ドル円159円台に膠着、エヌビディア決算と日銀・FRB待ち

投稿者 central

ドル円相場が159円台に膠着している。22日の東京市場では、終日を通じて159円台前半から半ばでの値動きが続き、方向感を欠く展開となった。トランプ米大統領がホルムズ海峡の機雷がすべて撤去されたと発言したことを受け、地政学リスクが後退。原油価格の下落や長期金利の低下にもつながり、インフレ懸念がひとまず遠のいたことで、市場は大きな材料待ちの様相を呈している。

地政学リスクの後退がもたらした小康状態

トランプ大統領の投稿を受けて、中東情勢に対する過度な警戒感は和らいだ。米国が避難させていた中東地域の外交官を元の任地に戻すとの報道も、緊張緩和の流れを後押ししている。この結果、週初から続いていたリスク回避的なドル買いの勢いは一旦減速。米国株式市場がハイテク株を中心に堅調に推移したことも、リスク選好のムードを支える一因となった。

その一方で、ドル円が上値を追う展開にはなっていない。159円台後半から160円台に接近する局面では、日米双方の為替介入に対する警戒感がくすぶる。財務省の神田真人財務官はこれまでも急激な為替変動に対して断固たる措置を取る姿勢を示しており、市場参加者の間に「160円は心理的な壁」との認識が定着しつつある。

下値は堅い、実需のドル買い需要が支え

上値が重い一方で、下値も固い。159円を割り込む水準では、輸出企業の実需的なドル買いに加え、機関投資家による中長期的なドル需要が控えている。市場関係者の間では「158円台後半では買い注文が厚く積み上がっている」との声が聞かれ、結果的にドル円は159円台でバランスを保つ形となっている。

この需給構造を「幻想に近い上値と、確かな下支え」と評する向きもある。実際、投機筋のポジション動向を見ても、ドル買いの勢いは以前に比べて明らかに弱まっている。一方で、実需を伴わない上方向への期待は、イベント通過後に剥落するリスクをはらんでいる。

週後半に控える3つのビッグイベント

為替市場がこれほど小さな値幅での取引に終始している最大の理由は、週後半に重要なイベントが目白押しだからだ。市場参加者はこれらの結果を見極めようと、積極的なポジション構築を手控えている。

エヌビディア決算、AI相場の羅針盤に

まず、日本時間の22日朝に、エヌビディア(NVIDIA)の2025年第2四半期決算が発表される。同社は2023年以降、AIブームを牽引してきたハイパースケーラーの象徴であり、その決算内容は半導体業界のみならず、株式市場全体のセンチメントを左右する。特にデータセンター向けGPUの売上高や、次世代アーキテクチャ「Blackwell」の量産スケジュールに関する見通しが注目される。市場予想を上回る内容となれば、リスク選好の流れが強まり、ドル円にも上昇圧力がかかる可能性がある。

日銀・氷見野副総裁講演、9月会合への布石

23日には、日銀の氷見野良三副総裁が講演を行う。氷見野副総裁はこれまで早期の追加利上げを主張するタカ派的な姿勢で知られており、その発言からは9月の金融政策決定会合での動向を占う手がかりが得られる。市場では、日銀が正常化の道筋を改めて示すのか、あるいは海外経済の減速懸念を踏まえて慎重な姿勢を強めるのか、双方のシナリオを織り込んだ値動きが予想される。

ジャクソンホール会合、パウエルFRB議長講演

そして週末の25日には、米ワイオミング州で開催されるジャクソンホール会合において、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演を行う。例年、この会合ではFRB議長が今後の金融政策の方向性について重要な示唆を与えてきた。今回は特に、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始の有無とその規模について、市場は最大の関心を寄せている。パウエル議長が従来のスタンスを大きく変更することはないとみられるものの、利下げに対する温度感を探る上で、その一言一句が重みを持つ。

膠着状態の先にある為替シナリオ

週後半の一連のイベントを通過すれば、為替市場は新たな方向性を模索することになる。大方の予想としては、エヌビディアの好決算とパウエル議長のハト派的な発言が重なれば、ドル売り・円買いの流れが強まる可能性がある。逆に、日銀が早期利上げに慎重な姿勢を示し、FRBが粘り強いスタンスを維持すれば、ドル円は再び160円台を試す展開も想定される。

いずれにせよ、現在の159円台という水準は、あくまで大きなイベントを前にした「待機ゾーン」に過ぎない。週明けには、市場の景色が一変している可能性にも備える必要があるだろう。

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