CLAMPによる伝説的少女マンガ『魔法騎士レイアース』が、30年の時を経て完全新作テレビアニメとして復活する。2026年10月の放送開始を前に、本作のメインキャストを務める高橋李依(鳳凰寺風役)と早見沙織(エメロード姫役)へのインタビューが実現。異世界セフィーロの再構築、キャラクターへの向き合い方、そして作品の根幹をなす「意志の力」について、二人が率直な思いを語った。
1993年から続く傑作、新たな世代へ
1993年に連載が始まった『魔法騎士レイアース』は、東京タワーから異世界セフィーロに召喚された三人の女子中学生——光、海、風——が、伝説の魔法騎士として世界を救う冒険を描く。少女マンガの枠を超えた重厚なストーリー展開と、CLAMPならではの美麗なキャラクターデザインで、今なお多くのファンに愛され続けるタイトルだ。
今回の新作アニメは、Anime Expo 2026での先行上映を前に大きな注目を集めている。高橋と早見という現代アニメ界を牽引する声優陣が、誰もが知る名キャラクターに新たな命を吹き込むことへの期待は、ファンの間で一段と高まっている。
「私が初めて『レイアース』に触れたのは、今回のオーディションがきっかけでした。キャラクターの存在は知っていたものの、物語をしっかりと読んだのはその時が初めてで、これが本当に素晴らしい機会だと感じました」(高橋)。
一方、早見は「子供の頃にアニメを観ていたはずなのですが、当時は小さすぎてほとんど覚えていません。ただ、実家に『レイアース』の鉛筆が残っていたので、確かに観ていたのだと思います」と振り返る。幼少期の記憶が、まさか自身が主要キャストとしてこの世界に戻ってくる未来に繋がるとは——その巡り合わせに感慨もひとしおのようだ。
セフィーロの創造性と、キャラクターが放つ魅力
魔法騎士レイアース最大の魅力のひとつが、CLAMPが創造した異世界セフィーロの独創性にある。空を飛ぶ魚や、突如現れる不思議な生き物たち。この世界観に対して、二人の声優がまず感じたのは驚きだった。
「まず世界そのものに圧倒されましたが、詳しく説明するとネタバレになってしまいます。あえて挙げるなら、空を飛んでいる魚ですね」(高橋)。早見も「さまざまな生き物が突然現れるシーンに、本当に驚かされました」と続ける。
特に注目すべきは、鳳凰寺風というキャラクターの魅力だ。高橋は「風ちゃんの魅力は、どんな状況でも鋭い洞察力を活かして判断できるところ。録音では、彼女の思考のロジックが一貫しているように、特に気をつけました」と語る。光や海とは異なる存在感を放つ冷静な風だからこそ、その思考のぶれなさを丁寧に表現したという。
エメロード姫について早見は、「世界のために祈りを捧げるという責務を、強い責任感を持って果たす姿が魅力。一方で、その内面には人間らしい複雑な感情が渦巻いている。その複雑な内面をどれだけ物語に織り込むか、エピソードごとに調整しながら演じました」と、役柄の深層に迫る演技へのこだわりを明かした。
この「公的な使命」と「内面的な葛藤」の対比こそ、エメロードというキャラクターを語る上で欠かせない要素であり、早見の緻密な役作りによって新たな魅力が引き出されそうだ。
三人の魔法騎士——出会いから築かれる信頼
物語開始時点では東京で全く面識のなかった光、海、風。しかし、セフィーロに召喚されたことで、彼女たちは急速に強い絆で結ばれていく。
「友達の強さは、知り合ってからの時間の長さでは測れないのだと気づかされました。まだお互いを知り尽くしているわけではないのに、すでに強固な信頼関係が築かれている。それが本当に特別だと感じました」(高橋)。
光と海を演じる声優たちについて、高橋は「お二人はずっと『レイアース』が大好きだったそうで、だからこそ『この人たちに自分の演技を預けよう』と思えました。最初は三人とも役に緊張していましたが、演じ続けるうちに『この相手でなければダメだ』という絆が生まれました」と語る。
このコメントは、収録現場そのものが物語のテーマを体現していることを示唆している。役を通じてキャスト同士が本物の信頼を築き上げた——その過程こそが、三人の魔法騎士の友情にリアリティを与えているのだ。
