米ドル/円急落、10月末までに142円~146円へ—強い円高進行を警戒

米ドル/円が急落し、10月末までに142-146円への円高進行が警戒される。テクニカル分析と介入の有無を解説。

投稿者 central
米ドル/円が200日線を割り込み、円キャリートレードの巻き戻しが加速。強い円高局面に。
ハイライト
  • 米ドル/円は200日移動平均線を大きく割り込み、円キャリートレードのポジション解消が加速している。
  • 筆者は介入の痕跡を感じず、今回の円高は本物の値動きと判断している。
  • テクニカル分析に基づき、10月末までに米ドル/円は142円~146円まで円高が進む可能性がある。

米ドル/円が急落している。9月2日(水)~3日(木)にかけて一時4円程度の下落を記録し、ユーロ/円など主要クロス円も連動して大幅な円高方向への振れを見せた。この動きを受け、市場では「円高進行」への警戒感が一気に高まっている。本稿では、この急落の背景、今後の見通しについて、テクニカル分析を中心に詳しく解説する。

なぜ今、円高が進むのか——介入なき「本物の値動き」という見方

今回の円高の背景として、巷では様々な理由が取り沙汰されている。しかし、筆者は「円高は自然の成り行き」であることを強調したい。理由はどうあれ、相場の内部構造に沿った形で円高の方向に寄与したにすぎない。本当のところは、歴史的と言えるほどに行き過ぎた円安に対する修正の始まりであり、まだ「円高というほどの市況ではない」というのが実感だ。

ただし、今回注意すべき点が一つある。それは為替介入の有無である。仮に介入があった場合、現在までの値動きは一時的なものにとどまり、再び円が売られる可能性がある。逆に、介入がなかった場合、円安に対する修正は本物であり、値動き自体も信頼できると判断できる。筆者の経験から言えば、今回は介入の痕跡を感じなかった。介入があれば、より明確な痕跡が残るものだが、今回はそのような気配がなかったため、ショート筋(円売りポジション)の買い戻しが主因であると推定できる。

円キャリートレードの巻き戻し——16兆円規模のポジションが円を押し上げる

日米の金利動向も、この流れを後押ししている。日本では今月(9月)の利上げが必至視され、利上げ継続の観測も強まっている。一方、米国では利上げ観測が後退し、その行方は不透明だ。これにより、円売りポジションを持つ投機筋にとって、そのポジションを維持する環境は芳しくなくなってきている。

特に重要な転機となったのは、米ドル/円が200日移動平均線(200日線、158.42円)を大きく割り込んだことだ。執筆時点では一時155.30円まで下落しており、これにより円キャリートレードはポジションの解消を迫られた。ヘッジファンドの持ち高はなお大幅な円の売り越しとなっており、その巻き戻しが危惧される。ブルームバーグの報道によれば、その規模は約16兆円に上る。この規模のポジションが巻き戻されれば、円の一段高をもたらすには十分なインパクトがある。

介入がなく、円の上昇が次なる円の上昇を促す——これはまさにトレンドそのものだ。相場の自己実現性から考えて、いったんトレンドが形成されれば、トレンド自体がトレンドを強化し、大きなモメンタムを伴う。円高があるなら、むしろこれからだと覚悟すべき局面と言える。

テクニカル分析が示す「三尊天井」——高値更新は究極のダマシ

テクニカル上の視点から見れば、より明白な結論が出せる。筆者は以前から本コラムで繰り返し、米ドル/円の内部構造を分析してきた。その中で強調してきたのが、「三尊天井」パターンの形成である。

振り返れば、2024年の高値をもって米ドル/円は本来トップアウトするはずだった。しかし、高市政権の誕生などを受けて今年(2026年)、再度の高値更新を果たした。ところが、その後の値動きを見ると、7月の高値更新は大きな「ダマシ」のサインであった可能性が極めて高い。テクニカルの世界では、「ダマシほど正確なサインはない」という言い方がある。相場参加者の大半が「騙された」と気づく時、一斉に反対の方向へ走る。その結果、今度はその方向へ相場が大きく動く公算が大きい。

いわゆるファンダメンタルズ上の理由を並べて、円安が「構造的」であると論じる向きは多い。しかし、筆者の経験上、ファンダメンタルズよりもテクニカル上の「構造」の方がはるかに重要であり、今後の値動きを決定する要素として有効だ。米ドル/円が示す「三尊天井」を決して軽視すべきではない。

10月末までに142円~146円——強い円高進行を警戒せよ

相場におけるトレンドは自己実現的であり、自己強化する習性がある。いったん円高の方向へ走り出したら、激しく動く可能性が大きい。だからこそ、少なくとも10月いっぱいまで、強い円高の進行を警戒しておく必要がある。

具体的なターゲットとして、筆者は10月末までに米ドル/円が142円~146円程度まで円高になっても驚かないと予測する。これは最大の予測であって保証はないが、テクニカル分析に基づいた合理的なシナリオである。円売りポジションをなおお持ちの方は、今だからこそ、リスクコントロールを優先した方が良い。

今後の市況がいかに展開するか。市況変化に引き続き注目したい。

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