Forza Horizon開発陣の新作「Clutch」、2027年春発売決定

元Forza Horizon開発陣が手がける新作AAA級オープンワールドドライビングゲームの全貌。

投稿者 central
2027年春発売予定の「Clutch」のコンセプトと開発背景を徹底解説。
ハイライト
  • Maverick GamesはForza Horizon 5のクリエイティブディレクターが設立した独立スタジオである。
  • 本作はシネマティックなナラティブとオープンワールドの運転体験を融合する。
  • Amazon Game Studiosとの契約を離脱し、自社パブリッシングでリリースされる。

かつて「Forza Horizon 5」のクリエイティブ・ディレクターを務めたMike Brown氏が率いるMaverick Gamesが、満を持してその新作「Clutch」の全容を明らかにした。Summer Game Fest 2026 Play Daysで行われたプレゼンテーションにおいて、本作が2027年春にリリースされること、そしてAAA級のシネマティック・オープンワールド・ナラティブ・アクションドライビングゲームという野心的なコンセプトが正式に発表された。オープンワールドレースゲームの金字塔「Forza Horizon」シリーズのDNAを受け継ぎながら、物語主導のドライビング体験という新たな領域へと踏み出す本作の詳細を、現地取材の内容を基に徹底解説する。

元Forza Horizon開発陣が集結したMaverick Gamesの挑戦

まず押さえておくべきは、このゲームを手がけるスタジオの出自である。Maverick Gamesは2022年に設立された独立系スタジオだが、その中核を担うのは「Forza Horizon 5」でクリエイティブ・ディレクターを務めたMike Brown氏だ。同氏はオープンワールドレースゲームの一つの到達点として高い評価を獲得してきたForza Horizonシリーズの設計に、長年にわたり携わってきた人物である。開放感あふれる運転体験を追求してきた面々が、新たな旗印のもとに結集した——この事実だけでも、レースゲームファンが注目するには十分だろう。

本作は当初、Amazon Game Studiosとのパブリッシング契約を結んでいたが、2026年2月にこれを離脱。現在はMaverick Gamesが自社でパブリッシングを手がける体制に移行している。これだけの規模を誇るタイトルを、新興スタジオが自前の体制で世に送り出そうとしている点も注目に値する。

「Clutch」が掲げる壮大なコンセプトとは

「Clutch」が掲げるのは、「AAA級のシネマティック・オープンワールド・ナラティブ・アクションドライビングゲーム」という長大な肩書だ。要するに、映画のように作り込まれた物語と、オープンワールドを自在に駆け抜けるドライビング体験とを、どちらも妥協することなく両立させるという狙いが込められている。レースゲームでありながら、物語主導の体験を前面に押し出している点が、本作最大の特徴といえる。

その舞台となるのは、地中海沿岸のいわゆるフレンチ・リヴィエラにインスパイアされた広大なオープンワールドだ。活気あふれる市街地、劇的に折り返していく山岳地帯のスイッチバック、そして海沿いをどこまでも伸びていく高速道路。観光地として名高いこの地域の、華やかさと険しさが同居した景観が広がっている。なかでも目を引くのが、実在のモナコをさらに拡張して再現したエリアだ。地下トンネルや高架道路が複雑に入り組み、立体的で密度の高いマップが形成されている。

昼と夜で変化する二面性——プロサーキットとアンダーグラウンドレース

この世界には、昼と夜という2つの異なる顔が用意されている。昼間に展開されるのは、プロフェッショナルによる公式レースサーキットの世界。一方、日が落ちてからの姿は大きく異なる。夜になると姿を現すのが「ミッドナイト・コレクティヴ」と呼ばれる集団で、これは法の目をかいくぐって行われるアンダーグラウンドなストリートレースの舞台を指す。整備されたサーキットを走る昼と、街そのものをコースに変えてしまう夜。同じ土地でありながら時間帯によって性格を変えるこの構造は、ゲームプレイと物語の双方に奥行きを与えている。

家族の崩壊と再生——ドラマチックな物語構造

「Clutch」の物語は、単なるレースの勝ち負けにとどまらない。本作が描こうとしているのは、家族の崩壊と、そこからの再生というテーマだ。主人公はマルシャル家の兄妹2人で、彼らの演技はフルパフォーマンスキャプチャによって収録されている。

