JPYC、アパホテルで訪日客決済のテスト開始

UPBONDがアパホテルと連携し、JPYCステーブルコインで訪日客決済のテストを開始した。

投稿者 central
アパホテル宿泊者向けにJPYC決済とAI観光提案を組み合わせた実証実験がスタート。
ハイライト
  • UPBONDは約100万人のウォレットユーザーを基盤に、JPYC決済の実用化を目指している。
  • JPYCは1JPYC=1円の安定価値を持ち、訪日客の為替リスクを軽減する。
  • 今回のテストはアパホテル宿泊者を対象に、予約から決済までの一貫体験を構築する狙いがある。

株式会社UPBONDは、訪日外国人旅行者向けサービスにおいて、円建てステーブルコイン「JPYCa」を活用した決済体験の実現に向けたテスト運用を、アパホテルを舞台に開始することを明らかにした。2026年6月からJapanTicketと連携し、アパホテル宿泊者を対象に観光体験や飲食店予約の案内を行うテストを実施。将来的には、予約からJPYCによる支払いまでを一つのシームレスな導線で完結させる構想を描いている。

この取り組みは、増加の一途をたどる訪日客の決済における摩擦を解消する狙いがある。現在のテスト運用は、宿泊を起点とした観光コンテンツへの送客が中心だが、UPBONDはその先を見据えている。

JPYCが目指す、訪日客の決済ストレス軽減

訪日客が日本国内で決済する際、為替手数料やクレジットカードの決済エラー、言語の壁などが負担となるケースは少なくない。UPBONDは、1JPYC=1円で価値が固定されたステーブルコイン「JPYC」を活用することで、こうした決済上の摩擦を大幅に軽減。さらに、AIによる対話型の観光体験提案から予約、そしてJPYCでの支払いまでを一気通貫でつなげるプラットフォームを目指している。

UPBONDは、訪日旅行者を中心に約100万人のウォレットユーザーを抱えており、このユーザーベースが今回のプロジェクトの強みとなる。同社の水岡駿代表取締役は、将来的にはSNS上でのJPYC決済までを見据え、言語や支払い方法の壁を意識せずに旅行を楽しめる環境を構築する方針を示している。

ただし、今回発表されたテスト運用の具体的な範囲は、JapanTicketが提供する観光・飲食コンテンツとの連携が主軸。アパホテル宿泊者向けのサービスにJPYC決済がいつから、どのような対象範囲で導入されるのか、具体的なスケジュールや詳細は現時点では明らかにされていない。

UPBONDの強み——100万人のウォレットユーザーとAI提案

UPBONDが強みとするのは、そのユーザー基盤だけではない。AIを活用した旅行体験の提案機能だ。旅行者との自然な会話の中から最適な観光体験や飲食店をAIが提案し、そのまま予約、決済に進むことが可能になれば、従来の旅行予約サイトとは一線を画す体験を提供できる。今回のテストは、その実現可能性を検証する重要なステップとなる。

JPYCの実店舗展開、今年に入り急速に加速

今回のUPBONDの発表は、JPYCのエコシステムが着実に拡大している文脈で理解する必要がある。JPYCの発行元であるJPYC株式会社は、2024年8月にシリーズBラウンドで累計60億円の資金調達を完了。オンチェーン上の流通額は20億円を突破し、その勢いは加速している。

実店舗での決済実証も相次いでいる。8月6日には、ローソン店頭においてKDDIおよびHashPortと連携し、JPYCを使った決済の検証が実施された。これは、POSレジで完結するステーブルコイン決済の国内初の実証として注目を集めた。さらに、LINE上での利用や、ダイナースクラブのポイントをJPYCに交換できるサービスも開始されており、ステーブルコインが日常生活により深く入り込む兆しを見せている。

ローソンでの実証からLINE、ダイナース連携まで——広がるユースケース

JPYCのユースケースは、決済だけにとどまらない。生活インフラとの接点を増やすことで、その利便性を高めている。例えば、LINE上でJPYCを送受金できるサービスは、既存のメッセンジャーユーザーにとって極めて馴染みやすい。また、ダイナースクラブのポイント交換は、高額決済が多いビジネスユーザーを取り込む上で有効な手段と言える。

ホテル宿泊者起点——JPYCに継続的な実需をもたらす可能性

UPBONDが構想する訪日旅行者向けモデルの最大の特徴は、ホテル宿泊者という明確な利用者層を起点としている点だ。空港や観光地での散発的な利用ではなく、宿泊という継続的な滞在をベースとした需要を掘り起こすことができる。

具体的には、アパホテルに宿泊した旅行者が、JapanTicketのプラットフォーム上でAIの提案を受け、近隣の観光スポットや飲食店を予約。その支払いを、宿泊者は手持ちのJPYCで行う——こうした一連の流れが実現すれば、JPYCにとっては単なる投機的な需要ではなく、観光分野における継続的な実需を生み出す強力な事例となる。

UPBOND、アパホテル、JapanTicketの3社は、今回のテストを通じて、宿泊者による予約状況やコンテンツへの反応、旅行者の満足度、そして地域事業者への送客効果などを多角的に検証。得られたデータを基に、今後の本格展開の可否やサービス内容を検討していく方針だ。

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