デベロッパーShapefarmのデビュー作『Orbitals』が、Nintendo Switch 2向けに本日リリースされた。本作は、単なる良質なソファ協力プレイアドベンチャーではない。80年代のヴィンテージアニメへの愛に満ちたオマージュとして、『カウボーイビバップ』『エヴァンゲリオン』『セーラームーン』といった巨匠たちのエッセンスをハイコンセプトなSFストーリーに詰め込み、スタジオMassketによる手描きのアニメカットシーンで彩られた、まさに宝石箱のような作品だ。価格は$40で、現時点ではNintendo Switch 2専用タイトルとなっている。
本作を語る上で避けて通れないのが、Hazelight Studiosが手がけた『It Takes Two』や『Split Fiction』といった、ソファ協力プレイの金字塔の存在だ。新興スタジオにとって、これらと比較されるのは酷な話だが、『Orbitals』はその至高の領域に堂々と肩を並べる。その背景には、開発チームに元Hazelightのクリエイターが名を連ねていることが大きい。本作のゲームディレクター、Jakob Lundgren氏自身が「HazelightのDNAを継承している」と認める通り、同スタジオのノウハウは随所に息づいている。しかし、筆者が実際にプレイした印象では、単なる継承に留まらず、その受賞歴のあるフォーミュラをポジティブに進化させている点にこそ、本作の真価がある。
『It Takes Two』や『Split Fiction』では、片方のプレイヤーがボタンを押し続けて待機する、いわゆる「お願いプレイ」の時間が少なからず存在した。対して『Orbitals』は、両プレイヤーが常に一緒に移動し、プラットフォームセクションやパズルに意味のある貢献をし続けるよう、緻密に設計されている。どちらかがただ待つだけの時間が極限まで排除され、協力の質が一段と高められているのだ。
80年代アニメへの愛が詰まったビジュアルと世界観
プレイヤーは、難破した宇宙コロニーで生きる少年マキと少女オムラとなり、彼らを襲う放射線嵐から仲間を救うため、宇宙の果てへと旅立つ。このストーリー自体は、オマージュの域を出ず、既視感を覚える展開も多い。しかし、それを補って余りあるのが、スタジオMassketが手がけた美しい手描きアニメーションのカットシーンだ。キャラクターの表情や仕草の一つ一つに宿る魅力は、まさに80年代から90年代のOVAを見ているかのようなノスタルジーを呼び覚ます。
ゲーム内の環境デザインも、そのアートへのこだわりが光る。廃墟となった宇宙船、小惑星帯の採掘基地、氷に覆われた発電所、溶岩が流れる工場など、舞台はバラエティに富んでいる。Hazelight作品のように、突然雪景色のジオラマに縮小されるような意外性こそないものの、どのロケーションも決して長居をさせず、テンポよく次々と展開されていくため、プレイヤーを飽きさせることはない。
さらに、本作の魅力を高めているのが、メインストーリーとは別に用意された数々のアクティビティだ。愛らしい紫色の猫や、ジブリ作品を彷彿とさせる小さなエイリアンたちの探索、そして何より、レトロな対戦型シューティング「Space War」を思わせるミニゲームの存在は、パートナーとの絆をより深めること請け合いだ。
常に思考と連携が求められる、心地よいパズルデザイン
本作のパズルは、Hazelight作品よりもやや難易度が高く、特にタイミングを合わせた協力プレイが要求される場面が多い。これが、熟練したゲーマーにとっては新鮮な挑戦となる一方、カジュアルなプレイヤーには少し辛いかもしれない。だが、この「手応え」こそが、本作を単なる「It Takes Twoのクローン」から一歩踏み出させている要因だ。
例を挙げれば、レーザーや水鉄砲、ジャンプパックといったガジェットを用いて、互いのために新たな足場を創出したり、溶岩のような危険物を除去したりといった連携が求められる。筆者が最も印象的だったのは、横スクロール画面で、パートナーの動きに合わせてプラットフォームを送り合う、まさに阿吽の呼吸が必要な場面だ。
『Orbitals』は、プレイヤーに「待つ」ことを強いるのではなく、「どうやって一緒に動くか」を常に考えさせるゲームデザインを採用している。この点において、本作はHazelightの遺伝子を受け継ぎつつも、より洗練された、カップルやパートナー同士で真の協力を楽しむための理想的な形を提示していると言えるだろう。手描きアニメの持つ親しみやすさが、難易度による敷居の高さを和らげている点も見逃せない。『Orbitals』は、まさにNintendo Switch 2のローンチ初期を彩る、極上のカップル向けタイトルだ。