バンダイナムコエンターテインメントが2026年7月9日(Steam版は7月10日)に発売を予定しているアクションRPG「Echoes of Aincrad」。リリースまで1カ月を切り、6月16日には体験版の配信が予定されている。本稿では、製品版に先行して体験版をプレイできたので、その内容を詳しくレポートする。後半では、「ソードアート・オンライン」ゲーム総合プロデューサーの二見鷹介氏と、本作の制作担当である八幡泰広氏への合同インタビューもお届けする。
体験版で描かれる「ベータテスト期間」のSAO
本作は、デスゲームと化したフルダイブ型MMORPG「ソードアート・オンライン」の世界に囚われた一人のプレイヤーとして、原作の序盤「アインクラッド編」を体験できるタイトルだ。体験版では、ゲーム開始から「ソードアート・オンライン」のベータテストが終わるまでをプレイ可能で、データはそのまま製品版に引き継げる。
なお、本作のキャラクタークリエイトは「ソードアート・オンライン」の正式サービス開始時に行う設定だ。そのため、ベータテストが舞台の体験版では、固定された少年剣士のアバターでプレイすることになる。製品版では、顔や髪型、上腕や太ももの太さなど細かな部分を設定でき、ボディタイプも2種から選択可能。現実の主人公の姿をスキャンしたという設定で行われ、デスゲーム化の際にアバターが破棄され、素顔が晒されるという原作ファンにはおなじみの展開が、より没入感をもって描かれる。
パリィと部位破壊が鍵を握る戦闘システム
体験版では、戦闘システムを一通り体験できる流れになっており、チュートリアルを兼ねている。戦闘は仲間である「パートナー」とともに戦うアクション性が強いものだ。基本は、素早い「ライトアタック」、威力はあるが出が遅い「ヘビーアタック」、SPゲージを使っての大技「ソードスキル」で攻め込み、盾を構えての「ガード」、地面で前転する「回避」、走る「ダッシュ」で身を守る。これらの行動はスタミナを消費するため、相手の出方を見てクレバーに戦うことが求められる。
特に重要なのが、直前でボタン入力を行い攻撃を防ぐ「パリィ」だ。パリィが決まればエネミーは隙だらけになり、一気に攻め込める。パリィからは「パリィ・スラッシュ」に派生でき、パートナーも追撃してくれる。相手の攻撃モーションをしっかり観察し、ここぞという時にパリィを決められればリターンは大きい。
そして本作独自の要素である「切断属性」「切断マーカー」を押さえておくと、戦闘がより奥深くなる。これは、特定条件を満たして切断マーカーが表示された際、切断属性の攻撃を当てると部位破壊が発生するというものだ。例えば、盾を持つ「コボルド・トルーパー」の場合、構えた盾に攻撃を加えて「ガードクラッシュ」を発生させると腕に切断マーカーが出現。ここに切断属性を持つ「片手剣」のヘビーアタックを放つと、盾を持った腕を切り飛ばせる。当然、コボルド・トルーパーはガードができなくなり、戦闘が有利になる。トドメを指した際に胴体を真っ二つにするなど、迫力ある部位破壊演出も見どころだ。
パートナー「イオリ」の絶妙な距離感
パートナーとの連携も重要だ。パートナーの行動は、同じ相手を狙う「スイッチモード」と、独自の判断で行動する「フリーモード」を指示できる。フリーモード中はパートナーの「集中力」が減り、ガードや回避の成功率が落ちていくため、敵が1体ならスイッチモード、多数ならフリーモードといったように、状況次第で使い分ける必要がある。
体験版の段階でパートナーとなる「イオリ」は、このシステムによりキャラクターが際立った存在だ。攻略に熱心過ぎてフレンドから引かれた過去を持つが、スイッチモードにすれば敵の注意を引いて隙だらけにしてくれる。切断マーカーが出た敵を主人公のために残して部位破壊を決めさせようとしてくれるなど、実に頼りになる。放っておくわけではなく、手を出し過ぎるわけでもない、先輩MMORPGプレイヤーが初心者を“沼”に引き込むかのような絶妙な距離感は、ネットゲームのあるあるで、ニヤリとさせられる。
実はこのイオリ、アバターは男性だが、中身は美少女だ。攻略ガチ勢の彼女が「この初心者にゲームの魅力を伝えたい!」と、引かれない程度の付かず離れずの距離で初心者を誘導してくれていると思うと、何とも微笑ましい。システムと設定がうまく組み合わさったキャラ立ちであると感じた。
ボス戦と体験版のボリューム
