日本最大手のタクシー配車アプリを運営するGo(ゴー)は、2026年6月16日付の東京証券取引所への上場に先立ち、公開価格を仮条件の上限となる2400円に決定したことを明らかにした。この価格設定により、上場時価総額は約1860億円に達する見通しで、2026年に入ってから日本市場で最大規模の新規株式公開(IPO)となる。
Goの株主であるゴールドマン・サックス・グループをはじめとする売出し株主は、同社株式を1株あたり2400円で売却。これにより総額886億円(約5億5300万ドル)を調達することになる。Goは当初、仮条件を2350円から2400円の範囲に設定しており、機関投資家からの需要が強かったことが窺える結果となった。
日本のIPO市場に久々の追い風
今回の大型上場は、日本株式市場における新規公開市場に久しぶりの活性化をもたらす可能性がある。GoのIPOを除いた2026年の国内IPOによる調達額は約540億円にとどまっており、この水準は4年ぶりの低さ。また、新規上場数もわずか15件と、2011年以来の少なさを記録するなど、IPO市場は長く冷え込んだ状態が続いている。
そうした状況にあって、時価総額1800億円超というビッグネームの上場は、今後のIPOスケジュールを控える他の企業や投資家にとってポジティブなシグナルとして受け止められている。成功裏に上場を果たせれば、日本国内のIPO市場全体を下支えする起爆剤となることが期待される。
Goの事業と競争環境
Goは、日本国内で最も広く利用されているタクシー配車アプリ「GO」を運営する企業だ。スマートフォンを使ったタクシー呼び出しの利便性を大幅に向上させ、日本全国のタクシー事業者と提携することでシェアを拡大してきた。
競合としては、世界的なライドシェア大手であるUber Technologiesや、中国系のDidi Global、またソニーグループが資本参加する国内事業者S.Rideなどが存在する。日本市場は規制環境もあり、Uberのようなライドシェアではなく、タクシー配車アプリという形で競争が繰り広げられているのが特徴だ。
ゴールドマン・サックスの投資と評価額の変遷
ゴールドマン・サックスは2023年、Goに対して100億円の投資を実施し、その際の評価額は約1350億円だった。今回の上場による1860億円という時価総額は、この評価額から上昇していることになり、投資家にとって期待値が高まっていることが分かる。
また、世界有数の運用会社であるBlackRock、Wellington Management、M&G Investment Managementといったグローバルな機関投資家も、今回の公募への参加意欲を示しているとされており、海外勢からの注目度も高い。
上場の引受体制
今回のIPOでは、野村ホールディングス、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカの3社が共同グローバル・コーディネーターを務めている。この顔ぶれからも、本上場が国際的な大型案件として位置づけられていることが窺える。
今後の展望——日本発テクノロジー企業の試金石
Goの上場は、日本発のテクノロジー企業がグローバルな資本市場でどの程度評価されるかを測る試金石ともなる。特に、MaaSやデジタル交通プラットフォームの分野において、規制や業界構造の壁に対応しながら成長を続けられるかどうかは、国内外の投資家が注視するポイントだ。
6月16日の初値形成とその後の株価推移は、日本市場におけるテクノロジー株全体の地合いを占う上でも重要な意味を持つと言えるだろう。