フィンランドの森でサウナに入り、ビールを飲み、モペットを駆る――そんな自由奔放な別荘生活をシミュレートする『フィンランド・コテージ・シミュレーター』が、静かにしかし確実に世界中のプレイヤーを魅了している。開発元のRANELA GAMESは、今年5月に日本語対応アップデートを配信。これを機に、3人の開発陣が初来日し、本作への並々ならぬこだわりや本場フィンランドのサウナ文化について語ってくれた。
サウナと密造酒とカオス――「本物のコテージ生活」を追い求めて
『フィンランド・コテージ・シミュレーター』は、フィンランド北部の都市オウル出身の3人――ユハ・パロオヤ氏、パトリック・クロラ氏、ヴェーティ・クルケラ氏――が学生時代の趣味から始めたプロジェクトだ。もともとはITプログラマーとして働く仲間たちで、TikTokでの反応を見て本格的に開発を決意。「本物のコテージ生活」をスローガンに掲げ、自らの実体験を可能な限りゲームに落とし込んできた。
初期はサウナ、水泳、釣り、飲酒、バーベキューといった基本的なアクティビティだけだったが、早期アクセスを重ねるごとに密造酒の醸造やモペットの改造・ドライブ、さらにはNPCによるクエストストーリーが追加され、現在では「できないことを探す方が難しい」と評されるほどの充実度に達している。Steamレビューでは「非常に好評」を獲得し、当初の想定を6倍も上回るセールスを記録した。
細部に宿るフィンランドのリアル
本作の最大の特徴は、その執拗なまでのディテールにある。特にサウナ周りは圧巻で、「薪を割る→サウナに運ぶ→火をつける→蒸される→水風呂に入る」という一連の流れが、実際のフィンランドのコテージ体験をほぼそのまま再現している。開発チームは「サウナの音」に並々ならぬこだわりを持ち、スタジオではなく本当のサウナの中で録音を行ったという。焚き火のパチパチという音、水が石にかかるジューという音――すべてが本物だ。
ただし、すべてがリアルというわけではない。「フィンランドは銃規制が厳しいので、武器の描写はフィクションです。ゲーム内の人物は現実のフィンランド人よりもビールを飲みすぎだと思います(笑)」とヴェーティ氏は笑う。高すぎる酒税に抗議してエストニアまでビールを買いに行く習慣や、歴史的に質の悪い密造酒で中毒死した事例など、笑えないリアルも随所にちりばめられている。
「フィンランドらしい死因」第1位は密造酒
ゲーム内でプレイヤーが遭遇する多種多様な死に方のうち、開発陣が「最もフィンランドらしい」と認めるのはムーンシャイン(密造酒)による中毒死だ。「20世紀初頭のフィンランドでは、粗悪な密造酒で命を落とす人が実際にいました。ゲームでも再現しています」とパトリック氏。一方、リアルな教材として信じてはいけない点は「武器の扱い」と「飲酒量」とのこと。フィンランドでは銃は厳重に保管され、酔っ払いの割合はゲームほど高くないという。
海外プレイヤーが戸惑うエピソードも面白い。コテージに備え付けられたコーヒーメーカーの使い方がわからないユーザーが続出し、コーヒーの挽き方や温め方のチュートリアルを追加する必要があった。「結果的に、本作はフィンランドのコテージ生活様式を教える教材のような役割を果たしています」と開発陣は語る。
日本上陸と文化の共通点
なぜこのタイミングでの日本語ローカライズだったのか。開発チームは「当初はコンテンツが不足しており、日本のゲーマーの品質基準に達していないと判断しました。今は大きなバグも対処し、コンテンツも充実したため、ようやく対応できると確信しました」と説明する。日本語対応後、日本人ユーザーは数倍に増加。ウィッシュリスト登録数は1万件に迫る勢いだ。
初来日で感じた日本の印象について、ユハ氏は「日本は本当に綺麗だと聞いていましたが、誇張ではありませんでした。地下鉄が正確に動くなど、すべてが機能的です」と語る。一方、「日本人はシャイだと言われていましたが、実際にバーで出会った現地の人たちとカラオケで盛り上がり、朝6時までラーメンを食べに行きました。言葉の壁を除けば、フィンランド人と似ているところが多いと感じました」と意外な共通点を発見した様子。
日本のサウナにはまだ行けていないという。全館満室で入れなかったため、帰国前にぜひ訪れたいと意気込む。なお、フィンランド流のサウナの楽しみ方として「焼け岩に水の代わりにビールをかけると、焼きたてのパンのような香りが立つ」という裏技を教えてくれた。ただし、公衆サウナではまずできない、プライベート限定の楽しみ方だ。
次なる挑戦:チェーンソーで伐採のディテール
今後のアップデートでは、新たなメカニクスとしてチェーンソーが追加される。木を伐採し、丸太から板材を切り出し、それを使ってサウナベンチなどの家具を自作できるようになる。開発チームは「伐採のプロセスそのものを細部まで作り込む予定で、プレイヤーの反応が楽しみです」と語る。また、周囲の森の音を再現する新サウンドシステムも計画中で、シングルプレイの没入感がさらに高まる見込みだ。
マルチプレイのカオスさこそが本作の真骨頂だと開発陣は強調する。「友達とサウナで騒ぎ、ビールを飲み、訳のわからないことをする――それがフィンランドのコテージ体験の醍醐味です。シングルプレイでは静かにフィンランドの自然を味わい、マルチプレイでは無限のカオスを楽しんでほしい」とメッセージを送る。チートコマンドを使ってさらにはちゃめちゃな遊び方も推奨している。
『フィンランド・コテージ・シミュレーター』はPC(Steam)にて早期アクセス配信中。日本語対応も果たし、間もなく1万ウィッシュリストを達成しようとしている。サウナと酒とカオスが織りなすフィンランドの夏を、あなたのコテージで体験してみてはいかがだろうか。