トランプ5000ドル配当政策、長期金利急騰で利上げ不可避に

トランプ大統領の5000ドル配当政策が財政不安を増幅し、長期金利は5%目前に急騰。来週のFOMCで利上げが不可避となった背景を解説。

投稿者 central
ハイライト
  • 来週のFOMCでの利上げ確率は80%近くまで上昇した。
  • トランプ大統領の5000ドル配当政策は国防費に迫る規模で、財源が不明なため財政懸念が強まった。
  • 米長期金利は5.0%の大台目前に迫り、債券市場は警戒モードにある。

来週に予定されている9月のFOMC(米連邦公開市場委員会a)で、利上げが実施される公算が急速に強まっている。市場が織り込む利上げ確率は一時「半々」だったが、直近では80%近くまで上昇。米長期金利も5.0%の大台が目前に迫るなど、債券市場は明らかに警戒モードへと傾いている。この背景には、トランプ米大統領が打ち出した「5000ドル配当政策」への財政懸念と、中東情勢の悪化による原油高がある。

来週のFOMC、利上げ確率は80%近くへ急上昇

市場の見方を大きく動かしたのは、前日に発表された米生産者物価指数(PPI)だ。結果はおおむね予想通りだったものの、低い数字ではなかった。このため「先行して発表された雇用統計の内容を覆す材料にはならない」との判断が広がり、来週のFOMCでの利上げは回避できないとの見方が有力になった。

雇用統計の内容を踏まえると、利上げ観測は当初からくすぶっていた。そこへPPIもインフレの根強さを示したことで、FRBが利上げを見送る理由はほぼ消えた、というのが現在の市場コンセンサスである。実際、利上げ確率は一時の50%から80%近くへと急上昇。金融政策を巡る思惑は、事実上「利上げありき」の方向で固まりつつある。

米長期金利は5.0%目前に、トランプ5000ドル配当政策が財政不安を増幅

利上げ観測に加えて、債券市場を強く揺さぶっているのがトランプ大統領の「5000ドル配当政策」だ。これは成人すべてに5000ドルを給付するというもので、その規模は国防費に迫る巨額に上る。にもかかわらず、明確な財源は示されていない。

選挙を意識した「金による票買い」だとの批判も出ており、財政規律に対する不信感が一気に強まった。とりわけ長期ゾーンの金利は、こうした政策リスクを織り込む形でいっせいに上昇。米長期金利は5.0%まで間近の水準に達している。

「5000ドル配当政策」とは何か?

トランプ米大統領が打ち出した、成人全員に5000ドルを配布する政策です。総額は国防費に迫る規模とみられ、明確な財源がないまま巨額の給付を打ち出したことが、市場では財政悪化への根強い懸念につながっています。

長期金利上昇が意味するもの、日本企業や家計への波及リスク

そもそも長期金利の上昇は、国債を保有する投資家が財政悪化やインフレ進行を警戒し、より高い利回りを求めることから生じる。政府の債務が膨らめば将来の利払い負担が増すうえ、原油高によるインフレ期待も長期金利を押し上げる要因だ。

米長期金利が5.0%に乗せれば、住宅ローン金利や企業の資金調達コストにも直接的な影響が及ぶ。日本市場にとっても、米国金利の上昇は円安圧力や世界的なインフレの輸入を通じた物価上昇につながるため、決して対岸の火事ではない。

ECBも利上げへ、ドル円相場は下げ渋り

海外では、欧州中央銀行(ECB)も最近のインフレ動向を懸念して利上げに踏み切っている。世界的な金融引き締めの流れが強まるなか、日銀に対しても追加利上げを迫る圧力がかかっている。

ドル円相場は、このところ強含みで推移している。強いドルというより、市場が期待していた円高方向への反転がまだ訪れていない、という表現が正確だろう。短期的なドル円のショート(円高方向の持ち高)が買い戻される場面はあるものの、その上げ幅は限定的。方向感を探る値動きが続いている。

フーシ派のモカ港占拠、紅海封鎖リスクで原油高と長期金利を同時に刺激

中東情勢はさらに悪化している。イエメンの反政府勢力フーシ派が、紅海に面するモカ港も占拠したとみられる。モカ港はアデン港と並ぶイエメンにとっての戦略的重要拠点で、制圧により紅海封鎖の可能性が一段と高まった。

これを受け、原油相場は一段高。エネルギー価格の上昇はインフレ期待を通じて長期債を弱含ませる要因となる。金融引き締め観測と地政学リスクが重なる構図は、債券市場にとって二重の逆風だ。

今夜の米CPIは、よほどの下振れでない限り利上げ観測を覆せず

市場の関心は今夜発表される米消費者物価指数(CPI)に移っている。ただし、その注目度はかなり薄らいでいる。相当に低い数字でも出ない限り、来週の利上げを見込むムードを覆すことはできないというのが、市場のおおかたの見方だ。

仮にCPIが予想を上回れば、追加利上げ観測がさらに強まり、長期金利は5.0%の大台を試す展開になりかねない。逆に、極端な下振れでもなければ、FOMCを前にしたポジション調整が進むにとどまるだろう。

日本時間16時現在、市場は今夜のCPI発表を前に神経質な値動きを続けている。来週のFOMCでは利上げが実施される公算が大きく、焦点はその後の追加利上げの見通しと、トランプ政権の財政政策が長期金利に及ぼす影響へと移りつつある。

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