ザガートとの関係性——エメロードの新たな一面
エメロード姫とザガート(声:小野友樹)の関係は、物語の核心に迫る重要な要素だ。早見は、長年の知己である小野との共演について「小野さんとは長い付き合いですが、今回は対極の立場として対峙するのが新鮮でした。小野さんは毎回の収録に非常に意欲的に取り組んでいて、その姿勢に私もより気合いが入りました」と振り返る。
物語の展開上、詳細を語ることはできないが、早見は「エメロードとザガートの会話シーンは、他のキャラクターとは少し異なる独特の空気感がある。ぜひ注目してほしい」と、ファンへのメッセージを贈っている。
「意志の力」が作品を貫くテーマである理由
『魔法騎士レイアース』の根幹を成すテーマ——それが「意志の力」だ。この言葉の意味について、二人は自身の経験と結びつけて語った。
「本当にその通りだと思います。声優の仕事はオーディションを通じてもらえるものなので、『絶対に獲りたい』という気持ちの強さが、成功の確率を高めるのだと実感しています」(高橋)。
早見はさらに踏み込む。「意志の力は、自分自身に自信を与え、行動を起こす原動力になります。そしてそれは自分だけを動かすだけでなく、周りの人々をも鼓舞する力です。例えば、高橋李依ちゃんは本当に意志の力がすごいと思う。彼女が強い意志で物事に取り組む姿を見ると、私たちも刺激を受けて、一緒に頑張ろうと思えるんです」
この早見のコメントは、単なる作品のテーマ解説を超えて、実際の現場での相互作用として「意志の力」が機能している証左と言える。作品が描く理想が、現実のアフレコ現場でも体現されているのだ。
もしも自分が東京タワーから異世界へ——声優たちの想像
作品の象徴的な始まり方である「東京タワーからの異世界転移」。現実にそんなことが起きたら、自分はどうするか——という質問に対して、二人からは作品の雰囲気とは一味違う、軽妙な回答が返ってきた。
「一瞬でも、自分が飛べるかどうか試してみたいですね」(高橋)。対する早見は「VRゴーグルを付けたまま寝ちゃったのかな、って思うと思います」と、現代ならではの発想で笑いを誘った。
アフレコ現場の舞台裏——演技の精度を高める工夫
インタビューでは、印象的なエピソードも飛び出した。高橋は第1話のアフレコで、ある重要なディレクションを受けたと明かす。
「第1話の収録で『仲良くなりすぎている。もう少し初めて会った感じを出してほしい』とフィードバックを受けました。互いを思いやる気持ちが強く出すぎていたんですね。まだ自己紹介もしていない距離感に戻して、そこから物語を紡ぐ必要があったんです」
この証言は、作品が単なるノスタルジーではなく、細部まで丁寧に作り込まれていることを示している。三人の関係性の「初期状態」を正確に表現することへのこだわりが、作品全体のクオリティを押し上げている。
早見は「毎回の収録で、メインキャスト三人が自分のキャラクターカラーの服や小物を身につけてくるのが印象的でした。それを見るたびに、温かい気持ちになりました」と和やかなエピソードを語る。これに対し高橋は「緑色の服をたくさん買うことになりました(笑)」と応じ、現場のチームワークの良さがうかがえる。
ファンが見逃せないシーン——風と向き合う瞬間
最後に、ファンに特に注目してほしいシーンについて、二人は具体的な見どころを挙げた。
高橋が選んだのは「風が自分自身と向き合うシーン」。オーディションで読んだ時から、その場面の風の言葉選びに惹かれたといい「本番ではさらに気合いが入りました」と熱意を見せる。
一方の早見は、再びエメロードとザガートの関係性に言及。詳細を明かせないもどかしさをにじませながらも、やはり「この二人の会話シーンの独特な空気感」を挙げ、細かな表情や間合いに注目するよう促した。
『魔法騎士レイアース』新作アニメは、2026年10月より放送開始。Anime Expo 2026での先行上映を皮切りに、新世代のセフィーロ物語が幕を開ける。高橋李依、早見沙織という現代アニメ界を代表する声優陣が紡ぐ、意志の力に満ちた冒険譚に、大きな期待が寄せられている。