国内最大級の玩具見本市「東京おもちゃショー2025」が6月12日、東京ビッグサイトで開幕した。今年は過去最多となる180社以上の玩具メーカーが出展。近年拡大が続く「大人向け玩具」市場やインバウンド需要を狙った新製品が多数披露されており、開幕早々から来場者の関心を集めている。
30周年迎えた「たまごっち」、リング型で新たな進化
バンダイaaのブースで最大の注目を集めているのが、たまごっち誕生30周年を記念して開発された「たまごっちリング」だ。直径わずか2.8センチメートルのリング型デバイスに、電子ペットの育成機能を凝縮。30種類のキャラクターを育てられる仕様で、従来のたまごっちユーザーはもちろん、ファッション感覚で身につけられる点が新たな購入層を開拓する可能性を秘める。
プラレール「ドクターイエロー」、実車さながらの迫力
タカラトミーaは、新幹線の試験車両として知られる「ドクターイエロー」をモチーフにしたプラレールの新製品を展示。全長47センチメートルと、プラレールとしては大型のモデルで、レール上を力強く走行する姿が来場者の目を引いている。同社はこのほか、鉄道玩具のラインアップを大幅に拡充。新幹線や私鉄の人気車両を中心に、コレクション需要にも応える構えだ。
「ちいかわフォンスマート」――子供向けながら本格的なスマホ体験
バンダイは、人気漫画・アニメ「ちいかわ」とのコラボレーション玩具「ちいかわフォンスマート」を公開。カメラやアプリを搭載し、子供たちが本物のスマートフォンに近い操作感を楽しめる。近年、幼児や低学年向けの「ごっこ遊び」用スマートトイが市場を拡大しており、同製品もその流れを汲む戦略的投入とみられる。
投資や仮想通貨を学ぶボードゲーム、時流を反映
メガハウスが出展した「投資ランキング」は、株式や暗号資産(仮想通貨)への投資を通じて資産を増やす過程を体験できるボードゲーム。金融リテラシー教育の重要性が高まるなか、「遊びながら学べる」ツールとして、親子連れの関心を集めていた。実際の市場動向を模したゲーム設計になっており、大人同士のプレイも想定した内容だ。
電気代高騰の時代に――アンパンマン発電機おもちゃの教育的意図
バンダイは、絵本・アニメ「アンパンマン」のキャラクターをデザインした発電機型玩具も展示。ハンドルを手回しすることで発電し、その電力で音や光を楽しむ仕組みだ。電気代の高騰が家庭の関心事となるなか、「電気の大切さ」を子供たちに伝える教育的要素を強く打ち出した商品で、社会課題とエンターテインメントを結びつける試みとして注目される。
「東京おもちゃショー」とは――見本市の概要と過去最高を記録した市場規模
東京おもちゃショーは、日本玩具協会が主催する国内最大の玩具展示会。今年は6月15日までの4日間、東京ビッグサイトで開催され、一般公開日には多くの家族連れで賑わう見込みだ。同協会の発表によると、2025年3月期の国内玩具市場規模は1兆1600億円と過去最高を記録。コロナ禍を経た玩具需要の定着に加え、大人が自らの趣味として玩具を楽しむ「キッズダルト」層の拡大、インバウンド消費の回復が市場を押し上げた。
キッズダルトとインバウンド――市場拡大を支える二つの原動力
会場では、従来の子供向け商品に加え、大人のコレクション向けやインバウンド観光客を意識した高付加価値製品が各社から投入されている。たまごっちリングはその典型で、ノスタルジーと新技術を融合させたプレミアム感のある製品だ。プラレールの大型車両も、鉄道ファンのコレクター需要を強く意識したラインアップといえる。
インバウンド需要については、日本独特のキャラクター文化や精巧な玩具への関心が、訪日客の購買意欲を刺激している。特にアニメやゲームと連動した商品は土産物としての人気が高く、各社とも海外市場を視野に入れた商品展開を加速させている。
今後の展望――玩具業界に求められる新たな価値提案
東京おもちゃショーは、単なる新製品の発表の場にとどまらず、社会の変化を映し出す鏡でもある。投資ゲームや発電機玩具に象徴されるように、遊びの中に教育や社会課題への関心を取り込む動きは今後さらに加速するだろう。1兆円を超える市場規模を維持・拡大していくためには、子供から大人、国内から海外まで、多様なニーズに応える製品開発が不可欠だ。今年のショーは、そのヒントが随所に散りばめられた展示内容となっている。