ノーベル化学賞受賞の白川英樹氏死去、90歳

導電性ポリマーを発見し、モバイル機器の基盤を築いたノーベル化学賞受賞者が90歳で死去。

投稿者 central
白川英樹氏は導電性ポリマー開発でノーベル賞を受賞した。
ハイライト
  • 白川英樹氏は2000年にノーベル化学賞を受賞した。
  • 導電性ポリマーの発見は偶然の失敗から生まれた。
  • 白川氏の研究はリチウムイオン電池など現代技術の基盤となった。

筑波大学名誉教授で、2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹氏が8月24日、転移性肝腫瘍およびがんのため横浜市内の病院で死去した。90歳だった。

導電性高分子(导电性ポリマー)の開発で知られる白川氏は、東京出身。1961年に東京工業大学(現・東京科学大学)理学部を卒業後、同大学の助手を経て、1976年にペンシルベニア大学の研究員、1979年に筑波大学の助教授、1982年に同大学教授に就任。2000年に退官した。

白川氏の業績は、それまで絶縁体とされていたプラスチックなどの高分子に電気を通す画期的な発見にあった。きっかけは、東京工業大学の助手時代にさかのぼる。研究学生がポリアセチレンの合成に失敗した際、偶然に薄膜が形成されたことに気づいた。詳細な分析の結果、アルミホイルのような光沢を持つ薄膜を発見。これが導電性ポリマーの幕開けとなった。

当初は注目を集めなかったものの、米国に留学中に共同研究者らとともに導電性ポリアセチレン薄膜の開発に成功。1977年に発表され、高く評価された。この研究は、携帯電話やスマートフォンをはじめとするモバイル機器の爆発的な普及を支えたリチウムイオン電池の電極材料としても注目を集め、現代のエレクトロニクス社会を支える基盤技術となった。現在でも、タッチスクリーンや先端デバイスに導電性ポリマーは広く利用されている。

導電性ポリマーとは何か——偶然が生んだ革新

白川氏が開発した導電性ポリマーは、従来のプラスチックが電気を通さないという常識を覆した。ポリアセチレンにヨウ素などの不純物を添加することで、電気伝導度が飛躍的に向上することを発見。この「ドーピング」と呼ぶ手法により、プラスチックでありながら金属に近い導電性を実現した。この発見は、材料科学の新たな領域を切り開き、その後、液晶ディスプレイや有機EL、太陽電池、センサーなど、多岐にわたる分野への応用が進んでいる。

ノーベル化学賞から四半世紀——その功績と影響

白川氏は2000年、アラン・ヒーガー氏(米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)、アラン・マクダイアミッド氏(米ペンシルベニア大学教授)とともにノーベル化学賞を受賞した。受賞理由は「導電性高分子の発見と開発」。日本人のノーベル化学賞受賞は、1981年の福井謙一氏(京都大学名誉教授)以来、2人目だった。

白川氏の死により、日本の科学界はまた一人、巨星を失った。しかし、その功績は、現代のデジタル社会を支える電子材料やエネルギー技術の基盤として、今後も長く生き続ける。導電性ポリマーの研究は、軽量で柔軟な電子機器やウェアラブルデバイス、さらには次世代のエネルギー貯蔵技術など、未来の技術革新を牽引する。白川氏の遺した知の遺産は、これからも世界中の研究者によって受け継がれ、新たな価値を生み出し続けるだろう。

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