兄のテオ・マルシャルは名の知れたスタードライバーで、やがて夜のミッドナイト・コレクティヴのストリートレースに足を踏み入れていく。彼を支えるのが、フィクサーのエメリー・ホイットマンだ。テオはエメリーの協力を得ながら、ある事件の真相へと迫っていく。一方、妹のキャス・マルシャルはテオのチームメイトであると同時にライバルでもある存在で、物語の序盤こそ兄の影に隠れているものの、話が進むにつれて徐々に存在感を増していくという。

物語の中心に据えられているのが、リヴィエラでもっとも権威あるモータースポーツイベント「リヴィエラ1000(R1K)」だ。テオは養父であるルド・マルシャルの指導のもとで成功を目指すが、レースの終盤で悲惨な事故が発生してしまう。これを受けて、大会管理者のジョージ・マクブライドが事故防止のための新技術導入を打ち出し、それがドライバーたちの間に分断を生んでいく。家族の崩壊と再生というテーマは、こうしたレース界の生々しい力学の中で描かれていくことになる。

「シムケード」と称される運転フィール——Unreal Engine 5が生み出す手応え

肝心の運転周りについても詳しく見ていこう。「Clutch」はUnreal Engine 5をベースに、独自の物理システムを組み込んでいる。その操作感は「シムケード」と表現されており、具体的には「Forza Horizon」に近い、車の重みを感じさせるハンドリングを目指しているという。

※シムケードとは、シミュレーションとアーケードを掛け合わせた造語。本格的な挙動再現を追求するシミュレーション寄りと、手軽な操作で爽快に走れるアーケード寄りの、ちょうど中間を狙った手触りを指す。

あのシリーズの運転感覚を支えてきた人々が開発を手がけているわけであり、この点は大いに期待してよいだろう。

多彩なカスタマイズと独自のミッション設計

カスタマイズの幅も広い。単に速さを追求するパフォーマンス面の調整だけでなく、自分のアイデンティティやスタイルを反映させるための要素が深く作り込まれている。塗装やアフターマーケットパーツなどを通じて、自分だけの一台に仕立て上げていける。

ミッション設計も独特だ。本作のミッションの軸になるのは、ステルス的な隠密行動ではなく、車を駆使したカーチェイスや逃走である。プレイヤーは自分の発想と、走り込んで身につけたオープンワールドの土地勘を生かして、思い思いの方法で追っ手を振り切る。車体には視覚的なダメージ表現もあり、ぶつければパーツが外れたりするが、走行不能になるわけではない。逃走そのものを楽しませることに、設計の重心が置かれているのだろう。

マルチプレイと音楽面の充実——16人同時参加のオープンワールド

マルチプレイにも力が注がれている。オープンワールドには最大16人が同時に参加可能で、さらにキャンペーン全体をCo-opでプレイできるという。つまり、物語の体験を誰かと並走しながら共有できるわけだ。加えて、チームに分かれてアイテムを盗み出しつつ、それを守るセキュリティと戦うPvPvEモードも用意されている。

音楽面の作り込みも見逃せない。本作には映画規模のオリジナル楽曲が用意されており、ライセンス楽曲のプレイリストもあわせて楽しめる。さらに配信者に向けたストリーミングモードにも対応。配信時に楽曲の権利問題が生じないよう、音源を切り替えられる仕組みが組み込まれている。

世界の中にはアーケードゲームなどのミニゲーム的なアクティビティも点在しており、レースの合間に立ち寄れる遊びも用意されている。

2027年春発売——自社パブリッシングで挑む新たな船出

ここまで紹介してきた通り、「Clutch」は「Forza Horizon」の血を引く運転体験を土台に、映画的な物語と昼夜が交錯するオープンワールドを重ね合わせた意欲作である。3年半におよぶ開発期間を経て、リリースは2027年春が予定されている。Now Amazon Game Studiosとの契約から離脱し、自社パブリッシングへと舵を切ったMaverick Games。レースゲームとしての確かな手応えを期待させる来歴と、物語作品としての野心。その両方をどこまで両立させてみせるのか。実機でハンドルを握れる日を、楽しみに待ちたい。

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