「SILENT HILL: Townfall」9月24日発売、謎の導入が引き込む恐怖

シリーズ初の一人称視点とCRTVがもたらす新たな恐怖。孤島に漂着した主人公を待つ不条理な世界とは。

投稿者 central
「SILENT HILL
ハイライト
  • 「SILENT HILL: Townfall」は2025年9月24日にPS5とPCで発売される。
  • 本作はシリーズ初の全編一人称視点を採用し、ステルス要素を主軸に据えている。
  • CRTVと呼ばれるポケットテレビが、ラジオに代わる新たなキーアイテムとして登場する。

サイレントヒルシリーズの新たな試みとして、コナミデジタルエンタテインメントが送り出す「SILENT HILL: Townfall」が、2025年9月24日にプレイステーション5とPCで発売される。スタンダードエディションの価格は7,480円(税込)から。本作はシリーズ初となる全編一人称視点を採用し、ステルス要素を主軸に据えた、これまでにないタイプのサイコロジカルホラーだ。開発を手掛けるのはスコットランドのスタジオScreen Burn。製品版を先行プレイする機会を得たので、ストーリーの核心に触れない範囲で、そのゲーム性と恐怖演出の核心を紹介する。

孤島に漂着する主人公と謎の声——導入から異質な世界観

不条理で歪んだ世界観はサイレントヒルシリーズの真骨頂だが、本作の導入は近年の作品の中でも群を抜いて異質だ。主人公のサイモンは、冷たい海に浮かぶ孤島の浜辺に漂着したところから物語が始まる。彼の頭の中には「リチャード」という男の声が響き、「状況を正せ」と告げられる。サイモンはまるで当然のようにその指示に従いながら、腕に付けられた患者用リストバンドと点滴のチューブに初めて気づき、驚く。この時点で、プレーヤーは何が起こっているのか全く理解できないまま、謎の沼に引きずり込まれる。

これまでのシリーズ作品——例えば「SILENT HILL 2」が亡き妻からの手紙をきっかけに町を訪れる展開や、「SILENT HILL f」が家族との口論から異変に巻き込まれるプロローグ——と比較しても、本作の導入は格段に不条理だ。しかし、この「説明されなさ」こそが、プレーヤーを物語に引き込む強力なフックとなっている。サイモン自身もまた、何かに導かれるように行動する操り人形のような存在であり、その違和感がゲーム全体に漂う不安感を増幅させている。

CRTVが導く探索と恐怖——ラジオに代わる新たなキーアイテム

今作で主人公の生存に不可欠なアイテムが、「CRTV」と呼ばれるポケットテレビだ。シリーズ伝統のラジオに代わり、このCRTVがストーリー進行とクリーチャー回避の両方で中心的な役割を果たす。特定の場所で流れる電波をチューニングすることで、次の目的地のヒントやメッセージを受け取れるのだ。ただし、そのヒントは明示的ではなく、CRTVに映し出される断片的な映像から自ら解釈する必要がある。近年のゲームでは珍しい、硬派なゲームデザインと言えるだろう。

CRTVはまた、クリーチャーの索敵にも極めて有効だ。テレビにノイズが入る場所の周辺には必ず敵が徘徊しており、CRTVを確認すれば敵のいる方角が表示される。さらに接近するとシルエットまで認識でき、敵がどの方向を向いているかという詳細な情報まで把握できる。この機能を駆使して、いかにクリーチャーの視界をかいくぐるかが、本作のゲームプレイの核心となる。

「隠れる恐怖」が生む、かつてない緊張感

本作の最大の特徴は、従来のシリーズが持っていた「対峙する恐怖」から、「隠れる恐怖」へとシフトした点にある。過去作ではクリーチャーは突然目の前に現れてプレーヤーを驚かせるのが主だったが、本作のクリーチャーは町の中を堂々と走り回っており、姿を潜めているわけではない。そのため、プレーヤーは常に物陰に隠れ、敵の動きを観察しながら進む必要がある。

敵の徘徊ルートにはある程度の規則性があるため、観察さえ怠らなければ突破ルートを見つけることは可能だ。しかし、クリーチャーの動きは非常に速く、油断して遠くに行ったと思った瞬間にすぐさま戻ってきて鉢合わせる、という事態が頻発する。一度発見されると執拗に追跡され、過去作と比較しても敵の攻撃力は段違い。通常の敵であっても、発見された瞬間に死を覚悟しなければならない、かつてないレベルの恐怖が待ち受けている。

こうしたステルスアクションを支えるのが、「のぞき見る」という専用アクションだ。曲がり角から顔だけ出して安全に敵の位置を確認したり、通常のしゃがみ状態よりもさらに低い姿勢を取ることで、視界を遮ることができる。これらのアクションを使いこなせば生存率が格段に向上するが、操作に慣れるまでは思わぬミスを犯しやすい。物陰から物陰へと移動する瞬間の緊張感と、包囲網を切り抜けたときの解放感のコントラストは、シリーズに新たな魅力をもたらしている。

戦闘システムとリソース管理——力づくでは進めない設計

ステルスが主軸とはいえ、本作では戦闘による突破も可能だ。木材や鉄パイプといった近接武器と、ピストルといった遠距離武器が用意されており、攻撃とガードの2つのアクションを駆使して戦う。しかし、過去作のように敵を一方的に殴り続けることはできず、敵は攻撃を食らっても怯まずに反撃してくる。そのため、1体のクリーチャーを倒すだけでも、適切なタイミングでのガードが求められる。

さらに重要なのが、武器の耐久度システムだ。本作では近接武器は1つまでしか所持できず、耐久度は1体の敵を倒すだけで5〜6割も失われる。予備の武器をストックすることも不可能なため、すべての敵を殲滅して進むことは現実的ではない。やむを得ない場面で戦闘を行う——というゲームバランスになっており、常にリソースを意識した行動が求められる。この設計が、ステルスを選ばざるを得ない心理的圧力を生み出している。

なお、本作はプレイステーション5のDualSenseアダプティブトリガーに対応しており、武器を振る際やトリガーを引く際の抵抗感が没入感を高めてくれる。Steam版でもDualSenseを使用すれば同様の体験が可能だ。特に、肉でできた謎の扉にメスを入れる場面では、その反発感が指先に直接伝わり、視覚以外の感覚でも恐怖を味わうことになる。

一人称視点と特殊な画面比率が生む没入感

本作は一人称視点に加え、2.35:1というシネマスコープに近い特殊な画面比率を採用している。この視覚的制約が、プレーヤーの視野を物理的に狭め、周囲への注意力を常に高める効果を生んでいる。サイレントヒルシリーズの代名詞とも言える濃密な霧の演出と相まって、一歩先に何が潜んでいるか分からないという不安感が増幅されるのだ。

難易度設定も複数用意されており、下げることで敵の数や視界、攻撃性能が弱体化する。そのため、ステルスゲームが苦手なプレーヤーや、ストーリー体験を重視したい層でも、無理なく進めることができる。ゲーム性は過去作とは大きく異なるものの、シリーズ特有の「不条理で引き込まれる世界観」は健在だ。筆者自身、ステルスゲームに特に自信があるわけではないが、謎に満ちた物語に引きずられるようにして、気付けば何時間もプレイしていた。

「SILENT HILL: Townfall」は、シリーズの新たな方向性を示す意欲作である。従来のファンが求める「サイレントヒルらしさ」を保ちながら、全く新しいゲーム体験を提供するこのバランスは、決して簡単なものではない。しかし、本作はその挑戦に真摯に向き合い、結果として独自の恐怖を形にしている。9月24日の発売が待ち遠しい。

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