米国連邦公開市場委員会(FOMC)が9月16日に政策金利の0.25%引き上げを決定したことを受け、為替市場では米ドルが全面高となり、米ドル/円は156円台を回復した。年内の利下げ観測が後退しつつあるなか、市場の関心は18日に迫る日銀の金融政策決定会合と、その後の植田和男総裁の会見発言へと移っている。
IMMポジションは1万枚超の円買い越しに転じる
本題に入る前に、まず先週末に発表されたシカゴIMM(国際通貨市場)の円ポジション動向を確認しておきたい。このデータは短期筋の投機的なポジションを映す鏡であり、相場の過熱感を測るうえで極めて有用な指標となるからだ。
発表によれば、円のポジションは前週比で10万3023枚のネット買い増しとなり、1万796枚の買い越しに転じた。円ポジションが買い越しとなるのは、2026年2月24日時点以来のこと。ここ半年間は一貫して円ショート(売り越し)が積み上がっていただけに、この反転は市場のセンチメント変化を如実に示している。
IMM市場は為替市場全体から見れば規模は小さいものの、短期売買を主体とする投資家のポジション動向を把握するには格好の材料だ。今回の買い越し転換によって、積み上がっていた短期の円ショートポジションはかなり整理されたと見てよい。実際、このポジションデータの発表後、円高の勢いはいったん落ち着いており、ポジション動向が相場予想における重要なファクターであることを改めて認識させる結果となった。
FOMCは0.25%利上げを決定、米ドル全面高の展開に
そして9月16日に開催されたFOMCでは、政策金利の0.25%引き上げが決定された。市場では利上げ自体はある程度織り込み済みだったものの、トランプ米大統領がFRBに利下げ圧力をかけ続ける異例の状況下での決定だけに、実際に利上げが発表されると米ドルは全面高となった。米ドル/円も節目の156円台を回復している。
背景には、米国経済におけるインフレ再加速がある。先週発表された8月のCPI(消費者物価指数)は前年比3.4%のプラスとなり、特にコア指数は前月比で4カ月ぶりの大幅な伸びを記録。原油価格の上昇も相まって、FRBが利上げに踏み切らざるを得ない経済状況が整いつつあった。
政治的な圧力があるなかでも、FOMCのメンバーが経済指標に基づく正当な判断を下したことは、米ドルに対する信認を支える材料となった。結果として米ドルは主要通貨に対して幅広く買われ、米ドル/円は再び上昇トレンドを描き始めている。
日銀会合を控え、植田総裁の会見に市場の関心が集中
次の注目は、18日(金)に予定されている日銀の金融政策決定会合である。今回の会合では0.25%の政策金利引き上げが確実視されており、この点はすでにマーケットに織り込み済みだ。そのため、実際に利上げが決定されたとしても、為替市場の反応は限定的になるだろう。
市場関係者の最大の関心事は、その先にある。すなわち、次の利上げがいつになるのかという点だ。この問いへのヒントを得るため、日銀会合後の植田総裁の記者会見に全神経が集中しているのが現状である。
ここで注目すべきは、植田総裁が次回会合での連続利上げの可能性を示唆するかどうかだ。もし踏み込んだ発言があれば、再び円高方向への圧力が強まる展開となるだろう。一方で、その点についてあいまいな表現に留めた場合、一連の円高局面は一旦収束し、ゆっくりと円安方向へと回復していく流れが想定される。
筆者の見立てとしては、植田総裁がそこまで踏み込んだ発言を行う可能性は低いと見ている。金融政策の運営上、あらかじめ次の行動を強く示唆することは市場との対話の柔軟性を損なうため、極めて慎重な表現に終始するのが自然だ。実際の会見内容を確認したうえで、トレード戦略を決めていきたいところだ。
当面の為替見通し:円相場は「材料出尽くし」局面へ
FOMC通過によって米ドル買いの流れが強まった一方で、日銀会合を通過すれば、為替市場はしばらく材料が乏しい時間帯に入る。目先は米ドル/円の155円台後半から158円台をレンジとする値動きが想定され、週末にかけてはポジション調整の動きも出やすい。
なお、日銀会合の結果を受けて円高が進む場合、政府・日銀による為替介入への警戒感が再び高まる可能性も考慮しておくべきだろう。これまでの介入水準を考慮すれば、155円台での介入は考えにくいものの、投機的な円売りが加速する局面では、当局のスタンスが為替の下値を支える要因となる。
週末の日銀会合と植田総裁の会見後は、改めて中期的なトレンドが明確になるだろう。市場のボラティリティが高まりやすい時間帯でもあるため、ポジション管理には一層の注意が求められる。