Valveは2026年6月23日、ゲーミングPC「Steam Machine」を発売した。本製品は、SteamOSを搭載し、PCゲームプレイに特化したハイエンドゲーミングPCとして注目を集めている。しかし、発売直後から、大手オークションサイトeBayにおいて、実物を所持していないにもかかわらず高額で出品する、いわゆる「空売り」行為が横行していることが明らかになった。海外メディアの報道によれば、定価の約2倍にあたる価格での転売出品が確認されており、ゲーマーコミュニティに波紋を広げている。
Steam Machineの製品概要と販売方式
Steam Machineは、AMD製のセミカスタムCPUおよびGPUを搭載し、携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」の6倍以上の性能を謳うデスクトップ型ゲーミングPCだ。RAMは16GB DDR5に加え、8GBのGDDR6 VRAMを搭載。内蔵ストレージは512GBモデルと2TBモデルの2種類が用意される。日本国内では正規ディストリビューターのKOMODOが販売を担当しており、512GBモデルが税込18万9980円、2TBモデルが同24万9980円という価格設定となっている。メモリ高騰の影響もあり、決して安価とは言えない価格帯ながら、高い需要により全世界で品薄状態が続いている。
販売方式は地域によって異なる。日本を含むアジア地域ではKOMODOが先着順での販売を実施。一方、Valveが直接販売する欧米地域では、6月23日から25日にかけて予約希望を受け付け、その後、希望者をシャッフルした「順番待ちリスト」を作成し、在庫がある限りリスト上位から順次配送する抽選方式が採られた。今回問題となった空売りは、この最初の配送に当選した一部ユーザーによって行われたとみられている。
eBayで確認された転売価格の実態
海外メディアの報道によると、eBayでは多数の転売出品が確認された。具体的には、定価1049ドルの512GBモデルが約2000ドル(約32万円)で、定価1349ドルの2TBモデルが約2600ドル(約42万円)で出品されていた。これは、すでにメモリ高騰の影響で高めに設定された国内価格のさらに2倍に相当する金額だ。
Valveは転売対策として、予約購入にあたり「Steamでの購入履歴を持つアカウントの保持」や「1世帯1回のみの予約」といった制限を設けていた。しかし、これらの対策は効果を発揮せず、結果として転売を完全に防ぐことはできなかった。なお、日本国内のメルカリやヤフオク!などのプラットフォームは、無在庫状態での販売を明確に禁止しており、このような空売りが発生しにくい環境にある。一方、eBayでは事前販売について「購入から40日以内に発送すること」という比較的緩いルールが適用されており、これが今回の空売り横行の一因となった可能性が指摘されている。
過去のSteam Deckでも同様の事例
同様の事象は、2022年に発売された携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」の際にも発生している。当時、ストレージ容量に応じて399ドル(約6万5000円)〜649ドル(約10万円)が定価だったSteam Deckに対し、eBayでは1000ドル(約16万円)を超える出品が相次ぎ、出品によっては4000ドル(約65万円)近い価格がつけられたケースも報告されている。
このことから、Valve製品の発売初期に転売が発生する傾向は継続的な課題であると言える。今回のSteam Machineでも、予約段階での当選者による空売りが確認されたことで、Valveの転売対策の限界が浮き彫りとなった。
今後の供給と価格動向の見通し
eBayにおけるSteam Machineの転売出品価格は、一時よりは落ち着きを見せているものの、依然として高値での取引が続いている。日本国内でも、KOMODOのストアページでは、一度在庫が追加されたが、現在は売り切れ状態となっており、次回入荷の見通しは立っていない。
さらに、Valveのエンジニアが現在もメモリ調達は困難な状況であり、2027年にかけて状況はさらに悪化する可能性があると発信している。この発言は、Steam Machineの供給が安定するまでには、なお時間がかかることを示唆している。転売行為とメモリ高騰という二つの要因が重なり、Steam Machineの供給混乱は当面続くことが予想される。購入を検討しているユーザーは、定価での購入機会を逃さないよう、各販売チャネルの情報をこまめにチェックすることが推奨される。