熊本県内のクリーニング店が、7月に発生したマグニチュード7.1の地震で被災した住民を支援するため、洗濯サービスを無料で提供する取り組みを続けている。被災者が避難所で衛生的な環境を維持できるよう、地元密着のサービスが地域コミュニティを支えている。
被災地で今、必要とされている支援の一つが「洗濯」だ。熊本県氷川町宮原地区にあるクリーニングチェーン「ホワイト急便」の工場は、地震発生から10日後の8月7日以降、毎営業日、避難所に洗濯物を回収するための車両を派遣している。タオルや下着を含む、1日あたり1000点以上の衣類を洗濯・乾燥し、被災者に戻している。
「地元の皆さまのおかげで商売ができている」 支援の背景にある想い
同工場を統括する36歳の関原宏明氏は、今回の取り組みについて「地元の皆さまのおかげで商売をさせてもらっている。こういう時こそ、少しでも地域に恩返しをしたい」と語る。被災地では、連日の猛暑の中、避難所で手洗いをする住民や、自宅が損壊したため戻って洗濯をする人々がいる。関原氏は「被災者が少しでも快適に過ごせる手助けをしたい」と、その想いを続ける。
洗濯物を届けた際、避難所のスタッフから「ありがとう」と声をかけられた経験を持つ53歳の従業員、松村清美さんは、「誰かの役に立っていると実感でき、この仕事をやっていてよかったと感じた」と話す。また、乾いたTシャツやズボンをたたみながら、64歳の従業員、塚本三保子さんは「家を失い、温かいお風呂にも入れない被災者の方々の力になりたい」と、支援の継続への決意を語った。
「DSAT(災害洗濯支援チーム)」の活動 専門家のネットワークが支える
この取り組みの背景には、専門家によるボランティアネットワーク「DSAT(Disaster Sentaku Assistance Team)」の存在がある。DSATは、2024年1月に発生した能登半島地震を機に発足した、プロのクリーニング業者による災害支援チームだ。*Sentaku*とは、日本語で「洗濯」を意味する。
DSATは、熊本県内のクリーニング業界団体と連携し、八代市や宇城市の地元事業者に支援への参加を呼びかけた。今回の取り組みにおける洗濫にかかる費用は、DSATに寄せられた支援金などで賄われている。DSATの代表を務める42歳の中村祐一氏は「猛暑の中、避難所で衛生的な環境を維持することは非常に重要だ」と指摘する。倒壊した家屋から回収された衣類など、今後さらに洗濯需要が高まる可能性を見据え、中村氏は「要請がある限り、支援を続けていきたい」としている。
被災地の衛生環境維持と今後の展望
大規模災害時、避難所での衛生環境の悪化は深刻な問題となる。特に夏場の高温多湿な環境下では、衣類の衛生状態を保つことが感染症予防の観点からも極めて重要だ。今回の「ホワイト急便」やDSATのようなプロのクリーニング業者による無料支援は、被災者の生活の質(QOL)を維持する上で、極めて実践的かつ効果的な支援と言える。
この活動は、単なる奉仕活動に留まらず、地域のインフラとしてのクリーニング業の新たな役割を示すものだ。今後、他の地域で同様の災害が発生した際の支援モデルとしても、そのノウハウが注目されるだろう。被災者が一日も早く日常生活を取り戻せるよう、こうした専門家によるきめ細やかな支援が、地域の復興を力強く支えている。