ダンジョンの深部にはボス「イルファング・ザ・コボルドロード」が待ち構えている。アニメにも登場したボスだが、残りHPに応じて武器を変える性質はしっかり再現されている。ベータテストであるため最終段階がタルワールになっているのも細かい。ボスの前では美少女2人が助けを求めているが、彼女らの正体とボス戦の顛末は、ぜひ体験版をプレイして確かめてほしい。
体験版のボリュームについて、八幡氏は「サクサクとプレイを進めると3〜4時間ほど。ラストを見た後も、体験版の範囲でレベルを上げたり、アイテムを集めたりといったやり込みが可能で、データは製品版に引き継げる」と説明。二見氏は「出てくるアイテムにはストーリー進行に応じてキャップがかかっているが、全部の武器を最初から使えるので、1つの武器を極めてもいいし、全部試してもらってもいい」と語った。
開発者インタビュー:キャラクタークリエイトの意図とイオリの成長
試遊を終えた後に行われた、二見氏と八幡氏への合同インタビューの模様をお伝えする。
現実の姿が露わになる演出へのこだわり
アニメの序盤で印象的だった、ゲーム内で現実の姿が露わになるという出来事について、八幡氏は「原作をご存じの方も、そうでない方も新鮮な驚きであの出来事を迎えられるように見せ方には気をつけた。例えば、プロローグでは意図的に『ソードアート・オンライン』というタイトルを出さないようにし、このゲームが『ソードアート・オンライン』の世界であることを意識させないようにしている。普通にアクションRPGを楽しんでいたら、忘れたころにあのタイトルが出て来た……という感じになれば」と語った。
二見氏は「小説やアニメを知らない方でも遊んでいただけるようにしたかった。原作の主人公であるキリトはベータテスターであったがゆえに『ビーター』と呼ばれて恐れられるが、プレイヤー自身がベータテスターだったらどういう扱いを受けるのか、どんな空気感の中で攻略を進めるかの体験をしてほしい」と述べた。
イオリのキャラクター性と成長
現実の姿になった後、イオリの口調が変わっていた点について、二見氏は「現実とネット上の口調が大きく変わる辺りは、現在のSNSを参考にしたところがある。イオリはいろいろと悩んでいる人で、最初は攻略に本気過ぎてフレンドを外された経験もある。こうした空回り状態から成長していくというところに気をつけて描写している」と説明。イオリ以外の仲間たちについても「現実の話が出るキャラクターもいる」とし、八幡氏は「オンラインゲームの話だからこそ、リアルの姿を描いて対比していくのが『SAO』の魅力。本作でもこうした部分は出てくる」と語った。
キャラクタークリエイトはやり直し不可
キャラクタークリエイトのやり直しについて、八幡氏は「リアルの姿を決めてもらうという設定上、やり直すことはできない」と明言。二見氏は「やり直せないからこそ愛着がわくという部分もある。ゲームとしてはある意味不自由ではあるが、自分が作ったアバターでゲームを進めるという体験をしていただきたい。装備している防具の性能はそのままに、コスチュームの見た目を変える重ね着やカラーリング変更はあるので、こちらも活用してほしい」と補足した。
プロモーションアニメのキャラクターとキリト役の収録エピソード
プロモーションアニメ「Unanswered//butterfly」の主人公であるエミルンとレックスについて、二見氏は「プロモーションアニメは別視点の物語なので、本編に出てくることはない。ただ、発売後に2人の人気が出れば、可能性はあると思っていただければ」と含みを持たせた。
収録の際の印象的なエピソードとして、二見氏は「キリト役の松岡禎丞さんが『主人公じゃなくてよかった』と言っていたのが印象的だった」と笑いながら明かした。「松岡さんのセリフはいつも多くて、最低で3000〜4000ワードくらいは収録する。1日に500ワード収録するペースで3000〜4000ワードですから、結構な量。昔のゲームだとヒロインが大体1000ワードほどだが、キリトの場合はヒロインごとにセリフがあるので、最終的に1万ワードに達したこともあった。今回はゲームとプロモーションアニメの両方で、主人公としてのキリトじゃない演技ができたので、すごく新鮮だったし、ほかの人の演技を冷静に見られて楽しかったとおっしゃっていた」と語った。
体験版は6月16日に配信予定。製品版の発売は2026年7月9日(Steam版は7月10日)だ。本作の軽快なアクションと、原作の世界観をどう再現しているのか、ぜひその手で確かめてほしい。