Alibaba Wan3.0、テキスト・PDFから30秒動画生成を公開

Alibabaがマルチモーダル入力対応の動画生成AI「Wan3.0」を公開。テキストやPDFから30秒の動画を生成可能。

投稿者 central
Wan3.0はテキスト、画像、動画、音声、PDFなど多様な入力から動画を生成する。
ハイライト
  • Wan3.0はテキスト、画像、動画、音声に加えPDFやPowerPointから動画を生成できる。
  • 生成可能な動画長は最長30秒で、前世代の2倍に拡大された。
  • 料金は秒単位の従量制で、480pから1080pまでの解像度を選択可能。

Alibaba Groupは8月、同社の動画生成AIモデル「Wan3.0」のベータ版を公開した。本モデルはテキスト、画像、動画、音声に加え、PDFやPowerPointファイル、Webページといったドキュメントデータを入力として受け付け、最長30秒の動画を生成する。前世代のWan2.5が15秒までだったのに対し、動画長は2倍に拡大された。料金は秒単位の従量制で、480pから1080pまでの解像度を選択可能。Standard版と処理の高速なPrime版の2つのティアが用意されており、Standard版は現在30%の割引が適用されている。

Wan3.0が実現するマルチモーダル入力と高精度な動画生成

Wan3.0の最大の特徴は、入力ソースの多様性にある。1回のプロンプトで最大10枚の画像、5本の動画、5つの音声クリップを同時に処理できる。さらに、静的なPDFやPowerPointを入力として与えることで、資料の内容を動的なビデオコンテンツに変換する機能を備えている。ユーザーのプロンプトに基づいて最適な動画長を自動で提案するほか、既存の動画を延長するツールも同梱される。

AI生成動画にありがちな顔やUIの歪み、視覚的なドリフトに対して、Wan3.0は参照素材のキャラクターや小道具、空間レイアウトなどのディテールをより一貫して保持するよう設計されている。Alibabaによれば、これにより従来モデルよりも安定した映像品質を実現するという。

480pから1080pまで、秒単位の価格体系

Wan3.0の利用料金は解像度と処理速度の組み合わせで決まる。以下が公式発表された価格表である。

480p: Standard版が1秒あたり0.05ドル(30秒で1.50ドル)、Prime版が0.068ドル(同2.04ドル)。720p: Standard版が0.10ドル(同3.00ドル)、Prime版が0.14ドル(同4.20ドル)。1080p: Standard版が0.20ドル(同6.00ドル)、Prime版が0.28ドル(同8.40ドル)。

アクセス手段は、専用サイト「wan.video」、Alibaba Cloud Model Studio、またはQwen Cloud経由のAPIの3通りが用意されている。

映像制作から自動運転訓練まで、Alibabaが狙う用途

AlibabaはWan3.0の応用範囲を極めて広く見積もっている。映画制作の工程短縮、ショートドラマやSNS向けクリップの生成など、コンテンツクリエイター向けの用途がまず挙げられる。企業向けには、テキストや画像をマーケティング映像や研修用ビデオに変換する使い方が想定されている。さらに、技術開発者向けには、自動運転車やロボットシステムの訓練に用いるリアルなシミュレーション映像の生成も視野に入れている。

巨額のAI投資の只中での製品リリース

本製品のローンチは、AlibabaがAI分野への投資を急拡大している時期と重なる。同社は最近、香港上場企業として過去最大規模となる自社株売卻を発表し、その調達資金をAI関連の研究開発に充当する方針を明らかにしている。先週発表した四半期決算では、前年同期比で75%の営業減益を記録。これは主にAI投資の急増によるもので、同社が成長市場での競争力を維持するために積極的な投資戦略を続けていることが浮き彫りとなった。

Wan3.0は、テキスト生成やコード生成で存在感を示すQwenモデルファミリーと並び、AlibabaのAIエコシステムにおける映像生成の中核を担う製品と位置づけられる。動画生成AIの分野ではOpenAIのSoraやMeta、Runwayなどの競合がひしめく中、Wan3.0はマルチモーダル入力とドキュメント変換という差別化ポイントで市場に挑む構えだ。今後、実際のクリエイティブワークフローや企業の業務プロセスにどの程度浸透するかが、本モデルの真価を問うことになる。

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