイン価格が低迷する局面では、優先株の転換価格も下落し、既存株主の希薄化リスクが高まる。このリスクを軽減するために、同社は市場価格よりも低い水準で自社の優先株を買い戻しているという見方もできる。

ビットコイン購入見送りが市場へ与える影響

ストラテジーの購入見送りは、ビットコイン市場全体の需給バランスに影響を与え得る。同社はこれまで、月間で数万BTCを取得する大口買い手として機能してきた。その買い手が市場から一時的に姿を消すことは、需給のタイト感を緩和させる要因となる。

具体的には、2026年9月だけで見ると、ストラテジーが購入を見送った分(前年の同時期であれば約1万BTCから2万BTC程度)が市場の売り圧力としてそのまま残ることになる。ただし、ビットコイン現物ETF(上場投資信託)の流入額や他の機関投資家の動向を踏まえると、ストラテジー1社の影響力は以前よりも相対的に低下しているとの指摘もある。それでもなお、同社の発表が暗号資産市場のセンチメント(心理)に与える影響は無視できない。

ビットコイン価格9万5000ドル台、次の材料は米国の金融政策

足元のビットコイン価格は、9万ドル台半ばで推移しており、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の行方を注視している。2026年9月時点では、利下げサイクルの継続が予想されているものの、インフレ率の動向によっては利下げ休止の可能性も示唆されている。金利が高止まりすれば、リスク資産であるビットコインにとっては逆風となる。

また、2026年下期には米国で中間選挙が控えており、仮想通貨規制をめぐる議論が再び活発化する可能性もある。ストラテジーがビットコイン購入を再開するタイミングは、こうしたマクロ環境と規制動向を睨みながら判断されると見るのが自然だ。同社の経営陣はこれまで「ビットコインは長期的な価値保存手段であり、短期的な価格変動に一喜一憂しない」というスタンスを繰り返し表明してきた。2週間の購入見送りが、直ちに戦略の転換を意味するわけではないが、今後数週間の動向には引き続き注意が必要である。

ストラテジーの株価と普通株の動向、投資家の視点

ストラテジーの普通株(ティッカー:MSTR)は、ビットコインの価格変動に対して高いベータ値(感応度)を持つ銘柄として知られている。ビットコインが上昇すればMSTRも大きく上昇し、下落すればMSTRもそれ以上に下落する傾向がある。そのため、ビットコイン購入の見送りが発表された後も、株価はビットコイン価格の動向にほぼ連動して推移している。

投資家の間では、ストラテジーがATMによる株式発行を停止したことに対して肯定的な評価も見られる。株式の発行数を増やさずに優先株を買い戻すという行為は、普通株主にとっては希薄化の懸念が減るため、中長期的に株価を下支えする要因となり得る。一方で、ビットコインの追加取得が止まることで、同社の「ビットコイン上昇のレバレッジ銘柄」としての魅力が薄れるという見方もある。投資家の関心は、ストラテジーがいつビットコイン購入を再開するかではなく、どのような条件が整えば再開するのかという点に移りつつある。

金融機関によるビットコイン採用の広がりとの比較

ストラテジーの動きを評価するにあたっては、他の企業や機関投資家のビットコイン採用状況と比較することも有益だ。2026年に入り、米国の複数の年金基金や保険会社がビットコインをポートフォリオに追加したほか、欧州の資産運用大手も暗号資産ファンドの設定を相次いで発表している。こうした動きは、ビットコインが「投機的資産」から「代替投資資産」としての地位を徐々に確立しつつあることを示唆している。

ストラテジーは、これらの機関投資家に先駆けてビットコインを採用したパイオニアである。その同社が購入を一時停止したことは、市場の転換点を示すシグナルとして解釈される可能性もあるが、一方で巨額の含み益を抱える同社だからこそ、あえて市場の過熱感を抑えるために買い急がないという判断を下したという見方もできる。

今後の注目ポイント、ストラテジーの次の一手はいつか

ストラテジーのビットコイン購入再開のタイミングを予測するうえで、いくつかの指標が参考になる。第一に、同社が毎週月曜日に発表する「ビットコイン保有状況の更新」である。この発表内容によって、市場は即座に反応するため、今後の週次発表が最大の注目材料となる。第二に、ATMによる株式売却が再開されるかどうかだ。資金調達が再開されれば、その直後にビットコイン購入が発表される可能性が高い。第三に、ビットコイン価格が10万ドルの大台を回復するかどうかである。過去のパターンを見ると、ストラテジーは価格が新高値を更新する局面で購入を増やす傾向があった。

長期的な視点に立てば、ストラテジーの基本戦略に変化はないと見るのが妥当だ。ビットコインの保有そのものを縮小する動きは見られず、むしろ保有を継続しながら資本構成を最適化している段階と解釈できる。優先株の買い戻しは、将来のビットコイン購入に備えた資本の整理である可能性が高く、同社がビットコインに対する強気のスタンスを放棄したわけではない。

暗号資産市場の参加者にとって、ストラテジーの一挙手一投足は依然として重要な指標であり続ける。同社が再びビットコインの購入を再開した際には、その規模とタイミングが市場に与えるインパクトは大きいだろう。2週間という短期間の静観が、次の大きな動きの前の準備期間となるのか、あるいは長期的な戦略転換の幕開けとなるのか。その答えは、今後の週次発表とビットコイン価格の動向が明らかにすることになる。

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