ビットコイン7.7万ドル割れ、インフレ警戒で暗号資産全面安

インフレ懸念の高まりを受け、ビットコインが7.7万ドルを割り込み、暗号資産市場全体に売りが広がっている。

投稿者 central
ハイライト
  • ビットコインは9月11日の取引で一時7万7,000ドルを割り込み、週間で約3%下落した。
  • Zcash(ZEC)は24時間で約9.7%急落し、直近の高騰から利益確定売りが膨らんだ。
  • 市場は米CPIの発表とFOMCの利上げ判断を注視しており、結果次第で相場が大きく変動する可能性がある。

ビットコインが9月11日の取引で一時7万7,000ドルを割り込み、暗号資産(仮想通貨)市場全体に売りが広がっている。主要な暗号資産は軒並み下落し、週間での下げ幅は拡大。背景には、米国でのエネルギー価格上昇とそれに伴うインフ圧力の高まりがある。市場は投資家のリスク回避姿勢を強めており、次なる焦点は日本時間9月11日午後9時30分に発表される米消費者物価指数a(CPI)と、それを踏まえた米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ判断だ。

ビットコイン、7.7万ドル割れで週間3%安

ビットコインはこの24時間で約1.3%下落し、記事執筆時点では7万7,000ドルを下回る水準で推移している。週間ベースでの下落率は約3%に拡大。今年に入り堅調な値動きを見せていたビットコインだが、ここにきて上値の重さが顕在化してきた。特に、9月10日に発表された米国の生産者物価指数(PPI)が予想を上回る伸びを示したことが、市場心理を冷やした格好だ。

ZcashやHYPEも急落、直近高騰の反動か

ビットコイン以外の銘柄にも売り圧力が波及している。中でも下落が顕著だったのは、取引の匿名性とプライバシー保護に特化した暗号資産Zcash(ZEC)だ。ZECは24時間で約9.7%急落。直近1年間で約22倍(約2,220%)という驚異的な上昇を記録していただけに、短期的な利益確定売りが膨らんだとみられる。また、分散型取引所HyperliquidのネイティブトークンHYPEも24時間で約4.3%下落し、80ドルを割り込んだ。週間の下落率は約7%に達しており、こちらも年間で45%高と好調だった反動と捉えられている。

なぜ暗号資産が売られたのか——インフレと金利上昇の現実

下落の背景にあるのは、根強いインフレ懸念だ。9月10日に米労働統計局が発表した8月のPPIは、前月比で0.4%、前年同月比では5.4%上昇した。特にエネルギー価格が前月比4.2%上昇し、財価格全体を押し上げた。この影響は商品市場にも及び、ブレント原油は1バレル107ドルを超え、WTI原油は102ドル付近まで上昇。エネルギー価格の高騰は、企業のコスト増を通じて最終的に消費者物価へ波及する可能性が高い。

こうしたインフレ圧力を受けて、米国債市場では利回りが急上昇。同日の米10年国債利回りは約0.12ポイント上昇し、4.9%に達した。節目の5%に迫る水準だ。金利上昇は、国債などの安全資産の利回りを相対的に魅力的にする一方、レバレッジ(借入)を利用した投機的な投資のコストを押し上げる。このため、ボラティリティ(価格変動)が大きい暗号資産への資金流入が抑制された可能性が高い。

次なる焦点は9月15〜16日のFOMC——年内追加利上げはあるか

記事執筆時点で金利先物市場が織り込む9月15〜16日のFOMCでの利上げ確率は約7割。市場参加者の多くは、年内少なくともあと1回の利上げを想定している。ただし、今後の見通しはこの後発表される8月のCPI次第だ。午後9時30分に公表されるCPIの内容次第で、利上げ観測は急速に修正される可能性がある。もしCPIが予想を下回れば、インフレ鈍化が確認され、暗号資産市場への買い戻しが入る余地もある。

市場の構造変化——「デジタルゴールド」の位置づけ揺らぐ

今回の下落局面で注目されるのは、以前のように「ビットコインはインフレヘッジ資産」という単純な構図が通用しにくくなっている点だ。伝統的に、ビットコインは金と同様にインフレに強い資産とされてきた。しかし、実際には米国金利の上昇局面で株式やハイテク株と連動して下落する傾向が強まっている。今回も、暗号資産市場の下落と同時に米長期金利が上昇しており、リスク資産としての性格がより強く意識された格好だ。

9月11日のビットコイン急落は、単なる一過性の調整ではなく、マクロ経済環境の変化を反映した構造的な動きである可能性がある。市場参加者は、CPIの結果とそれを受けたFOMCのスタンスを慎重に見極める必要があるだろう。

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