自民党は、公明党との連立政権下で進めている衆議院の定数削減をめぐり、比例代表枠から45議席を自動的に削減する法案を党内の会合で提示した。党の政治改革実行本部長を務める加藤勝信氏が10日の会合で示したこの案は、与野党の協議が1年以内に合意に至らなかった場合、発動する仕組みを想定している。首相であり自民党総裁でもある高市早苗氏は、連立相手の日本維新の会の主張を踏まえ、今国会会期末にあたる7月17日までの法案成立を目指す方針を明確にしている。
衆院比例代表45削減案の全容—年内合意が条件
定数465の衆議院において、比例代表は現在176議席。今回の提案は、そのうち45議席を削減するというものだ。加藤氏は会合で、小選挙区の削減ではなく比例代表を削減対象とした理由について、「小選挙区を削ると地域の声が国政に届かなくなる恐れがある」と説明し、党内の理解を求めた。
この自動削減条項は、与野党で構成される協議の場が1年以内に結論を出せなかった場合に発動される。この仕組みにより、政権側は野党側に議論を促しつつ、法案が期限までに成立しなかった場合の「保険」として機能させる狙いがあるとみられる。
出席者からは「小選挙区より比例代表の削減の方が国民に説明しやすい」「前回の衆院選で公約に掲げた以上、実現すべきだ」といった賛成意見が相次いだ。一方で、元外務大臣の岩屋毅氏は「比例代表だけの削減論に集中すると、定数削減に賛成する野党から反発を招く」と懸念を表明。比例代表の削減は中小政党により深刻な打撃を与えるだけに、慎重な対応が必要との認識を示した。
高市首相と吉村知事の合意—維新の主張が軸に
高市首相と日本維新の会の代表である吉村洋文大阪府知事は、衆院定数削減法案を今国会で成立させることで合意している。この合意の背景には、維新が強く主張してきた「衆院比例定数削減」がある。高市首相は維新の要求を受け入れ、党として45削減案の党内コンセンサスを形成するよう指示を出していた。
維新はかねてより、国会議員の定数削減を政治改革の柱に掲げてきた。その主張が今回、与党内の具体的な法案に結実した形だ。連立政権内での政策協定を超えて、維新の主張が現実の法案に直接反映される異例の展開となっている。
野党3党が反発—比例代表「だけ」の削減に異議
これに対し、野党側の反応は冷ややかだ。国民民主党、立憲民主党、公明党の3党は、11日の国会対策委員長会談で、比例代表のみの削減に改めて反対する姿勢を確認した。「小選挙区とのバランスを欠く」「中小政党の存続を脅かす」といった理由からだ。
特に立憲民主党は、小選挙区と比例代表の双方を削減するよう主張。公明党も比例代表の削減だけでは「民意の反映が歪む」と批判している。これらの野党は、自動削減条項の導入そのものにも疑義を唱えており、今後の与野党協議は難航が予想される。
政治改革の試金石—今国会の行方
今回の自民党案は、単なる定数削減の枠組みを超え、日本の政治改革の方向性を左右する試金石ともいえる。与党内からは「速やかに法案をまとめ、今国会で成立させるべきだ」との声が上がる一方で、野党との調整がつかず、会期内の成立が危ぶまれるとの見方も根強い。
高市首相は与党内の意見を集約しつつ、維新の要求にも応える必要に迫られている。しかし、野党3党が比例代表削減に強く抵抗している現状では、7月17日までの成立は容易ではない。自動削減条項が発動されれば、2年後の次回衆院選から45議席が減る可能性があり、その影響は政治地図を大きく変えかねない。
日本の選挙制度そのものの設計思想が問われる中、各党の思惑が交錯するこの問題の行方は、今後の国会運営の大きな焦点となる。