ハズブロ、好調決算も複数ゲーム開発中止…91億円減損を計上

ハズブロが2026年第2四半期決算を発表、好調な売上高の一方でデジタルゲーム部門に約91億円の減損損失を計上し複数の開発中タイトルを中止。

投稿者 central
ハズブロが2026年第2四半期に91億円の減損損失を計上し、複数のデジタルゲーム開発を中止した。
ハイライト
  • ハズブロの2026年第2四半期決算は売上高16%増、営業利益12%増と好調だった。
  • デジタルゲーム部門で約91億円の減損損失を計上し、複数の開発中タイトルが中止された。
  • マジック:ザ・ギャザリング部門の売上高は前年比32%増と好調を維持している。

米国大手ゲーム・玩具企業のハズブロ(Hasbro)が現地時間7月21日に発表した2026年第2四半期(4月~6月期)決算は、前年同期比で売上高16%増、営業利益14%増と好調な内容となった。しかしながら、その好業績の陰で、デジタルゲーム部門において約5600万ドル(約91億円)もの減損損失が計上され、複数の開発中タイトルが中止に追い込まれている実態が明らかになった。全体としては堅調な同社だが、ポートフォリオの大規模な再編が進行中であり、今後のゲーム事業戦略に注目が集まる。

好調な決算を支える「マジック:ザ・ギャザリング」の快進撃

ロードアイランド州に本社を置くハズブロは、『モノポリー』や『人生ゲーム』といった世界的ボードゲームに加え、「G.I.ジョー」や「マイリトルポニー」などのトイIPを抱える。さらに、『マジック:ザ・ギャザリング』と『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)で知られるウィザーズ・オブ・ザ・コースト社を子会社として運営しており、デジタルとアナログの両面で圧倒的なIP資産を持つ。

今回の決算では、売上高が前年比16%増の約11億4000万ドル(約1860億円)、営業利益は12%増の約2億5300万ドル(約412億円)を計上。この好調な業績を牽引したのが、まさに看板タイトルである『マジック:ザ・ギャザリング』だ。同部門の売上高は前年同期比で実に32%も増加しており、トレーディングカードゲーム市場における揺るぎない強さを改めて証明した格好だ。

91億円の減損損失と、2028年以降を見据えた開発中止

一方で、デジタルゲーム部門の戦略見直しは急ピッチで進められている。今回の決算では約5600万ドル(約91億円)の減損損失が計上されたが、これは2028年以降のリリースを予定していた複数のデジタルゲームプロジェクトの開発中止が主因だと説明されている。

同社は今年5月にも、初期開発段階にあったD&Dを題材とした新作ゲームの中止を発表しており、今回の減損にはそれ以外にも公にされていないプロジェクトの打ち切りが含まれているとみられる。これは、かつて大きな期待を集めながらも開発が難航していたタイトル群を整理し、より現実的なポートフォリオに組み替えるという、経営判断の表れと言えるだろう。

継続する注目タイトルと開発戦略の転換

こうした再編の中でも、2027年にリリースが予定されているSF RPG『EXODUS』、そしてオープンワールドARPG『Warlock: Dungeons and Dragons』の2作品は影響を受けず、計画通り来年の発売を目指すとしている。これらのタイトルは、ハズブロが今後も注力する大作路線の象徴とも言える。

CEOのChris Cocks氏は決算説明会で、大ヒット作『バルダーズ・ゲート3』の成功に改めて言及。今後も大型デジタルゲームをリリースする方針を確認しつつ、リスク管理の観点から、共同パブリッシングやライブサービス型ゲームへのシフトを強化する意向を示した。さらに、開発拠点をより低コストの地域へ移し、デジタルゲーム部門への投資額自体を段階的に引き下げる計画であることも明らかにしている。これは、高リスク・高コストなAAAタイトルの自社開発一本足打法から、外部スタジオとの協業や安定的な収益を見込めるビジネスモデルへの重心移動を意味しており、業界全体の動向とも符合する。

「バルダーズ・ゲート」新作への影響と今後の展望

同社がライセンスを保有する『バルダーズ・ゲート』シリーズについては、2023年にリリースされた第3作が全世界で絶大な成功を収めた。ハズブロはシリーズの後継作の開発に前向きな姿勢を示しており、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社長兼ハズブロデジタルゲーム部門統括のJohn Hight氏も「もちろん後継作は作る」と明言している。しかし、開発を手がけたLarian Studiosが同シリーズからの離脱を表明しているため、具体的な開発スタジオやスケジュールは依然として不透明なままだ。

今回のデジタルゲーム部門の戦略見直しは、投資効率とリスク抑制を最優先とする方向性を明確にしており、この方針が『バルダーズ・ゲート』の次なるタイトルにどのような影響を及ぼすのか。ポートフォリオ再編の進むハズブロが、巨大IPをどのように育て、次なるヒットを生み出すのか。その動向は、デジタルゲーム業界全体にとっても重要な指標となるだろう。

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