Appleは、2026年後半から2027年にかけて、折りたたみスマートフォンや新型「iPad Pro」、MacBook Proのアップデートなど、複数の大型製品を投入する準備を進めている。BloombergのMark Gurman氏やNikkei Asiaの報道を総合すると、同社は退任するTim CookCEOから後任John Ternus氏への体制移行期にあっても、積極的な製品攻勢に出る構えだ。特に注目すべきは、2027年春に刷新が予想されるiPad Proに搭載される可能性が高い新型「M7」チップと、折りたたみiPhoneの生産台数がサプライヤーへの要請で1000万台に引き上げられた点である。
M7チップ搭載か──2027年春刷新の新型iPad Pro
Gurman氏の報道によれば、Appleは2027年春の発売を目標に、4つの新型iPad Proモデルをテストしている。ディスプレイサイズは現行モデルと同じ11インチと13インチを維持する見込みだ。搭載プロセッサについては、現行の「M5」から一気に「M7」へと世代をスキップする可能性が指摘されている。これは、より高度なAI処理負荷に対応するための判断とみられる。
さらに、新型iPad Proには、過熱を抑制するためのベイパーチャンバー冷却システムが初めて採用される可能性もある。これは、高性能チップの放熱対策として、ノートPCなどでは一般的になりつつある技術だ。iPad Proがクリエイティブプロフェッショナル向けのハイエンドタブレットとしての地位をさらに固めるための、重要なアップデートとなる。
一方で、ハードウェアの進化にOSの制約が追いついていないという課題も浮上している。テクノロジーテスターで600万人近い登録者を抱えるAustin Evans氏は、現行iPadのデザインや5G通信性能を評価しつつ、「Final Cut ProなどアプリやFinderの改良があっても、macOSやWindowsと比較すると、制限が多く妥協された操作感を強いられる」と指摘する。Appleには、iPadOSのさらなる進化が求められている。
1000万台規模へ──折りたたみiPhone、生産計画を上方修正
Apple初の折りたたみスマートフォンの生産計画が、大幅に拡大されている。Nikkei Asiaの報道によると、Appleはサプライヤーに対し、2026年の生産台数について、これまで要請していた700万〜800万台から1000万台へと上方修正を伝えたという。同社がこの製品に強い需要を見込んでいることの表れだ。
折りたたみスマホの開発において最大の課題とされてきたヒンジ機構の問題は、すでに解決されたと報じられている。発売直後は比較的少量の出荷からスタートし、市場の反応と品質を見極めたうえで、増産体制に移行する計画だ。
製品の形状は、Google「Pixel Fold」に類似したブックタイプになると予測されている。価格は2000〜2500ドル(約32万〜40万円)と見込まれ、まさに超高級路線の製品となる。発売時期は2026年9月とみられる。
Evans氏は、この折りたたみiPhoneに大きな期待を寄せる一方で、「Appleが洗練されたハードウェアと、内側ディスプレイでのマルチタスク処理などiPadOSの要素を取り入れれば、素晴らしい製品になる。そして、非常に、非常に高価になるだろう」と語る。価格が普及の大きな障壁となる可能性がある。
タッチスクリーン採用か──MacBook Pro下位モデルも刷新
Gurman氏は、AppleがMacBook Proのエントリーモデルとなる14インチモデルの刷新を進めており、こちらも2027年上半期中に発売される可能性があると報じている。注目すべきは、この下位モデルに初めてタッチスクリーンが搭載される可能性が高い点だ。これは、2026年後半から2027年前半に発売が見込まれる上位MacBook Proモデルにも同様に搭載されるとみられる。
Appleが長年拒否してきたMacへのタッチスクリーン導入は、コンピューティング体験における大きな転換点となる。iPadとの操作感の違いや、macOSに最適化されたタッチインターフェースがどのように実装されるのか、注目が集まる。
2026年の総生産台数2億2000万台超えへ
Appleの2026年のスマートフォン戦略は、折りたたみスマホだけにとどまらない。Nikkei Asiaによると、同社は折りたたみスマホ、iPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Maxを含むラインアップ全体で、2億2000万台以上のスマートフォンを生産する計画だという。これは、世界的なメモリー価格高騰の中で市場シェアを獲得するための、大規模な生産計画と言える。
2026年後半から2027年にかけては、折りたたみスマホに加え、第2世代の「iPhone Air」、エントリーレベルの「iPhone 18」、そしてiPhone 20周年を記念する特別モデル「iPhone 20」の投入も取り沙汰されている。さらに、同社初のスマートグラスの開発も進行中とみられる。
問われる製品力と価格
Appleは、CEO交代という節目を前に、かつてない規模での製品ラインアップ拡充を図っている。M7チップや折りたたみ機構といった先端技術を投入する一方で、iPadOSの操作性や折りたたみスマホの価格設定など、ユーザー体験と普及に直結する課題も残る。
2026年から2027年にかけてのアップル製品群は、単なるスペック競争ではなく、タッチスクリーンMacや折りたたみデバイスといった新たなフォームファクターが、本当にユーザーのライフスタイルを変える価値を提供できるのか、その真価が問われることになる。