ポーランドズロチ/円(PLN/JPY)の買いとユーロ/円(EUR/JPY)の売りを組み合わせた運用で、約1カ月で13万510円の利益を達成した。為替変動を抑えながら高水準のスワップポイントを受け取るこの手法は、値動きの相関が高い2通貨ペアを逆方向に保有するのが特徴だ。本記事では、実際の取引記録をもとに、運用成績の詳細からリスクまでを解説する。
運用開始から1カ月で合計損益+13万510円
2026年7月29日に運用を開始し、8月27日10時2分時点での運用成績は以下のとおり。累計スワップポイントは+7万7790円、ポジション評価損益は+5万2720円となり、合計損益は+13万510円に達している。
- 累計スワップポイント:+7万7790円
- ポジション評価損益:+5万2720円
- 合計損益:+13万510円
前回更新(8月20日10時9分)と比べると、累計スワップは1万7430円増加し、評価損益は3万1572円拡大。合計損益は4万9002円増えた。
運用開始直後の7月30日には、為替介入をめぐる観測から円が急伸し、ポーランドズロチ/円とユーロ/円はともに建値から大きく下落した。このときユーロ/円の下落率が相対的に大きかったため、ユーロ/円売りの評価益がポーランドズロチ/円買いの評価損を上回り、合計の評価損益は大きくプラスへ振れた。
その後、両通貨ペアの下落率の差は徐々に縮まったが、現時点でも評価益側の優位は続いている。スワップ収益と為替差損益の両方がプラスで推移しており、この戦略は想定以上に機能していると言える。
保有ポジションの詳細
今回の運用で建てたポジションは以下の2件。利用したのはトレイダーズ証券「LIGHT FX」だ。
①ユーロ/円の売り
- 取引数量:10万通貨(EURJPY LIGHT)
- 約定日時:2026年7月29日22時33分
- 約定レート:1ユーロ=186.4414円
②ポーランドズロチ/円の買い
- 取引数量:44万通貨
- 約定日時:2026年7月29日22時34分
- 約定レート:1ズロチ=43.1022円
「LIGHT FX」では2026年7月16日から9月30日まで、ポーランドズロチ/円の買いスワップポイントを1万通貨あたり1日75円に増額している。一般的なFX口座の提示水準が1万通貨あたり30円前後であることを踏まえると、かなり高い水準だ。
44万通貨の保有であれば、単純計算で1日あたり3300円のスワップを受け取れる。一方、ユーロ/円の売りポジションではスワップの支払いが発生する。取引開始から現時点までは、2つのポジションを合わせて1日あたり2500円前後のスワップを受け取っている。
※スワップポイントは営業日ごとの付与日数や市場金利などによって変動するため、1日あたりの金額や将来の受取額が保証されているわけではない。
ポーランドズロチ/円とユーロ/円の組み合わせとは
ポーランドズロチ/円の買いとユーロ/円の売りを組み合わせ、為替変動を抑えながらスワップポイントの受け取りを目指す手法です。相関の高い2通貨ペアを逆方向に保有することで、評価損益のブレを相殺します。
ポーランドはEU加盟国であり、ユーロ圏との経済的な結び付きが強い。そのため、ポーランドズロチ/円とユーロ/円は似た値動きになりやすい傾向がある。GMOクリック証券が2025年6月16日から2026年6月15日までの日次データをもとに算出した両通貨ペアの相関係数は0.898。これはきわめて高い水準だ。
同じ期間のヒストリカル・ボラティリティ(年率)は、ポーランドズロチ/円が7.3%、ユーロ/円が6.2%だった。値動きの方向だけでなく、変動の大きさも比較的近いことが確認できる。
こうした特徴から、円換算した建玉金額をおおむね等しくしてポーランドズロチ/円の買いとユーロ/円の売りを組み合わせれば、為替差損益の変動をある程度相殺できるというわけだ。
取引数量を「1対4.4」にした理由
ユーロ/円10万通貨の売りに対し、ポーランドズロチ/円44万通貨の買い。この数量比率は、円換算した建玉金額をそろえるために設定した。
約定レートで計算すると、同じ10万通貨ずつでは以下のように大きな差が生じる。
- ユーロ/円10万通貨:1864万4140円
- ポーランドズロチ/円10万通貨:431万220円
- 建玉金額の差:1433万3920円
この状態では、為替レートが同じ割合で動いても、それぞれのポジションに発生する評価損益の大きさが釣り合わない。そこで、取引開始時のレートを基準に、ユーロ/円10万通貨に対してポーランドズロチ/円44万通貨を組み合わせた。
- ユーロ/円10万通貨:1864万4140円
- ポーランドズロチ/円44万通貨:1896万4968円
- 建玉金額の差:32万828円
「LIGHT FX」は1000通貨単位での取引が可能で、43万3000通貨なら建玉金額はさらに近づく。それでも44万通貨にしたのは、ポジションを1万通貨単位にそろえたいという希望に加え、受け取るスワップを少しでも増やしたいという判断があったためだ。
もっとも、建玉金額をどれだけ近づけても、2つの通貨ペアの値動きにズレが生じれば評価損益は完全には相殺されない。この点はリスクとして押さえておく必要がある。
ズロチ単独保有の場合との比較
ユーロ/円の売りを組み合わせる効果を確かめるため、ポーランドズロチ/円だけを44万通貨買っていた場合と評価損益を比較してみよう。
8月26日の取引終了時点で、ポーランドズロチ/円だけの評価損益は-2万9392円だった。一方、ユーロ/円の売りを組み合わせた実際の運用では、2つのポジションを合計した評価損益が+4万8218円となった。
