コインチェック株式会社aは、2025年6月27日、ステーブルコインの取り扱いに必要なライセンスとなる「電子決済手段等取引業」の登録を完了したと発表した。登録番号は「関東財務局長(電決)第00002号」で、国内ではSBIVCトレード株式会社に次ぐ2社目の登録となる。この登録を受け、同社は米サークル社との提携を経て、ステーブルコイン「USDC」の取り扱いを本格的に開始する見通しだ。
電子決済手段取引業登録とは——国内2社目の登録が持つ意味
「電子決済手段等取引業」とは、ステーブルコインに代表される電子決済手段の交換や売買、管理を業として行うために必要な登録制度である。2023年6月に施行された改正資金決済法により新設された枠組みで、暗号資産交換業とは異なる規制が適用される。今回の登録により、コインチェックは法的に認められた形でステーブルコインを取り扱うことが可能となった。
登録番号「第00002号」が示す通り、国内でこの登録を完了した事業者は、現時点で2社のみである。先行する第00001号は、2025年3月4日に登録されたSBIVCトレード株式会社で、同社は既にUSDCやRLUSDなどの取り扱いを届け出ている。コインチェックはこれに続く形で、国内第2号の登録を取得したことになる。
USDC取り扱いへの道筋——Circle社との提携が加速
コインチェックは、米サークル社との提携を経てUSDCの取り扱いを開始する方針である。USDCは、米ドルにペッグされた世界最大級のステーブルコインであり、発行済み流通量は約350億ドル(2025年6月時点)にのぼる。DeFi(分散型金融)やクロスボーダー送金、機関投資家の決済手段として幅広く利用されている。
同社はこれまで、ビットコインやイーサリアムなど主要な暗号資産の交換業を手掛けてきたが、ステーブルコインの取り扱いは初めてとなる。電子決済手段取引業の登録を取得することで、USDCの入出金や売買、さらにはステーブルコインを活用した新たな金融サービスの提供が可能になる。
ステーブルコイン事業の本格始動——ユーザーへの影響は
コインチェックがUSDCを取り扱うことで、国内ユーザーにとっては、暗号資産取引所でステーブルコインを直接利用できる環境が整う。これまでは海外取引所を経由する必要があったUSDCの購入や送金が、国内の規制当局の管理下で行えるようになる点は、セキュリティ面での安心感につながる。
また、ステーブルコインは価格変動リスクが極めて低いため、暗号資産市場における「退避資産」としての役割を果たす。急激な相場変動時には、ビットコインやアルトコインからUSDCへと資産を移す動きが活発化する可能性がある。コインチェックのプラットフォーム上でUSDCが利用可能になれば、ユーザーはよりスムーズにリスク管理を行えるようになるだろう。
国内ステーブルコイン市場の競争環境——SBIVCトレードとの比較
SBIVCトレードが第1号の登録を取得した2025年3月以降、国内のステーブルコイン市場は徐々に整備が進んでいる。SBIVCトレードは、USDCに加えてRLUSD(Ripple社発行の米ドルペッグステーブルコイン)の取り扱いを届け出ており、複数のステーブルコインをラインアップしている点が特徴だ。一方、コインチェックはまずUSDCに特化し、今後の拡大を視野に入れているとみられる。
両社の登録完了により、国内の暗号資産交換業者は、ステーブルコインの取り扱いを巡る競争が本格化する。特に、コインチェックは国内最大級のユーザー基盤を有しており、ステーブルコインの普及において重要な役割を果たすことが期待される。
今後の展望——さらなる登録事業者の増加と規制動向
電子決済手段取引業の登録は、今後も増加する見通しである。国内の主要な暗号資産交換業者やフィンテック企業が、ステーブルコイン事業への参入を検討しているとされる。特に、三菱UFJ銀行やみずほ銀行など大手銀行グループが発行する「円連動型ステーブルコイン」の実用化が進めば、登録事業者の需要はさらに高まるだろう。
また、金融庁はステーブルコインの利用拡大を見据え、利用者保護やマネーロンダリング対策の強化を進めている。電子決済手段取引業の登録制度は、その中核的な規制の一つであり、登録事業者の増加は市場の成熟度を示す指標となる。
コインチェックの今回の登録は、国内ステーブルコイン市場の第二幕の幕開けと言える。SBIVCトレードが先行する中、コインチェックがどのようなサービス展開を見せるのか、そしてユーザーにとっての利便性がどの程度向上するのか——今後の動向に注目が集まる。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の暗号資産や金融商品の購入、売却、保有を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。