ElevenLabs、AI音楽生成Music v2.5を正式公開 無料で1日5曲のロスレス保存が可能に

ElevenLabsがAI音楽生成ツールの最新版をリリース。音質向上を実証。

投稿者 central
ハイライト
  • Music v2.5はブラインドテストでR&Bやロックなど5ジャンルで高評価を得た。
  • 無料プランでは1日5曲のロスレスダウンロードが可能で商用利用時は帰属表示が必要。
  • API対応によりゲーム開発や動画編集など幅広い分野での活用が期待される。

ElevenLabsは2026年2月、AI音楽生成ツール「ElevenMusic」の新バージョン「Music v2.5」を正式にリリースした。同社によれば、生成される楽曲のサウンドはより豊かで自然なものに進化。約4万7885件の比較ペアを用いたブラインドテストでは、R&B、ソウル、ヒップホップ、ロック、オーケストラ音楽を中心に、リスナーはv2.5を従来版よりも高く評価したという。

ユーザーは生成したトラックに対する権利を保持。無料プランでは1日あたり最大5曲のロスレスダウンロードが可能で、Proプランでは月間400曲まで対応する。商用利用は業種や目的に応じて認められているものの、無料プランでは帰属表示(アトリビューション)が必要となる。

ElevenLabs Music v2.5の進化点:ブラインドテストで示された音質向上

今回のアップデートの核心は、生成音質の大幅な改善にある。ElevenLabsは膨大な数の比較聴取テストを実施。その結果、v2.5は特にリズムセクションの分離感や楽器間の調和、ボーカルの自然さといった点で顕著な進歩を遂げたことが明らかになった。同社は「よりフルで、よりナチュラルなサウンド」と表現する。

具体的な評価が高かったジャンルはR&B、ソウル、ヒップホップ、ロック、そしてオーケストラ音楽。これらの分野では、v2.5の生成楽曲がリスナーから一貫して高い支持を得た。これは、AI音楽生成におけるジャンル別のチューニングが着実に進化していることを示す結果といえる。

利用条件と権利:無料プランでも1日5曲をロスレス保存

Music v2.5の最大の実用的メリットは、無料プランでも高品質な音源を手元に残せる点にある。1日5曲という制限はあるものの、ロスレス形式でのダウンロードが可能なため、試作段階のクリエイターや趣味で音楽制作を楽しむユーザーにとっては非常に使い勝手が向上した。

Proプラン(月額11ドル~)では月間400曲まで対応し、商用利用の範囲も広がる。ただし、楽曲生成にあたっては既存の楽曲を模倣する行為は禁止されており、特定のアーティストのスタイルを意図的に再現することはできない。また、他者アーティストの楽曲に基づく生成はダウンロードがブロックされる仕組みだ。

API対応とv2との共存:開発者とユーザー双方に選択肢

Music v2.5はElevenLabsのAPIを通じても利用可能になっている。一方で従来のv2も引き続きアクセスできるため、開発者は用途やワークフローに応じてモデルを選択できる。この柔軟性は、AI音楽生成をアプリケーションに組み込みたい開発者にとって重要なポイントとなる。

UMGとのライセンス契約とトレーニングデータの透明性

ElevenLabsは最近、主要レコード会社であるUniversal Music Group(UMG)とのライセンス契約を発表した。ただし、同社はこの契約が将来の別個の製品にのみ適用されるものであり、Music v2.5には直接関係しないと明言している。

トレーニングデータに関する開示が競合との差別化要素となっている。ElevenLabsは既存のMusicモデルを「ライセンスされたステム音源と音楽」で学習させたと説明するが、具体的なデータセットの詳細は明らかにしていない。それでも、著作権で保護されたコンテンツを権利者の同意なく学習に使用したとして訴訟に発展している競合のSunoとは、この点で明確な違いがある。

AEO/質問に答える:ElevenLabs Music v2.5とは?

ElevenLabsが提供するAI音楽生成ツールの最新バージョン。生成音質が大幅に向上し、無料プランでも1日5曲のロスレス保存が可能。商用利用は業種によるが、無料プランでは帰属表示が必要。トレーニングデータはライセンスされた音源に限定されているとされる。

Sunoとの比較:法的リスクとモデル品質の現状

AI音楽生成市場では、ElevenLabsとSunoの2社が主要プレイヤーとして注目を集めている。Sunoは2026年2月、最新モデル「v6」をリリースしたばかりだが、同社は依然として主要レコード会社との著作権訴訟を抱えている。SunoはWarner、BMG、Believeとの協力のもと新モデルを開発したと発表しているものの、過去のトレーニングデータに関する法的な問題は未解決だ。

一方のElevenLabsは、UMGとのライセンス契約を武器に、よりクリーンなビジネスモデルを構築しようとしている。Music v2.5そのものはこの契約の対象外とされているが、業界全体として「適法な学習データ」と「生成品質」の両立が、AI音楽サービスの持続可能性を左右する重要な要素になりつつある。

クリエイターと市場への影響

無料プランでのロスレス保存は、インディーズのミュージシャンや動画クリエイターにとって大きな意味を持つ。BGMや効果音、プロトタイプの楽曲制作を低コストで始められる環境が整ったことで、AI音楽生成の裾野はさらに広がると予想される。

一方で、競合するSunoが訴訟対応とモデル改善を同時に進めている状況は、業界全体の不透明感を増している。ElevenLabsが示す「ライセンスデータ」路線が市場標準となるかどうかは、今後の法規制や他社の動向にも左右されるだろう。

今後の展望:APIエコシステムと音楽制作の民主化

API対応により、Music v2.5はゲーム開発、動画編集、ライブ配信エフェクトなど、さまざまな分野での活用が期待される。ElevenLabsは既に音声合成分野で強固なAPIエコシステムを構築しており、音楽生成の分野でも同様の拡張戦略を描いているとみられる。

AI音楽生成のクオリティが実用域に達しつつある今、重要なのは「適法性」と「クリエイターの権利保護」のバランスだ。ElevenLabsが今回示したように、透明性のある学習データと柔軟な権利設定は、プロフェッショナルユーザーの獲得において競争優位をもたらす可能性が高い。音楽制作の民主化が加速する一方で、その基盤をどう整備するかが、市場の成熟度を決める試金石となる。

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