売らずに借りる節税、DeFi貸出でデフォルト債務39.6%増加

売却せずに借りる節税戦略がDeFiのデフォルトリスクを39.6%増加させた。

投稿者 central
テキサス大学などの研究で、Venusプロトコルにおける節税目的の借り入れがデフォルト増加と関連。
ハイライト
  • 節税目的でDeFiから借り入れを行った借り手のデフォルト債務は、他の借り手より39.6%増加した。
  • 研究はBNBスマートチェーン上のVenusプロトコルの約1300万件の取引を分析した。
  • 価格下落時に担保価値が低下し、清算リスクがデフォルトにつながる構造が明らかになった。

9月7日、暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)が1253万円前後で推移しています。イーサリアム(ETH)は約39.4万円、ソラナ(SOL)は約1.66万円で取引されており、世界の暗号資産時価総額は約437兆円です。ビットコインのドミナンス(市場占有率)は約59.5%に達しています。

売らずに借りる節税がもたらす代償—DeFi貸出でデフォルト債務39.6%増加

暗号資産が値上がりした局面で、売却せずに担保として借り入れを行う「節税戦略」が、分散型金融(DeFi)の信用リスクを押し上げています。テキサス大学オースティン校のリサ・デシモーネ氏、シンガポール国立大学のペイイ・ジン氏とダニエル・ラベッティ氏によるワーキングペーパーは、税の繰り延べを動機とする借り入れがDeFiのデフォルト(債務不履行)と密接に関連していることを実証しました。

調査対象となったのは、BNBスマートチェーン(BSC)上で展開する貸出プロトコル「Venus」です。2020年11月12日から2022年7月31日までの期間について、上位15トークンの約1300万件の取引を分析。これを136万件の日次借り手観測データとして整理したところ、約3%がデフォルトに至っていたことがわかりました。

とりわけ注目すべきは、節税目的で借り入れを行った借り手のデフォルト債務が、ほかの借り手と比較して39.6%増加したという点です。

「売らずに借りる節税」とはどのような手法か?

値上がりした暗号資産を売却せずに貸出プロトコルへ担保として預け、その評価額に応じてステーブルコインなどを借り入れる手法です。売却時に発生するキャピタルゲイン課税を繰り延べられる一方、価格下落時には担保割れによる清算=デフォルトのリスクが伴います。

なぜ節税目的の借り入れはデフォルトにつながるのか

税の繰り延べを目的とする借り手は、価格上昇期には含み益を維持したまま資金を調達できるため、保有資産を売却せずに済みます。しかし、市場が下落へ転じると、担保価値の低下によって清算のリスクに直面します。DeFiの貸出プロトコルでは担保価値が清算閾値を下回ったポジションは自動的に強制清算されるため、価格下落のスピードが速い局面では、追加担保を入れる余裕すらないまま担保を失うケースが多発するのです。

さらに、複数の借り手が同じトークンを担保にしている場合、ある借り手の清算が担保トークンの売り圧力となり、それが次の清算を誘発する連鎖が生じます。Venusのデータには、こうした構造的脆弱性が如実に表れています。

日本の暗号資産税制では、売却益が雑所得として課税対象となるため、税負担を先送りしたい投資家にとって担保貸出は魅力的な選択肢です。しかし今回の研究は、節税目的の借り入れが市場暴落時にデフォルトという形で跳ね返ってくるリスクを、大規模な実データで示した点で重要です。

ビットコイン価格予測はなぜ「当たらない」のか—単純な基準を超えたモデルはゼロ

ビットコインの価格予測は、学術研究の分野でも数多くの論文が発表されてきたテーマです。しかし、ポルト大学のカルロス・バケロ氏が公開したプレプリントは、1〜6か月先の予測において、複数の相場局面をまたいで素朴な基準(ナイーブベースライン)を安定して上回った査読済みモデルは1本も存在しないと結論づけています。

ここでいう「素朴な基準」とは、直近の価格をそのまま将来の予測値として使う、最もシンプルな手法です。複雑な機械学習モデルやディープラーニングモデルが数多く提案されてきた一方で、それらが一貫して単純な手法を打ち負かすことはできていないのが実情なのです。

この結果は、AIによる価格予測ツールが無意味であることを意味するわけではありません。むしろ、暗号資産市場の価格形成が本質的に予測困難であり、バックテスト上の優位性が実運用では再現されにくいことを示しています。

投資家にとっての実務的な示唆は明快です。予測モデルの精度を追い求めるよりも、ポジションサイズの管理やリスク分散といった基本原則を徹底することが、長期的な成果につながるということでしょう。

ビットマインのステーキング残高、3週間「5,067,309ETH」で完全一致—何が起きているのか

上場企業として世界最大のイーサリアム保有量を誇るビットマイン社。同社は8月30日時点で590万ETHを保有し、イーサリアム総供給量の5%取得を目指す「Alchemy of 5%」戦略を継続しています。

ところが、同社が開示するステーキング残高は、8月9日、8月16日、8月30日のいずれの時点でも5,067,309ETHで完全に一致しています。この間に保有量は581万枚から590万枚へと約9万枚増加しているため、ステーキング比率は87%から86%へと低下した計算になります。

つまり、買い増した分のETHがそのまま未ステーキングとして積み上がっているのです。

考えられる要因は複数あります。まず、イーサリアムのステーキングには入場待機列(キュー)が存在し、大量のETHを一括で預け入れる場合、処理が完了するまでに時間がかかる点です。次に、流動性の確保や売却の柔軟性を維持するため、意図的に未ステーキングで保持している可能性もあります。さらに、ステーキング報酬にまつわる税務上の取り扱いや運用戦略の見直しが背景にあるかもしれません。

世界最大のETH保有企業による約9万ETHもの未ステーキング残高は、市場の需給にも影響を及ぼし得ます。これらのETHが今後ステーキングに回されるのか、それとも別の用途に振り向けられるのか。ビットマイン社の次の一手が、イーサリアム市場に与えるインパクトは小さくないでしょう。

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