ビットコイン(BTC)を中心とする仮想通貨市場の反発は、過去の上昇局面より「質が高い」可能性がある——。米みずほ証券のアナリスト、ダン・ドレブ氏は2026年6月25日、こうした分析を示しました。その根拠となるのが、ETF(上場投資信託)を通じた機関投資家の資金流入と、レバレッジの低水準です。投機的な過熱に依存しない上昇構造は、市場の持続可能性を測るうえで重要なシグナルとなります。
仮想通貨の反発が「質が高い」といわれる理由は?
仮想通貨の反発が「質が高い」といわれる理由は、ETF週間流入が19億ドルに達し、機関投資家の資金が価格上昇を主導している一方で、未決済建玉(OI)が低水準にとどまり、レバレッジに依存していないためです。
ドレブ氏がまず着目したのは、コイン建ての未決済建玉(OI)の動向です。OIとは、市場に残っている未決済の先物契約の総量を指し、この数値が大きいほどレバレッジをかけた投機的なポジションが積み上がっていることを意味します。
今回の反発では、初動後にOIが1ヶ月ぶりの低水準まで落ち込み、その後も回復していません。つまり、価格の上昇を先物やレバレッジ商品による買いが牽引しているわけではありません。過去の上昇局面ではOIの膨張が値動きを増幅し、調整局面に入ると強制決済(ロスカット)の連鎖で暴落が加速するケースが繰り返されてきました。その点を踏まえると、今回の相場は構造が異なると言えます。
ETF週間流入19億ドル、2025年10月以来の水準
質の高さを裏付ける最大の材料が、ETFへの資金流入です。直近の週間流入額は19億ドルに達し、2025年10月以来の水準を記録しました。ビットコイン現物ETFを中心に、機関投資家とみられる大口の資金が継続的に流れ込んでいます。
ETFを通じた買いは、投資家が現物を直接保有するのと実質的に同じ効果を持ちます。しかし、その背後には規制された市場環境や運用プロセスが存在し、投機的な短期売買よりも中長期の視点に立った資金が多いとされています。こうした資金が価格上昇の主役であることは、反発の持続性を考えるうえで大きな意味を持ちます。
実際、過去の相場では、小口のレバレッジ需要が価格を押し上げ、その反動で急落するという循環が見られました。今回はETFという制度的な経路を通じた資金流入が上昇を支えており、需給構造そのものが変化していると捉えることができます。
ロビンフッド、現物小口シェア4割で首位
個人投資家の動きも、今回の反発の質を物語る要素です。米国の取引プラットフォームであるロビンフッドは、現物の小口取引においてシェア4割を確保し、首位に立っています。
これは、個人投資家が先物やレバレッジ商品ではなく、現物のビットコインを小口で買い集めていることを示します。レバレッジを伴わない現物の買いは、価格が下落しても強制決済のリスクがなく、市場全体の安定性を損ないにくいという特徴があります。個人セクターでも投機的な資金よりも実需の色が強い点は、今回の相場の特徴といえるでしょう。
レバレッジ低水準が示す持続可能な上昇構造
レバレッジの低水準は、市場の安定性という観点からも重要です。OIが低い状態が続けば、価格の調整局面に入っても、強制決済が連鎖的に発生して下落が増幅するリスクは限定的になります。
仮想通貨市場はこれまで、レバレッジの積み上がりと巻き戻しによって値動きが激しくなる傾向がありました。しかし今回は、上昇局面でOIが抑えられたままであり、「急伸する力は限定的ですが、崩れにくい」という状態にあります。ドレブ氏が指摘する「質の高い反発」とは、まさにこの構図を指しています。
加えて、ETFの週間流入額が19億ドルという水準は、需給の逼迫度を示す指標としても注目されます。流入が続く限り、市場には買い余剰の状態が維持されやすく、下落局面でも底堅い値動きが期待できます。
ETF主導の反発は続くのか
今後の焦点となるのは、ETFへの資金流入が持続するかどうかです。米国ではビットコイン現物ETFに対する機関投資家の関心が引き続き高く、資金流入のペースは市場センチメントを左右する重要な指標になっています。一方で、流入が鈍化すれば、今回の反発の勢いも調整を余儀なくされる可能性があります。
また、OIが低水準にあることは、市場の流動性が低下している面があることも意味します。参加者が少なければ、大口の売り注文の影響で価格が大きく動くリスクも残ります。反発の質の高さを評価しつつも、流動性の変化には引き続き注意が必要です。
ドレブ氏の分析は、仮想通貨市場の評価軸が「いかに上がるか」から「いかに持続するか」へと移りつつあることを示唆しています。日本の投資家にとっても、ETFの資金流入とOIの動向は、今後ビットコイン相場を読むうえで欠かせない指標となるでしょう。ETFという制度的な買い手の存在と、レバレッジに依存しない需給構造が確立されれば、仮想通貨市場は従来とは異なる安定的な成長ステージに入る可能性があります。