米国企業で最大規模のビットコイン(BTC)保有を誇るストラテジー(Strategy)が、2週連続となる追加購入を実施した。9月28日に米証券取引委員会(SEC)へ提出した書類によると、同社は9月21日から27日までの期間に1,665BTCを取得。取得総額は1億4,270万ドル(約224億円)に上り、1BTCあたりの平均取得単価は85,681ドルとなった。これにより、9月27日時点におけるストラテジーの総ビットコイン保有量は847,666BTCに拡大。取得総額は639億5,000万ドルに達し、その平均取得単価は1BTCあたり74,645ドルと算出される。
同社は同時に、優先株「STRC」の自社株買いも実施したことを明らかにしている。買い戻し総額は1億5,170万ドルで、資本政策と連動した形でのビットコイン積み増しが継続している状況だ。
なぜストラテジーはビットコインを買い続けるのか
ストラテジー(旧MicroStrategy)がビットコインへの積極投資を開始したのは2020年8月のこと。マイケル・セイラー前CEOの主導で、同社は「ビットコインを準備資産として保有する」という前代未聞の戦略を打ち出した。それ以来、転換社債(CB)の発行や株式市場での資金調達を繰り返しながら、ビットコインの取得を継続している。
今回の購入資金も、こうした資本市場での調達が原資となっている可能性が高い。特に、同社が発行する優先株STRCは、ビットコイン購入資金の確保を目的とした金融商品として設計されており、投資家からの需要も根強い。
ストラテジーのビットコイン投資は、単なる投機的なものではなく、インフレヘッジや企業財務の分散という観点から、長期保有を前提とした戦略とされている。同社の株価とビットコイン価格の連動性が高まっていることも、市場関係者の間でよく知られている。
2週連続の購入が示すもの
今回の発表で特筆すべきは、購入が途切れることなく2週連続で実施された点だ。ストラテジーは過去にも定期的な購入パターンを示してきたが、このペースは異例と言える。9月第3週には、やはりSECへの提出書類で約7,420BTC(当時の時価で約4億5,800万ドル)の取得が報告されており、年間を通じて見れば、同社のビットコイン買い付けは明らかに加速傾向にある。
ビットコイン市場は2024年の半減期を経て、2025年後半に向けて価格変動の振幅を拡大させている。米国における現物ETFの浸透や規制環境の変化もあり、機関投資家の参入が進む中、ストラテジーの「買い支え」は需給構造に一定の影響を与えていると見られる。売り圧力が高まる局面でも、同社のような大口保有者が継続的に買い向かう構図は、価格下支え要因として機能している可能性がある。
保有資産の評価額とリスク
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 総保有量 | 847,666 BTC |
| 取得総額 | 639億5,000万ドル |
| 平均取得単価 | 74,645ドル/BTC |
| 今回の購入数量 | 1,665 BTC |
| 今回の購入総額 | 1億4,270万ドル(約224億円) |
| 今回の平均取得単価 | 85,681ドル/BTC |
約84万7,000BTCという保有量は、世界の全ビットコイン発行量(約2,100万BTC)の約4%に相当する。仮にビットコイン価格が10万ドルに上昇した場合、同社の保有資産評価額は約847億ドルに膨らむ計算だ。逆に、価格が平均取得単価を下回る水準に低迷すれば、多額の評価損が発生することになる。
ストラテジーは会計上、ビットコインの評価損益を四半期ごとに計上する方針を採用している。2022年の暗号資産暴落局面では巨額の減損損失を計上したが、その後の価格回復により含み益は拡大。市場のボラティリティ(変動性)に常にさらされる構造は変わらず、企業財務としてのビットコイン保有には依然としてリスクが伴う。
日本企業への波及効果は
ストラテジーの積極投資は、日本企業の間でも注目を集めている。SBIホールディングスやメルカリなど、暗号資産関連事業を手掛ける企業は存在するものの、自社の財務資産としてビットコインを大量保有する日本企業はまだごく一部にとどまる。
日本の会計基準では、暗号資産の保有に伴う評価損益の取り扱いが複雑で、税制面でも不透明な要素が多い。しかし、ストラテジーの事例は、伝統的な企業財務とは異なる資産運用の選択肢があることを示しており、2025年以降、日本企業の間でもビットコイン準備資産化の議論が活発化する可能性がある。
今後の市場とストラテジーの動向
ストラテジーは、現時点でビットコインの追加購入をやめる理由を持っていない。マイケル・セイラー氏は退任後も同社のビットコイン戦略に影響力を及ぼしており、市場環境が許す限り買い付けを継続する姿勢は揺らいでいない。実際、同社の株主はビットコイン価格の上昇を企業価値の向上に直接結びつけるこの戦略を、少なくとも現時点では支持している。
ビットコインの半減期後の相場サイクルがどのような軌跡を描くかによって、ストラテジーの含み損益は大きく変動する。機関投資家によるマクロ的な資金流入が続くのか、それとも利確売りが優勢になるのか。同社の動きは、その答えを探る上で重要な観測指標の一つであり続けるだろう。