ユーロ/円売りの評価益がポーランドズロチ/円買いの評価損を上回っており、スワップポイントを考慮しなくても合計の評価損益はプラスだ。
ただし、この結果はユーロとポーランドズロチの相対的な値動きによって変わる。ユーロ/円の上昇率がポーランドズロチ/円を上回った場合や、ポーランドズロチ/円の下落率がユーロ/円を大きく上回った場合には、合計の評価損益がマイナスに転じる可能性もある。
3つのFX口座の差し引きスワップ比較
ポーランドズロチ/円の買いスワップが高いだけでは有利とは限らない。ユーロ/円の売りで支払うスワップを差し引いた金額で判断する必要がある。
2026年7月29日から8月26日まで、同じ数量のポジションを保有したと仮定した場合の差し引きスワップは以下のとおりだ。
トレイダーズ証券「LIGHT FX」
- ポーランドズロチ/円買いスワップ:+10万2300円
- ユーロ/円売りスワップ:-2万4510円
- 差し引き:+7万7790円
トレイダーズ証券「みんなのFX」
- ポーランドズロチ/円買いスワップ:+10万2300円
- ユーロ/円売りスワップ:-2万4200円
- 差し引き:+7万8100円
GMOクリック証券「FXネオ」
- ポーランドズロチ/円買いスワップ:+9万5480円
- ユーロ/円売りスワップ:-2万3600円
- 差し引き:+7万1880円
この期間だけを見ると、差し引きスワップがもっとも多かったのは「みんなのFX」の+7万8100円。以下、「LIGHT FX」の+7万7790円、「FXネオ」の+7万1880円と続く。
今回の運用では、記者が普段から利用しており、口座の資金範囲ですぐに取引を始められた「LIGHT FX」を選んだ。ただ、差し引きスワップの大きさを重視するなら「みんなのFX」も有力な選択肢になる。今後も3口座の比較を定期的に更新していく予定だ。
スプレッドコストの実態
FXでは原則として取引手数料が無料の一方、売値と買値の差であるスプレッドが実質的なコストとなる。ポーランドズロチ/円のようなマイナー通貨ペアは、主要通貨ペアと比べてスプレッドが広めに設定されていることが多い。
今回ポジションを建てたときのスプレッドは、ポーランドズロチ/円が2.8銭、ユーロ/円が0.38銭。ユーロ/円は、注文数量が20万通貨までに制限される代わりに有利なスプレッドで取引できる「LIGHT FX」独自の「LIGHTペア」を利用した。
ポーランドズロチ/円44万通貨で1万2320円、ユーロ/円10万通貨で380円。合計すると1万2700円のスプレッドコストが発生した計算になる。これは現在の1日あたり2500円前後のスワップ収益に換算すると、約5日分に相当する。
実際、ポジションを建てた直後の取引画面には、スプレッド分を反映した1万円超の評価損が表示された。マイナー通貨ペアで一度に1800万円規模のポジションを建てるのは珍しいだけに、率直に言ってかなりのインパクトだった。
高スワップだけに注目するのではなく、運用開始時に発生するスプレッドコストまで考慮しておく必要がある。
この運用に潜むリスク
ポーランドズロチ/円とユーロ/円に強い相関が見られても、その関係が今後も続くとは限らない。相関係数は算出する期間によって変化する。過去の一定期間に強い相関があったからといって、将来も同じように動く保証はない。
ポーランド固有の金融政策や景気、政治情勢、財政状況、地政学リスクが材料となれば、ポーランドズロチだけが大きく動く可能性がある。ユーロ圏固有の材料によってユーロだけが大きく変動するケースも想定しておくべきだ。
今回のような手法では、「ユーロ/円を売っているから安全」と考えるのではなく、2つのポジションを合計した評価損益や、ユーロとポーランドズロチの相対的な値動きを継続的に確認することが重要だ。
スワップポイントの水準変動にも注意したい。「LIGHT FX」のポーランドズロチ/円買いスワップ増額は2026年9月30日まで、「FXネオ」の1万通貨あたり70円への増額は9月4日までが予定されている。キャンペーン終了やユーロ/円売りスワップの支払い増加があれば、差し引きで受け取れる金額は減少する。
さらに、相場急変時にはスプレッドが拡大し、評価損益が大きく変動する可能性がある。口座資金に対してポジションが大きすぎると証拠金維持率が低下し、ロスカットに至るリスクも無視できない。
円換算した建玉金額をそろえることと、安全に運用できる資金を用意することは別の話だ。同様の取引を検討する場合は、自身の資金量や許容できる損失額を踏まえたうえで、取引数量を慎重に判断してほしい。
今後の運用方針
本記事では、2026年9月30日まで「LIGHT FX」のスワップ水準が維持されることを前提に運用を続ける。ただし、市場環境やスワップ水準が変化し、想定していた差し引きスワップを確保できなくなった場合は、予定より早く決済して運用を終了する可能性もある。
すべてのポジションを決済したあとは、スワップポイントと為替差損益を合計した最終損益に加え、実際に用意した運用資金や、運用中に記録した最大評価益・最大評価損などもまとめて報告する予定だ。
差し引きスワップは最終的にどこまで積み上がるのか。為替変動と取引コストを含めたトータル損益はどう着地するのか。今後の検証結果にも注目してほしい。
※本記事で紹介している運用方法は利益を保証するものではない。相場変動、スワップポイントの変更、スプレッドの拡大などにより、損失が発生する可能性がある。