ストラテジー、約2カ月ぶりBTC購入再開 590億円相当

投稿者 central

ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は、約2カ月ぶりとなるビットコイン(BTC)の追加購入を実施した。米証券取引委員会(SEC)に提出した8-K報告書で明らかになった内容によれば、同社は4,603BTCを取得。購入総額は約590億円(約3億7,000万ドル)、1BTCあたりの平均購入価格は8万317ドルとなっている。この買い増しにより、ストラテジーのビットコイン累計保有量は845,050BTCに達し、取得価格の総額は637億3,000万ドル、平均取得単価は7万5,412ドルに調整された。資金調達には、クラスA普通株式の時価発行によるエクイティ調達が活用されたとみられる。

同社によるビットコイン購入は、2024年6月22日を最後に一時休止していた。その後の約2カ月間、市場では「ストラテジーが買いを控える理由」「BTC価格の高止まりが影響しているのではないか」といった憶測が飛び交っていた。今回の購入再開は、それらの憶測を覆す形となり、市場参加者の間で改めて注目を集めている。

845,050BTC、総資産の98%超がビットコイン

今回の追加購入により、ストラテジーのビットコイン純保有量は845,050BTCまで拡大した。これは全世界のビットコイン発行上限である2,100万BTCの約4%に相当する規模であり、上場企業としては依然として最大のビットコイン保有者である。同社の財務戦略はビットコインを中核的な準備資産として位置づけるものであり、その決断はこれまでに幾度となく物議を醸してきた。それでもなお、同社はビットコインの長期的な価値上昇に強い確信を抱き続けていることを、今回の購入再開で改めて示した。

注目すべきは、純レバレッジが0.0%となっている点である。これはストラテジーが現在、借入金や負債構造に依存せず、自己資本によるビットコイン購入を実行していることを示している。過去には転換社債(CB)の発行や銀行借入を活用したレバレッジ買いが目立ったが、足元ではエクイティ調達を主軸とする財務運営へとシフトしている可能性が高い。この変化は、金利上昇環境下での資金調達コストを抑える意図や、既存株主に対する財務健全性のアピールと受け止めることができる。

なぜストラテジーは2カ月間購入を控えていたのか

購入を一時中断していた理由として、いくつかの要因が考えられる。第一に、ビットコイン価格の変動だ。2024年央にかけてビットコインは史上最高値圏で推移し、1BTCあたり7万ドルを超える場面も珍しくなかった。ストラテジーの平均取得単価が7万5,412ドルであることを踏まえると、同社はあえて高値掴みを避け、相場の調整を待っていた可能性がある。

第二に、資金調達のタイミングである。同社は市場環境や自社株価の動向をにらみながら、株式発行による資金調達の最適なタイミングを図っていたと考えられる。実際、今回の購入発表に先立つ数週間、ストラテジーの株価はやや上昇基調を見せており、比較的良好な条件でエクイティ調達を実行できたものと推測される。

第三に、SECをはじめとする規制環境の変化への対応である。ビットコイン現物ETFの承認以降、暗号資産に対する規制の枠組みは各国で急速に整備されつつある。ストラテジーはこうした規制動向を慎重に見極め、コンプライアンス上問題のない形で購入を進める必要があった。

ビットコイン準備資産戦略への評価と課題

ストラテジーのビットコイン購入戦略は、単なる投機ではなく、デフレ通貨としてのビットコインに将来性を見出した「企業財務戦略」として捉える向きも多い。マイケル・セイラー会長はビットコインを「デジタルゴールド」と位置づけ、法定通貨の長期的な価値低下に対するヘッジとして活用している。

一方で、批判的な見方も根強い。ビットコイン価格の大幅な下落が発生した場合、同社の財務基盤が大きく毀損するリスクは否定できない。実際、2022年の暗号資産市場の暴落局面では、ストラテジーのビットコイン含み損が巨額に達し、株価にも大きな影響を及ぼした。現在の価格水準では含み益を計上しているものの、その余裕は価格変動次第で一瞬にして消え去る可能性がある。

それでもなお、ストラテジーはレバレッジを抑えつつ、長期的な保有姿勢を崩していない。今回の購入再開は、「安いうちに買い増す」というよりも、「適正水準と判断したタイミングで追加する」という一定のディシプリンに基づいた行動と評価できる。投資家や市場アナリストの間では、今後の購入ペースや価格帯に注目が集まっている。

市場への影響と今後の焦点

ストラテジーの購入再開は、ビットコイン市場全体に対する追い風材料として受け止められている。大口買い手としての同社の存在感は依然として大きく、その購買行動は価格形成に一定の影響を及ぼす。特に、機関投資家の参入が進む中で、ストラテジーのような明確なビットコイン戦略を掲げる企業の動きは、他の上場企業や年金基金などへの波及効果も期待される。

今後の焦点は、引き続きストラテジーがどのタイミングで、どの程度の規模で購入を再開するかである。同社が定期的な購入スケジュールを設けているのか、それとも価格や市場環境に応じて機動的に判断するのかは明らかにされていないが、今回の発表がその一端を示したことは間違いない。

また、ビットコイン現物ETFを通じた間接的なエクスポージャーが拡大する中で、ストラテジーのような直接保有戦略が再評価される可能性もある。ビットコインを直接保有するか、ETFを通じて間接的に保有するかは、税金や流動性、管理コストの観点で大きな違いがある。ストラテジーの戦略は、その選択肢の有効性を市場に問いかけるものでもある。

ビットコイン価格は今後、半減期後の需給バランスやマクロ経済環境に大きく左右されるとみられる。ストラテジーはその中で、自社のビジョンに従って着実にポジションを積み上げていく構えだ。今後も同社の動向は、暗号資産市場全体の行方を占ううえで、欠かせない指標であり続けるだろう。

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