Nvidia(エヌビディア)が9月3日に投入する最新アップスケーリング技術「DLSS 5」が、ローンチを目前に大きな物議を醸している。同社は「2018年のリアルタイムレイトレーシング以来、最も重要なブレークスルー」と自賛する一方、初期デモで示されたキャラクター描写の変化があまりに劇的だったことから、多くのゲーマーから批判と嘲笑を浴びた。さらに、GPU負荷が最大60%増加するという性能インパクトも明らかになり、対応タイトルが現時点で実質1本しか確定していないなど、疑問点が山積している。
DLSS 5、9月3日正式リリース。発売時に対応タイトルはNBA 2K27のみ
NvidiaはDLSS 5について、AIを活用してゲーム内のシーンをソースコンテンツに基づき高精細化し、より現実的なグラフィックスを実現すると説明。開発者はその変更度合いを細かく制御できるとも強調していた。だが、公式発表と同時に公開されたデモ映像は、キャラクターの顔立ちを大きく変えてしまう「ヤスィフィケーション(yassification)」現象としてすぐさま拡散され、ネットミームの標的となった。
問題となったのは、サバイバルホラー『Resident Evil Requiem』の主人公Grace Ashcroftの描写や、『EA Sports FC』『Starfield』『Hogwarts Legacy』の映像。ところが、これら3月の発表時に紹介されたタイトルのいずれも、DLSS 5のローンチ時点では対応しない。Nvidiaからの問い合わせに対し、同社は「DLSS 5が『NBA 2K27』以外のどのタイトルにいつ提供されるのか」を明確にせず、以前に発表された対応予定タイトルが今後も含まれるのか再確認もしなかった。
「ヤスィフィケーション」と揶揄された初期デモの衝撃
Nvidiaが初期デモで示したDLSS 5は、ゲーム内のキャラクターを実写とはかけ離れた“美化”された外見に変換。『Resident Evil Requiem』のGraceは顔の特徴が大きく変わり、まるで別の人物になっていると非難された。この現象は「yassification(賛美:ヤスィフィケーション)」と揶揄され、PC Gamerなど複数メディアがミームをまとめる事態となった。ユーザーからは「これはアップスケーリングではなく、AIによる改変だ」との声が相次いだ。
11月21日、全世界で同時リリース。Nintendo Switch 2が2025年6月5日発売正式決定、注目の新作『ドラゴンボール Sparking Zero』続報や、サプライズ新作の発表で賑わった本イベント。今年もNintendo Switch 2に関するファンの関心は依然として高い。
最終版では変化は控えめ? NBA 2K27のデモと開発者用スライダー
プレス向けの説明会で披露された『NBA 2K27』の実機映像では、初期デモほどの劇的な変化は見られなかった。DLSS 5によって追加される影やテクスチャは選手の外見をよりリアルにする方向で機能しており、AIによるキャリカチュア的な印象は薄れていた。詳細な解説はThe Vergeの記事で確認できるが、注目すべきは開発者向けに用意された多彩なスライダーだ。
Nvidiaによれば、開発者はシーンのあらゆる要素に対してDLSS 5の影響度合いを独立して調整できる。たとえばキャラクターの顔面だけは手を加えず、食器や食べ物、草花などの背景オブジェクトのみを高精細化することも可能という。つまり、初期デモで批判を浴びた「顔の加工」はあくまで一つの設定例であり、製品版では開発者が意図した範囲に限定できる仕組みが整えられている。
GPU負荷は最大60%増。ミドルレンジでも動作条件は厳しい
性能面でもDLSS 5は高いハードルを課す。Nvidia自身が推定するGPU負荷の増加率は50~60%。海外メディアが『Shadow of the Tomb Raidera』に非公式のDLSS 5 modを適用したテストでは、フレームレートが半分に低下したという。もっとも、初期デモではRTX 5090のデュアル構成が必要だったとされるが、製品版では条件が緩和された。Nvidiaは「最速クラスのCPUと6倍フレーム生成(6x Frame Generation)を有効にすれば、ミドルレンジのRTX 5060でも1080p・レイトレーシング・ウルトラ設定で『NBA 2K27』をプレイ可能」と説明する。
ただし、この「6倍フレーム生成」は、表示される6フレームのうち1フレームしかゲームエンジンが生成した“本物”のフレームがないことを意味する。フレーム生成技術の進化は目覚ましいが、応答性や画質への影響を懸念する声は根強い。
今後の展望と課題
NvidiaはDLSS 5を「グラフィックス革命」と位置づけるが、現状では対応タイトルの不足、デモの印象の悪さ、そして性能コストの高さが課題として浮かび上がる。開発者用スライダーで過剰な改変を抑制できるとはいえ、実際のゲームでどの程度採用されるかは未知数だ。特に『Resident Evil Requiem』や『Starfield』といった大作タイトルがローンチに間に合わなかったことは、技術の成熟度に対する疑念を強めている。
DLSS 5が真価を発揮するには、開発者が納得して導入し、かつプレイヤーが画質と性能のバランスを受け入れる必要がある。9月3日のローンチは、その第一歩に過ぎないと言えるだろう。